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うつわの衣替え
木々の緑も日毎濃くなり、爽やかな初夏の頃がやってきました。
楽しそうな鳥の囀りを聞いていると、なんだかふーっ、と深呼吸したくなります。
江戸料理を教わったある料亭で、
器たちも、衣(?)替えをすると良いと習い、
そこでは四季それぞれにやっておられました。
春の器は使う時期が短いので、我が家ではそれほど大きく入れ替える必要もなく、
夏前のこの時期に、先生に倣った分け方でやり始めています。
特に和食器は季節感を強くたずさえたものが少なくないため、
これから使いやすいガラスや備前、沖縄のやちむんや染付、るり釉などのものを前に、
土鍋や織部、唐津、割り山椒など秋冬に良い器を後ろに並べかえることでまた気持ち新たに、
盛り付けや器合わせを楽しめたりしています。
中でも豆皿など小さな器たちは使いやすく、お手頃でもあるので特に増えがち。
一度全部出してから、
片付け途中なのに、ついつい白いものばかりを並べてみたりして、
意味なく悦に入っていました。
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これらは和食器ではなく、フランスの業務用の硬質な白い器たち。
ボーンチャイナの柔らかい白と対照的です。
丈夫さと手軽さ、
白ならではのバリエーション豊富な楽しさに、
ついつい増える一方です。
晩ご飯に
蒸し鶏に添えるソースを残り物であれこれ揃え
ちょっと変わり種の、黒板みたいなプレートにのせて使うことも。
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左から、醤油麹、すり鉢で細かくした茹でほうれん草に、ヨーグルト、バジルソースをまぜたソース。
中央が刻んだミックスナッツにはちみつ、黒胡椒。
黄色いのは温かいチェダーチーズ、右端はスイートチリソース。
冷蔵庫の瓶詰めや残り物を盛っただけで案外楽しく、色々な味わいを確かめるうちに箸も進みます。
ほうれん草は、筋を写真のように取ってから色よく茹でてつぶすと、仕事がしやすいです。
残った茎はお味噌汁やお浸しに。
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衣替えの話から、書くほどにまた、食べ物へそれてしまいました。我ながら恐ろしい、食への執着…
横道にそれた話を戻し、
近所の寺の美しい眺めに目を移したいと思います💦
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四季というのは、温帯に属する国ならみんな味わえるものと思っていましたが、
実は日本が在る緯度と経度は、四季がはっきりと均等に訪れる稀有な位置にあるのだと聞きました。
少しでも外れると、春と夏が似ていたり、冬もそれほど寒くなかったり、という気候になるのでしょう。
生まれた時からこの四季が身近にあって日常生活に溶け込んでいる私たち。
特有の気温差や日照の強弱を活かしてさまざまな野菜やくだもの、花を育てることができ、身近に季節を感じるものが溢れているからこそ、それぞれの旬の季節感を満喫できるのだなと、あらためてありがたく感じるようになりました。
また、「季語」を抜きに語ることができない俳句の世界観も、日本ならではのものです。
初めてお会いする人とも、天気や季節の話はついつい出るもので、それも気づかずにいたけれど実はこの国にいるから、なのでしょう。
春の桜、夏の海、秋の紅葉、冬の雪。
無意識のうちに四季を感じ、生きていく中で重ねていく思い出も、その当時の季節の眺めと共にあるということが、実は得難い幸せなことだったのですね。
噛みしめながら、来る夏のしつらえを少しずつ準備したいと思います。
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