キャリーケース『2023.12.26』
私は明日、旅に出る。
飛行機で約2時間半の旅に出る。
私は猛吹雪の田舎から飛び立つのだ。
1か月前、高校の友達と会って旅行の計画を練った。その時の日記はこちら↓
中々目的地が決まらなかった私達。ひょんなことから、明日は飛行機に乗って雪のない場所へ向かうことになった。
仕事を辞めてから、自分が色々な事へのハードルが下がっていたことに気付いた。
交通費の超過分は自腹で払っていた。
残業代は出なかった。
やりたい部署への申請は通らなかった。
長期休暇は120%取れなかった。
交通費全額支給の求人を見る度驚いた。
残業代がつくことを知った。
募集内容がきちんと明記されていた。
年末年始・土日祝はもちろん、𓏸𓏸休暇が存在した。
私は前職と他の職の違いを知って、私は貴重な経験をしたんだなとポジティブが顔を出す。今が1番楽しい私にとって、抜け出してしまえば、どこでも過去だし地獄だし、今いる場所が天国になった。
だが天国にいた過去の私にとっても、長期休暇は、叶えられない夢だっただろう。今の私が叶えてやろう。さぞ嬉しかろう。
私が一緒に旅行に行く友達は、学校の先生をしている。
先生は私と違って、研修期間があったりせず、教員1日目から誰かの先生である。だから教育実習や試験などがきちんと設けられているんだと彼女を介して知る。私は誰よりも無知だ。
働いていた半年間の中で、働いてるフリをしていたり雑用を全て引き受けてルンルンと踊っている間、彼女は生徒に勉強を教え、学校とは何かを教え、どんどん成長したのだろう。社会人になった彼女は、良い所はそのままで、大人になっている気がした。
私は半年間で何か得られたのだろうかと悩むほどだ。
そんな彼女は、生徒と同じく、長期休みの間しか休みが無い。仕事を辞めた私はそれに目掛けて旅行に行きたいと話したのだ。
仕事を辞めておいてなんだと言う感じだが、これからこんなに融通が効くことがない程忙しくなることを信じて、私は彼女に提案した。
彼女の超長期休暇の1日目を私が飾る。
準備は1週間前から始めた。暇だったからだ。暇で暇で仕方が無かったから、準備にならない準備をした。
前日の今日。キャリーケースに持ち物を詰める。
ホテルのアメニティをチェックしたり、最低限の荷物を書き出したりした。あれは要らない、これは要らないとどんどん要らないものが増えた。
旅行に持っていく物は、自分がその日生きていくのに必要なものだ。必要最低限をモチモチとバッグに押し込んで、自分の必要不必要を目視した。
私は、私の作品は、誰かの人生のキャリーケースに入ることが出来るだろうか。
私の存在を、必要なものといつか誰かが捉えてくれるだろうか。
「私の人生には要らないから家に置いていこう」「生きていくのには必要ない」と言われて、部屋の隅に追いやられてしまうのだろうか。
今日早めに目が覚めた私は、コンテストがたくさん行われている小説投稿サイトに登録した。公的な物も、サイトでの応募も、全て経験して、私の作品を見て貰うことが大切なんだと気付けたのだ。
私の気付きは、いつも人より何テンポも遅い。
私の作品を、誰かの人生に影響するような物にしたい。私の作品で、誰かの感情を揺さぶりたい。私の作品は、誰かの大切なものなんだと、誇れるようにしたい。
私の誰かが、いつか現れるように、私は今日も書き続ける。
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