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前世の私は昭和の強かな女『2023.10.27』

私は、昭和に生き抜いた人間の生まれ変わりだと思う。
今日確信に変わった。

今日は昭和歌謡の日だった。
昭和歌謡とスナックについて語るテレビ番組をたくさん見ながら、スナック全盛期を生きた母と昭和歌謡を語る。
非常に価値のある日を過ごした。

母は昭和歌謡が好きで、スナックが好きだ。
十八番はアン・ルイスだし、岩崎宏美もテレサ・テンも好きだ。玉置浩二も好き、中村雅俊も、ジュリーも好き。
私はそんな母の影響もあってか、二十代前半にしては昭和歌謡を知っているし好き。

だと思っていた。


私は小さい頃からずっと昭和に憧れている。


最初に好きになったのは、昭和レトロの世界。スナックの看板、手描きのポスター、なんのキャラかよく分からない人形。映画でいう『パプリカ』、場所でいう『西武ゆうえんち』のような世界観が大好きだ。

次に私を魅了したのが、昭和歌謡。

私は平成生まれだが、今は有難いことにテレビで昭和歌謡を流してくれる。それを見る母の隣で、小さい私も見ていたのかもしれない。


私の語彙力では上手く伝えきれないが、昭和歌謡は、一曲聞く度に私の癖に酷く刺さり、抜けることなく刺さり続け、私の心を離さない。

強かで麗しくてたまに弱くて可愛らしい女性が、刺激のある男性や環境に魅了されたり染まったりしていく歌詞。その歌詞に乗せて、ドロドロとはこのことだと言わんばかりの曲調。
コンプライアンスや規則正しいルールなんて無い、自由と余裕と戦いの世界。

ああ本当に。
今を生きる人では感じられない気持ち。
ヤワな若者しかいないからと気を遣われる世界。
羨ましいという言葉では片付かない。


私もその時代に生きたかった。


待ち合わせに数分遅れた大切な人を心配しながら永遠に待ちたい。
煙草は嫌いでも貴方が好きと言って助手席に乗せて欲しい。
ケバい化粧がものを言うからと、いくらでも紅を重ねたい。

確実に今より不便な世界に足を踏み入れたい。

前世の私はきっと、昭和時代を懸命に生きた挙句、どこかで殺されたんだと思う。いや、酒の飲み過ぎて階段から落ちたかもしれない。
それでも、自分の生きている時代を全うした人生を生きていたんだ。それくらいしないと、こんなに昭和に魅了されないはず。


それに比べて、今世の私はなんだ。平成に生き、令和に翻弄され続けている。今を生きることが出来ているのだろうか。
もし前世が昭和を生き抜いたバブリー真っ盛りのOLだったとしたら、彼女と同じくらいに今を楽しく生きるべきなんじゃないか。

私は、今を楽しく生きているのか。
前世の私に失礼な生き方をしていないか。

前世の私は今世の私に、これほどかと自分の時代の楽しさを教えている。念が強過ぎて覚えさせられている。
私は彼女のように、今を生きて、来世の自分に繋げられるくらい「前世は楽しかったぞ」と伝えられる人になりたい。

暗黒期にいる私を、昭和の私が励ましに来てくれたのかもしれない。


愛をつぐなえば 別れになるけど
こんな女でも 忘れないでね


前世の私は、きっと素敵な人だ。

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