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探究学習プログラム#06 -田園調布学園 ミニ野菜の販売数向上プロジェクト-

プロジェクトの概要

「二子玉川ライズ S.C.の平日来館者数向上プロジェクト」を通して社会と接続しながらデザイン思考を活用していく経験を積んだ中学3年生、約200名が社会起業家の活動内容を知り、テーマ課題に対してデザイン思考を活用することを通して、課題解決型探究プロジェクトの実践経験を得ることを目的として、プロジェクトを実施しました。

今回はソーシャルビジネスを通じて社会問題の解決に取り組む、社会起業家集団である「株式会社ボーダレス・ジャパン」に所属している企業家の中から、「みらい畑株式会社」の石川さんにテーマオーナーとなっていただきました。

生徒提示スライド一例:全体スケジュール

プロジェクトの流れ

⑴ 授業1回目「プロジェクト説明会」

各教室をZOOMで接続し、石川さんからのテーマ出題とCURIO SCHOOLのスタッフからのプロジェクト概要説明を受けました。

みらい畑株式会社では、担い手不足や耕作放棄地、環境負荷等の問題を 環境に優しい方法で「ミニ野菜」を生産しています。

現在はミニ野菜を糠漬けにした「腸活ミニ野菜」が主力商品ですが、「ミニ野菜の販売数を向上させるために、新たな商品や販売方法のヒントが欲しい」というメッセージをいただきました。

腸活ミニ野菜
(「みらい畑株式会社webサイト「https://miraibatake.jp」より)

後半の質疑応答では、生徒から「なぜミニ野菜にこだわるのか?」「今までに試して効果的だった方法はあるか?」などといった、課題を進めるために必要な質問がありました。

⑵ 授業2回目「チームのワーク時間」

授業は、冒頭簡単な状況確認や補足説明をCURIO SCHOOLスタッフから行った後、ほぼ全ての時間をチームのプロジェクトワークに使いました。実践編の経験を積んだ生徒たちは、自分たちで「健康意識の高い高齢者がいいのでは?」「若者に流行らせるのがいいかも」とユーザーを決め、早速プロジェクトに取り組んでいました。

生徒提示スライド一例:デザイン思考の説明の1つ

⑶ 授業3回目「中間発表」

中間発表では、グループごとに株式会社ボーダレス・ジャパンで社会起業に関わる方に自分たちのアイデアを伝え、フィードバックをいただきました。

ボーダレス・ジャパン株式会社の方の話を聞く生徒たち

生徒からは、「自分たちのアイデアをお話することで、問題点や改善点がすぐに見つかり、アイデアをより良いものにできた」「社会課題の仕事をされている方と関わる機会を得ることができ、貴重な経験となった」といった感想がありました。

⑷授業4回目「チームのワーク時間」

ボーダレス・ジャパン株式会社の方からいただいたフィードバックを活用して、自分たちのチームのアイデアを改良していきました。
プロジェクトの経験値があがったことで、それぞれのメンバーが意見を出し合い、議論を活発に行う様子が見られました。

授業の様子(1)
授業の様子(2)
授業の様子(3)

⑸授業5回目「クラス内発表会」

最終発表会の1つ前の授業では、クラス内の全チームがプレゼンテーションを行い、そこから石川さんに見ていただくアイデアを決めるクラス内発表会を実施しました。

クラス内発表会の様子

「デザイン思考プロセスを満たしているか?」「問題とアイデアはユニークか?」「実際に取り組めるものであるか?」という3観点からCURIO SCHOOLの社員が選抜し、合計15チームが選出されました。

⑹ 授業6回目「最終発表会」

クラス内発表会を経て選抜された15チームのアイデアを石川さんに見ていただき、「もっと詳しく話を聞いてみたい」と思った6チームが石川さんに最終プレゼンを行いました。

代表1チームのプロジェクトとインタビュー

最終発表をした6チームから代表して、1チーム(Aさん・Bさん※元々4名のチームだが、2名は所用のため不在)のプロジェクトとインタビューを紹介します。

プロジェクト概要

代表チームは、野菜嫌いの子供がいる保護者をユーザーに設定し、ユーザーの「子供に野菜を食べて欲しい」というインサイトに着目して、レシピつきの絵本をミニ野菜とセットで販売するというアイデアを提案しました。

発表資料(1)
発表資料(2)
発表資料(3)
発表資料(4)


Q.プロジェクトをどういう流れで進めていったのか、教えてください。

A 最初ミニ野菜の販売数を上げようと考えていて、そのために「ミニ野菜を普段食べていない人が 食べれるようにすると、その分売り上げも伸びるんじゃないか」と思ったので、野菜が嫌いであまり食べられない子供をターゲットにしました。

B 実際に私が小さい頃にピーマンが食べられなくて…ピーマンをちょっとだけ使った料理をお母さんが食べさせてくれたことをきっかけに、ピーマンが好きになったという経験があるので、それを元に好き嫌いがなくなるようなレシピを入れたらいいかなって。野菜嫌いの子供たちとその親に向けて、特定の野菜が嫌いな人でも食べられるようにするレシピ付きの絵本を入れるアイデアになりました。

Q.絵本という方向性が決まってからは、どのように進めていきましたか?

B とりあえず、野菜が苦手な子供でも食べられそうなレシピを探して…ミニ野菜の中にある野菜じゃないとダメなので、照らし合わせながら調べて、見つけた野菜について、栄養素とかも調べながらスライドを作っていきました。

インタビューに答える様子


Q.最終プレゼンでは、石川さんからどんなフィードバックをもらいましたか?

A 石川さん自身が思いついたアイデアは、 ミニ野菜を加工するような食べ物に目を向けてるものが多かったけれど、「絵本という手段を使って食べ物以外に目を向けてるのがいい」とおっしゃっていただきました。

Q.今回は社会課題がテーマだったのですが、社会課題と向き合ってる感覚はありましたか?

A 私たちの班ではその絵本にしようってなった時から、目先のアイデアのことしか考えてなかった感じだったんですけど、他の班のアイデアを聞いたときに、「形があまり綺麗じゃない野菜は廃棄してしまう」という点を踏まえてアイデアを考えてる班があって、そういうのを聞くと、「繋がりがあるな」って思いました。

B いい意味で、自分の中で「 すごく社会課題に向き合ってる」って感じはしてなくて。でも「『ちょっとしたアイデアが、実は社会課題に関係してる』ってなったらいいのかな」っていうのは思いますね。

1つ前の二子玉川ライズのプロジェクトでは、私自身があまりショッピングモールに行かないので、 苦労した部分もあったんですけど、野菜は毎日の生活に欠かせないものだと思うので、身近なもののプロジェクトでやりやすかったです。
親にもプロジェクトの話をして、「あ、それ面白そう」っていう意見を聞くことができたので良かったです。私、そういうのをよく両親と話すんです。「今回こういうことやったんだよ」みたいな。そしたら、お父さんが「自分の会社の製品に対して、私たちのような中高生の意見を聞いてみたい」と言っていました。

インタビューに答える様子

Q.探究の授業について聞きたいのですが、国語や数学といった別の教科の授業との違いは、どういうところにありますか。

A 国語とか数学とかは教科書使って自分で考えてノート取って…とか先生から教わる感じのものが多いと思うんですけど、探究は自分たちだけで考える感じが強かったので、他の授業より楽しくやれました。

B 探究はみんなで「自分はこういうのがいいんじゃないか」「ああいうのがいいんじゃないか」とか、自分がやりたいようにできたので、すごく楽しかったです。

Q.このプロジェクトを通じて学んだこととか、気づいたこととか、今後やっていきたいなってことって何かありますか。

A 中間発表のときまでは、アイデアがあまり固まっていなくて。でも、中間発表のボーダレス・ジャパンの社員さんからいただいたアドバイスを活かして、今回の発表に繋げられたので、自分のアイデアを伝えることの大切さを感じました。

B 今回、私たちの班はプロトタイプを作るところまでいけなかったんですけど、最終プレゼンでプロトタイプを作ってる班があって、「あ、すごい説得力あるな」って思って…。 石川さんも、私たちの説明を聞いて「もうちょっと知りたいな」と言ってくださったので、次にやるときはプロトタイプを作るところまでやったり、 自分たちの班だけで考えずに、全然私たちのアイデアを知らない人に1回話を聞いてみたりすることで、「更にわかることもあるのかな」っていうのが、今回の気づきです。


(インタビュー・文章:角田)

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