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一人になって『2023.12.24』

私は大学生だった。
高校生だった、中学生だった。

毎日予定があるわけでもないし、誰かの予定を知りたい時なんてないはずなのに、今日と明日がチラつくと必ずこの言葉が聞こえる。


「なんか予定あんの?」


予定はあった。
なんとなく決まっていたりした。

友達と、家族と、恋人と、同級生と。

不本意でも、過ごす人や場所や時間は違っていたけれど、いつも誰かと一緒にいたのかもしれない。

なぜこんなに記憶がふわふわしているか。


覚えていないのだ。
クリスマスイブなんて何してたか全く覚えていない。今まで23回も経験したはずだけど、何も覚えていない。

本当に何も無かったか、何も無かったと思いたいか。
多分後者なんだろう。心の中の私に聞くまでもない。表面の私が察している。


クリスマスの歌は悲しい曲が多いと母は言う。街やデパートで流れる洋楽も、クリスマス特集と題して集められた邦楽も、誰かには会えず、誰かに振られ、誰かの為に涙を流していたりする。

それを楽しそうに聴いているのは、その場の雰囲気だろう。クリスマスは、冬は、世界が煌めくから。真っ暗の中、水簿らしい服装の店員がぐちゃぐちゃのケーキを売っていたら買わないし盛り上がらないし。

ただの一日だと思うことも、クリスマスソングの意向には反していないと思う。


「クリスマスなんてただのキリストの誕生日だよ」

誰よりも冷めている幼馴染に言われた。驚くほど可愛げがない。その当時いた彼氏が可哀想だ。現にその歳はなぜか私とクリスマスを過ごしていた。

今日は一人だ。
細かく言えば、自分の部屋に、一人だ。リビングに向かえば家族がテレビを見つめてチキンを食らっているはずだ。


初めて一人だ。
なんだかんだ忙しくても誰かと過ごしていた私は、初めてクリスマスイブを一人で迎えている。元はと言えば、なんでもない一日を一人で過ごしても特になんの感想も出てこない。

私は今日、これでいい。
今年の12月24日はこれでいい。
ベッドの上で、小説を書いて日記を書いて、瞼が今にも落ちそうになっている。もうめり込んでしまう。そんな日があっても良いのだ。新しい経験がまた出来た。

その代わり、来年はもっと違う過ごし方をしてみよう。人も場所もなんでもいいけど、今年とは違ったことをしてみよう。

その時の、私の楽しいについて行ってみよう。

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