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不器用だからこそ見えるなんて

お店の経営から次を探したのは
経営のセンスがなかったから。
計算とか経理面ではなく人間関係。
接客がとっても苦手。

ならば自転車の組立とか整備が得意かと
言われると正直「センスがない」。
当時は自分でそう思っていた。
将来、レースメカニックでレースに
関わったり専門学校で自転車のことを
伝える仕事」に就くとは。
想像すらできなかった。

いやはや。
自転車の仕事には向いていない。
始めたので始めたからわかった。
でもお店時代よりも他人の一言で始めた
レースメカニック」時代の方が
悲惨でした。

渡米したのはレースシーズンの少し前。
もちろん英語なんてしゃべられるはずなく
選手は「全米ジュニアチーム」だったので
選手との会話は全く成り立たず。

向いていない仕事だと思っていたのに
更には英語という「高いハードル」。
これからシーズン中はどうなるんだろう。
それでも自転車の組立や整備で何とかなる。
はずでした。

最初の試練はレース車両の整備。
なんとかなるはずでした。
整備を任せられたパーツを分解中に
まさに「バラバラ」になった。
少しずつ分解すれば良かったものを
メインパーツを分解。
組立すら想像できない。
今ならスマートフォンのカメラで
撮影しながら進めるので失敗は少ないけど。
当時はカメラは持っていなかったので
このバラバラになったパーツを眺めながら
途方に暮れる。

迫り来る時間だけが頭の中でグルグル。
あきらめて、新しいパーツを貰おうにも
その英語が言えない。
練習に出かける選手達がリラックスして
近くにいることすら焦りに火をつける。

観念する前にバラバラになったパーツを
眺めながら頭の中で組立ててみた。
その時に奇跡が起こったのです。

組立てるパーツ同志が頭なのかで一体化した。
まるで「取扱説明書」のように。
ああ。パーツに裏と表がある。
自分の頭で考えていたのは「思い込み」。
こうしか組立てられない。
いや、組立の方向が違っていた。

不器用な人って頭が固くなっている。
自分の思い込みが大きすぎて。
こうあるべき。
という思い込みが「思考の邪魔」をしている。
この思考にかかった時間は恐らく数分。
不器用だからわかった。

この時のひらめきから数十年。
仕事は器用な部分が必要かと言われた
答えられます。
器用にも不器用にも思い込みがあり
それはどっちも「あんまり差がない」。
それよりも失敗を必ず覚えていてかつ
失敗の原因をとことん「追及する思考」が
あればどんな仕事でもできる。

お客さまとの接客もそうでした。
接客ってお互いがしゃべるイメージ。
でも違いました。
相手の話をどうやってしっかり聞いて
頭の中で言葉をいかに組立てるか。
こっちが発する言葉は全て「相手から
引きだしている
」んだと。

それで接客の考え方が変わりました。
ずっと苦手だったけどある意味、
苦手意識」だけは減ったかも

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