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パッチワークなエストニア ~バルト三国で聞いてみた①

【エストニア人から2018年春に聞いた話】

一人旅でバルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)へ行って、現地の人から色々と話を聞いた。その話をこれから何回かに分けて書いてみる。

どこやねん、バルト三国って

と思う人もいると思うので、ざっくりと説明を。地理的にはフィンランドの下で、ロシアとポーランドの間。一般的にイメージされるヨーロッパの国々の中では、右上の方に位置している。それぞれ人口も国土も小さくて、「バルト三国」とひとくくりにされることが多い。

でも実際に行ってみると、各国ごとに文化や食べ物も違うし、人の見た目さえも結構異なっていて、個性豊かな国々だった。

ひとくくりにされがちなのは、その歴史に理由の一つがある。

ソ連嫌いなバルト三国

いずれも旧ソ連内の国だったが、1990年頃に相次いで独立。その後すぐにNATOやEUへ加入した。同じように旧ソ連から独立した国々の中でも、彼らはいずれも最も「ソ連嫌い」と言われている。そして歴史認識のベースに「第二次世界大戦の途中から50年間にわたってロシアに占領されて、30年近く前にようやく独立を勝ち得た」という明確なスタンスを持っている。

彼らはどうしてそう考えているのか。話をしていて感じたのは、彼らは自分たちの価値観や文化が西欧や北欧に近いにも関わらず、価値観が大きく違うロシアに無理やり武力で取り込まれた、と感じているからだと思う。これについては、追って話の中にちょくちょく出てくる。

エストニアについて

首都はタリンで、旧市街には中世の雰囲気が強く残っている。けど、外へ出ると古い共産主義時代の殺風景なアパート(フルシチョフ住宅と呼ばれる)が健在。更にそれと並行して、北欧風のモダンな内装の建物も多い。そんな首都を離れると、ひたすら原野が続く。つまり、全然異質なものがパッチワーク的に混在していた。

エストニア人は、北欧フィンランドと人種的・言語的に親戚関係にあるらしい。実際、金髪碧眼の人が多い。国民の多くが西欧よりも北欧を目指していると言われている。

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【ようやく本題、エストニア人に聞いてみた】

①IT先進国

そんなエストニアは、スカイプが誕生した国。電子政府の取り組みも進んでいて、日本政府もこのエストニアのシステムを参考にしたらしい。銀行もオンラインバンキングが発達している。そんなIT先進国な自国についてどう思うか聞いてみた。

エストニア人(1)
「エストニアがITで先進的なのは、ITに力を入れている優秀な大学があるからじゃないかな。それに加えて、ロシアに占領されていた虚無の50年から解放されて、文字通りゼロから国造りをスタートしたから、今時点で最新・最高の技術を取り入れられる。だから先進的になれるのも道理なんじゃない?」

エストニア人(2)
「役所の手続も銀行も、なんでもオンラインでできるから、時間を無駄にしなくて本当に助かる。50年の占領からようやく解放されて、せっかく自由を手に入れたんだから、こうやって発展していかなくちゃね」

ということで、希望に溢れる感じの前向きな話が多く出てきた。

②フルシチョフ住宅

でも郊外にはまだまだ殺風景な共産主義時代のアパートが残っている。もっとも、これはバルト三国で共通の話ではあるけれど。ソ連時代に、共産主義の考えに基づいて、国民みんなに少なくとも最低限の生活水準を保証するために低コストで大量に建築された。

エストニア人
「早くあの醜い共産主義アパートを壊したいって言っている人は多いけどね、なかなか進まない。住んでいて楽しくもなんともないから『寝るための建物』ってみんな言ってるよ」

ソ連時代は、これはこれで生活保障という意味で一定の意味はあったと思うけど、でもやはり特異な風景。北欧風に変わっていくには、まだ数十年はかかりそうな。。。

写真は共産主義アパートの例。

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by 世界の人に聞いてみた

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