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私の青い天使『2023.10.9』

今日は、高校時代の友人と飲み会をした。
卒業旅行以来だから、半年ぶりの再会。
積もる話を居酒屋とカフェでこれでもかと消費した。

半年も会わなければ、積もる話はたくさんある。

同じ高校・大学だった彼女は、私と同じく半年前に社会人になった。
半年後に、半年分成長した私達。
彼女は有休使って四連休目。無職の私に会いに来てくれた。

彼女は、私が出会った人間の中で一番面白い。

彼女の考え方、言葉、動き、趣味嗜好、全てが私に良い意味でツボにグサグサと突き刺さる弓矢だ。
半年ぶりに会ったのにも関わらず、その弓矢の鋭さは変わっていなかった。

私達は何も変わらなかった。

昼休みに机をくっつけてお弁当を食べていた高校時代や、卒論に追われて夜になるまで二人で書き続けた大学時代も。
笑いのツボも、考え方も、お互いを否定せず共感し肯定し合う所も。

それなのに、私達は変わった。
いや、私達が変わったのでは無い。私達の環境が、私達を変えたように見せたのだ。

彼女が働く会社は、彼女の人間性とは程遠いような人間が揃う場所だった。
知らない世界、知らない考え方、知らない言葉、場所、人。
彼女の世界は、学生時代に囲まれていた物とは全くの別物になってしまっていた。

地方の人間が上京すると都会に染まっていく。
夜中に遊ぶ友人が増えれば夜型の人間になる。
独特な格好をした恋人が出来れば自分の趣味に関係なく似たような格好に変わっていく。
朱に交われば赤くなるとは、この事だ。

でも彼女は、何も変わらなかった。
話す内容は学生時代とは違っても、それを危惧する気持ちや、自分は好きじゃないとはっきりと思える所は全く変わっていない。

彼女は、朱に交わろうと、青い。
何も変わらない、濃い美しい青のままだったのだ。

なぜなら、彼女は軸を絶対に変えないから。

その軸があるから、他の軸を持った人を理解出来る。共感出来る。肯定出来る。
ブレがないから、自分を保てる。
基本的に悲観的な彼女は、そんな自分の才能には気付いていないようだが。

だから彼女は面白いのだ。


ひょんな事から、彼女と急に会うことが決まった。
今思えば、私が辛い時や窮地に立たされている時は必ずそばに居てくれた。
それは言ってしまえばただの偶然で、たまたま一緒に居るだけなのかもしれない。

「それって疫病神ってこと……?」

ネガティブな彼女は応える。
違うよ、そうじゃない。

人間関係で辛い思いをした高校時代、色恋沙汰に巻き込まれてどうしようも無かった大学時代、仕事を辞めた今。
私が苦しい辛いと、心の中で名前もない誰かに訴えていた時、知らぬ間に気付いて振り向いてくれていたのは貴方だよ。

彼女は、私の天使だ。

神様ほど、何かを恵んでくれる訳じゃない。
親や兄弟ほど、自分のことのように考えてくれる訳じゃない。

でも貴方がいるって事実だけで、話を聞いてくれるだけで、私がどれだけ救われたか。
他愛もない話をしてくれたり、おっちょこちょいな面を見せてくれるだけで、私がどれだけ笑っているか。

自分を過小評価する貴方は、何度言っても認めてくれないかもしれないけど、助けられているんだよ。
ありがとう。


帰りの電車。
二人で座って、積もる話ももう終わり。
お互いに、それぞれの未来に向かう話で今日は最後にする。

「私が養うわけでもないし、何かあげられる訳じゃないけど、一年でダメだったら諦めようとか、思わなくて良いんだと思う。夢があるなら、今はやりたいことをやれば良いんだよ」

私は彼女の方を向いた。
彼女はどこまでも、私の味方でいてくれる。
私は彼女がいる限り、見守ってくれる限り、夢を追い続けたい、頑張りたい。


辛い時だけではなくて、夢が叶った時にも、私はこの天使に、青い瞳のままの天使に、また会いたいと願うのだ。

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