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CSキャリア”インタビューリレー”第十四弾

新卒でリクルートに入社し、当時まだ社員数5名程だった現職のLeaner Technologiesへ転職を決めた織茂(おりも)尚之さん。現在はカスタマーサクセスの責任者を務めていらっしゃいます。
「業界のスタンダードを刷新し、新たなマーケットをつくっていく」という熱い想いと、エンタープライズのお客様に対峙するCSのやりがいや、大変さのお話を聞いてきました!


株式会社Leaner Technologies/Customer Success本部 責任者/織茂 尚之さん

はじめに

-こんにちは。今回は、株式会社KOMMONSが企画する”CSキャリアインタビューリレー”の第十四弾です。
 
株式会社KOMMONSは、カスタマーサクセスに特化したサービスを提供する会社です。企業向けのカスタマーサクセス支援サービスやカスタマーサクセスを職業とする方たちのコミュニティを運営しながら、カスタマーサクセスの方たちが自信を持って働ける世界を目指しています。


インタビュー内容 

【1】織茂さんのご経歴

新卒で株式会社リクルート(当時はリクルートジョブズ)へ入社。
採用コンサルタントとして、エンタープライズ企業を多数支援。
2020年に株式会社Leaner Technologies(※)へ入社。
社員数5名程の頃からエンタープライズセールスとして活動後、カスタマーサクセス部門を立ち上げ、現在は同部門の責任者を務める。
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(※)株式会社Leaner Technologiesについて

企業における「買い物」のDXを進めるサービスを展開。
バックオフィス部門のなかでもDXに遅れを取っているといわれる購買・調達部門に向けた2つのSaaS「リーナー見積」と「リーナー購買」を提供中。
織茂さんは主に、リーナー見積のカスタマーサクセス責任者として、製造業、ホテル/小売業界などの顧客のサクセスを推進中。

【2】業界一位から創業期スタートアップへ転職したキャリアの軸

織茂さん、本日はよろしくお願いします。
まず現職へはベンチャーへの転職でもあったと思うのですが、どんな背景があったのでしょうか?

主に2つありました。まず1つ目は、業界のスタンダードをつくったり、マーケットをつくるようなビジネスに関わりたいという想いが、自身にとって一番の軸としてありました。

自分が入社した当時のリクルートは、業界のなかで「新しい当たり前をつくる」ことをしてきた会社でした。
例えば、求人広告ビジネスの立ち上げや、住宅のSUUMO、結婚のゼクシィなど、リクルートがマーケットをつくったところに、色々な競合他社が参入し、同業他社が増え、マーケットが確立されてきたと思います。
そうしたマーケットをつくっていくことができる会社で、「新たな当たり前をつくりたい」という想いで入社した経緯がありました。

入社してからも実際に、業界一位だからこそ、お客様のスタンダードや業界の当たり前を変えるような経験をリクルートでできたのですが、半面、リクルートのビジネスが確立する前のリクルートの方々の素晴らしさや、すごさをより感じるようにもなりました。

そんななかで、まだマーケットが全くつくられていない領域、購買・調達も調達のSaaS企業と言われたら、特定の企業がぱっと出てこないぐらいの領域ですが、そこで業界を、マーケット自体をつくっていくことに没頭したいという想いでLeanerにジョインしました。

Leanerと出会うまでは正直、購買・調達領域って何?という解像度でしたが、「企業の買い物」というどの企業にも日常的に発生する「基幹業務」において、当時こんなブルーオーシャンでマーケットを作っていける領域があるのか?、数十年スタンダードが変わっていない領域でチャレンジするには今しかない!という想いで飛び込みました。

 次にもう1つが、これは半分は感情論的な部分もありますが、世の中を変えるって、数年では全然できないと思っているんですよ。
5年や3年だけがんばっても変わらないし、それくらいのがんばりでは、何も変革を起こせないと思っています。
やっぱり数十年は一緒にがんばっていくような熱い仲間がいる環境というか、数十年がんばって同じ目標を見ていく、その高い目標に対して、誰も疑いなく目指していけるような仲間とやった方が、世の中が変わる確度が高いかもしれないと思いました。

リクルートには多様性があり、それを否定するわけではないですが、色々な動機で活躍されている方がいらっしゃるなかで、全ての方が世の中を変えたいと思っているわけではないと思います。
ですので、環境を自分で立ち上げからつくっていけるコトの方が、世の中を変えていける可能性が高まるのではと考え、創業期スタートアップに飛び込んでチャレンジしたいなと思いました。

【3】バーニングニーズをひたすら探した立ち上げ期

ありがとうございます!熱い想いがあったんですね。
次は現職で何をやっているのか、よろしければ創業から今まで何をどうやって現在に至るのかをお伺いできますでしょうか。

まず、最初のリリース期は2021年5月から2022年3月くらいまででしょうか。まだ売上が2千万円いかないくらいのタイミングでした。
この頃はCS専属は0名、セールスは専属で自分ともう1人、今はセールスの責任者をやっている高橋の2人でやっていました。あとは自分がCS兼務で1名と、Opsに1名くらいの体制でした。
このときに何をやっていたかというと、一言でいえば「お客様が投資してでも解きたいペインがどこにあるのか?」をひたすら探していたという感じです。

そもそもバーニングニーズ(※)が特定できないと、SaaSとしてもスケールしないですし、お客様の困っていないところでビジネスをしても、何も世の中を変えることにはつながりません。端的に言えば「バーニングニーズを特定する」ことをやっていた時期でした。

(※)バーニングニーズとは、「髪の毛に火が付いていて、すぐに消すことが求められる」ような投資してでも解決したい切迫したニーズ

具体的には、どの業界で、どの部門で、何を買っている方がバーニングニーズを抱えているのかをひたすら探していました。
この部分はほぼセールスの話ですね。売上が2千万円もいかないくらいでCSの話をしても仕方がないので、セールスの話題になってしまうのですが、企業の買い物における見積を取るということについて、例えば、個人でも引っ越しをする際はおそらく見積を取ると思うんです。見積を取って、A社とB社でどちらの引っ越し業者が安いかの比較をすると思います。そうした見積のDXをしているのが、リーナー見積です。

正直、どの業界にも見積はあります。
車ならタイヤを買う見積や、その加工をするための見積、レストランなら食材の見積や、食器の見積など、どの業界にも絶対にあるんです。
ただ、見積に特化した価値提供のなかでも、どこから攻めるのが一番Leanerとしてもスケールし、お客様にも価値を返せるのかを特定するために、業界マップのエンタープライズとミドルとSMBを上からひたすらにあたって、「どこが一番困ってるんだっけ?」と営業2人でずっと考えるみたいなことを第一にやっていました。

それをやった後、プロダクトを使い続けてくれるかという観点もものすごく大事なんですよね。
買ってくださることと、使い続けてくださることは別だと思っているので、その当時でいうとだいたい1社あたり「10件くらい見積を使ってくれたらいいよね」などお客様ごとに設定した見積の目標件数を達成できるように、しっかり見積をリーナーで取ってもらうことをCSとしてはやっていました。

この時期は面白いですよ。何にもなさすぎるので(笑)

【4】2回目のT2D3突破を目指して

現在は2回目の3倍成長の達成を目指しています。T2D3(※)の2回目を突破しようということですね。

(※)Triple, Triple, Double, Double, Doubleの略で、5年で売上を72倍に成長させる指標

そのなかで、追っている目標の1つはチャーンをゼロにするということです。もちろん前から掲げている指標ではあるものの、今期の意味合いはこれまでとは違います。

ここに至るまでに、我々も業界を広げてきたというのは大きいです。
先ほど、「どのターゲットだったら売れるのか?」をひたすら探したという話をしましたが、結果、立ち上げ期に辿り着いた答えが、製造業のお客様が一番モノを買っており、見積を取っている業界であるということでした。
ですので、当時は製造業を中心に展開していたのですが、その先、足元のマーケットをスケールさせるために、業界を横にも広げていきました。
例えば、化学メーカーや、医療機器、消費財、小売り、宿泊サービスなど、業界を広げていくと、各業界でも投資をし続けてでも解決したいペインがあるのか?というのは、まだこれから検証しなくてはならない面があると思っています。
つまり、ターゲットが広がったことで、新たなお客様も使い続けてもらえるのかはまた検証が必要になるということですね。

製造業に関しては、リリース期から立ち上げ期にかけてある程度、使い続けてもらえることの証明ができたのですが、例えば、運輸・物流や化学メーカーはようやく今年度から受注ができた業界だったりするんです。
そういう業界に対しても、使い続けてもらえるのか?を検証しないといけないですし、そうしないとマーケットがどこまで広がるのかがわからないので、チャーンゼロを達成することで「この業界だったらよりサクセスできる」ということを証明するために、解約をゼロにするという目標を掲げています。

そしてもう1つ、ちょっとCSっぽくないかもしれないですが、チャーン防止やヘルススコアの改善などではなく、「エンタープライズのお客様からの投資≒期待をいかに大きくしていけるか?」という目標を追っています。
そのために、我々はどのようにしたらお客様への価値を最大化できるのか、マーケットを変えていく上での戦い方が変わってきます。

日本のSaaSのなかでもとても大きなチャレンジです。
ただ、我々が対峙している調達のマーケットは、海外のシステムを見ると、月額数千万円の期待をもらっているプレイヤーも存在するようなマーケットなんです。
それはなぜかというと、調達が企業における基幹業務であるからだと思っています。仮にビジネスをする上で、売上高が1千億円のお客様がいたら、そのうち600億円から700億円くらいは、外部から何かを買っているコストなんですよ。企業の買い物って、それぐらい企業のなかの基幹業務のようなところで大事な業務なんです。

それを刷新できるようなSaaSはやはり投資されてしかるべきところなので、欧米では支払う月額料金が数千万円だったり、もっというと月額数億円払っている会社もあるレベルです。
そんなマーケットに対して、日本としても戦っていくために、我々のビジネスをどう展開していくかの戦略によって大きく変わるので、今期は解約をゼロにすることと、売り上げを拡大することを目標としています。

【5】自分たちでマーケットをつくっていく醍醐味

現状の事業状況も含めて具体的なお話をありがとうございます。
そうした状況も踏まえて、CS目線での面白さややりがいは、どんなところにあると思いますか?

そうですね。CS目線での面白さでいうと、いわゆるCSでいうアウトカムだったり、ビジネス成果みたいなところを本当につくっていけるというか、生み出していける幅の広さがめちゃくちゃあるなと思っています。

リーナーはバーティカルSaaSではないので、まだこれまでアプローチ先に挙がってもいない色々な業界にも、貢献できるだけの余地があると思っています。
業界の裾野の広さのようなところから、どれだけ各お客様にとって、例えば、製造業のアウトカムだったり、小売業にとってのアウトカムみたいなところを、これからまさに生み出していけて、つくっていけることが、マーケットをつくっていくことにもなります。
それぞれの業界で、ホリゾンタルSaaSの醍醐味みたいなものを、ものすごく味わえるところが大きいと思っていますね。

ホリゾンタルSaaSかつバックオフィス領域では、すでに色々なSaaS企業があると思います。
ただ、例えば人事労務では、製造業の人事労務と、小売業の人事労務には、あまり大きな差はないのではという気がしています。
モノを買うというところでは、製造業のモノの買い方と、小売業のモノの買い方は、大事にしているポイントがかなり違うんです。
つまり、その違いの分だけ、その業界のアウトカムをCS主導でつくっていけるだけのポテンシャルが溢れているところが面白さですね。

もう1つが、おそらくイメージがないのかもしれないですが、調達は裾野がとても広いんです。
どういうことかというと、Leanerにも現在、リーナー見積とリーナー購買というプロダクトがありますが、調達というのは、単純にただ見積をするという業務に留まりません。
例えば、引っ越しをする際にも、どの会社にしようかと見積をして、その後に調査をすることもあると思います。
そしてその先、発注やペイメントの領域など、調達業界がカバーしている領域はものすごく広いんです。

ですので、見積のワンプロダクトのアウトカムをつくっていくだけではなく、マルチプロダクトに貢献していくCSも、今後は味わえるようになっていきます。
調達という裾野の広さ、ホリゾンタルによる業界の広さだけでなく、調達というドメインの広さも味わえるというのもCSの醍醐味かなと思いますね。

最後が、売上拡大のスケールです。それを狙っていくだけの、成果の創出や、お客様のサクセスをつくっていけるところが、今のLeanerの領域である調達のSaaSである面白さだと自身も感じていますし、同じCSをしている方、これから仲間になるかもしれない方にも届いてくれたら嬉しいなと思います。

【6】間接部門への投資を引き出すことの苦労

それはやりがいがありますね!
今度は逆に、大変さについてお聞かせください。例えば、未知の業界を開拓しなければならないなど、大変なこともあると思います。

もちろん、大変なことはやりがいの裏返しになる部分もあります。

それ以外で思うところとしては、あまりイメージがないかもしれませんが、調達部は「モノを安く仕入れる」ことをミッションに持っているチームなんです。
いかに安く買えるか、いかに早く買えるかを追っているチームなので、調達部への営業やCSは、スピードや価格の交渉を含め、多くの要望を受ける環境だと感じています。
そもそもかつての調達部は、コストを抑える部隊なので、自分たちがシステムを導入をしたことがないケースが多いんですよ。
企業の買い物はするけれど、自分たちがシステムを入れるという経験が少ないことも多いので、調達部がDXをするための予算がないみたいな状況はよくあります。

予算がないため、営業のように売上を上げる部隊ではない間接部門に、投資をしっかりしてもらうところの難しさがあります。
CSが更新提案をしたり、予算がないなかでのアップセル、クロスセルををする時には難しさを感じますし、そうした予算がないなかでのビジネス展開の難しさはありますね。

もう1つ、エンタープライズ企業がお客様なので、エンタープライズ企業向けのSaaSはどこも同じだと思いますが、日本の大手企業に対する売り方のイロハや、サクセスさせるためのイロハは、ならではの難しさがあるなと感じます。

【7】エンタープライズSaaSならではの難しさ

エンタープライズSaaSならではの難しさは聞きたい方も多いのではないかと思います。もう少し具体的にお伺いできますか?

エンタープライズSaaSの難しさは何個かあると思いますが、思いつくところでいうと、1つ目は関係者がとても多く、承認を得ないといけない方々が多いことですね。

例えば、調達部が導入したいと思っても、すぐにはGoにならないというか、他にも情報システム部門の承認も必要であったり、あとは、これを買ってくださいというのを調達部に起案する部門を要求部門と呼ぶのですが、モノを買いたい部門の方々にも影響を及ぼすので、関係者の数が多すぎて、そうした全部門の調整をどうやって乗り越えていこうかとか、お客様の社内での関係性や、企業独自の進め方を知り、どうやって越えていこうかということも気にしながらやる必要があります。
そうした関係者の多さと複雑さを理解し、進める必要がある点は難しいですね。

もう1つ、我々はいつも三層接点と呼んでいますが、経営層と、真んなかにいる部長クラス、課長クラスと、あとはシステムのユーザーの方々という三層の認識をちゃんと揃えていくという難しさはすごくありますね。
企業の規模が小さければ、経営層もユーザーの困っていることまでわかっていることが多いと思います。
例えば、我々くらいの規模の会社では、ユーザーレベルで困っていることも、経営に認識が浸透していると思います。
エンタープライズ企業となると、社員数が数万人いるお客様もいるので、そうなると三層のやりたいことを揃えたり、優先順位を揃えることも難しいですよね。そこをどう攻略するかというのも難しさの1つです。

あとは、システムの複雑さもあります。
エンタープライズ企業だと、すでに何かしらのシステムが一部入っていることも多く、Leanerの領域は、30年前や20年前にお客様が自前でつくった基幹システムのようなものが入っていたりします。
そことの棲み分けや、SaaSとの接続をどうするか、役割分担をどうするかというのを、目の前の調達も方々もそうですし、情シスの方も説得いただかなければならないので、エンタープライズ企業ならではの自前でつくっているシステムとの棲み分けや役割分担をどう定義し、どうやって理解を得ていくのかも難しいところですね。

挙げていくときりがないですが(笑)、予算を取る優先順位の難しさもあります。
エンタープライズ企業の多くでは、IT投資用予算という枠があるのですが、それはだいたい売上高の1%から3%くらいといわれています。
エンタープライズ企業×調達部門の難しさにもつながりますが、例えば、CRMや色々なシステムがあるなかで、CRMに支払う予算と、調達部門に支払う予算の配分まで自分たちで組みにいかないと、予算が取れない場合もあります。

目の前のユーザーの方々が買いたいといっても、その上長が買いたいといっても買えない場合があるというか、その企業におけるIT予算があり、その予算をどうやって分散して、どうやってLeanerや調達に差配してくるのかが大事なんです。
限られたIT予算から、どうやって自分たちへの予算を捻出するのかというところの複雑さも、エンタープライズ企業ではより難しくなるかなと感じます。

【8】機能ではなくアウトカムを提供していく

やりがいが多いほど、難しさも多くなりますよね。
お話を伺っていて、メンバー個人の力量により、折衝の進捗度が変わってきそうな印象を受けました。マネージャーとして、メンバーのスキルの標準化をどうカバーされているのでしょうか?

仰る通りで、これまでの課題は、いわゆるCSのアウトカムが不明確で、オンボーディング完了後にどんな支援をすればいいのかわからないとか、どこまで支援すればお客様が満足するのかわからないなど、対応にすごくばらつきがありました。お客様が得られるビジネス成果が、CSとお客様に依存してしまうんです。
それを打開するために、得られるアウトカムをレベル別に整理して、どこを目指せばいいのかを標準化できるようにしています。

いわゆるサクセスのアウトカムについて、自身がずっといっていることですが、例えば、リーナー見積の複数社に一括で見積依頼ができる機能というのは、成果ではなく、単純にプロダクトの機能です。
もう一段進化すると、プロダクト提供価値へと上がります。一括で見積依頼ができると相見積率が向上する、これはプロダクトを使いこなすことでもたらされる価値だと思います。

それでもう一段進化すると、最適なQCDSつまり、品質・価格=コスト・デリバリー・サービスの頭文字で、いわゆる最適条件で買えるということになって、ようやくアウトカムになると思っています。
最適な条件で買えると、仕入れコストが下がり、利益が上がり、他社よりも販売コストを抑えて提供ができるため、売上が上がるというようなことにつながるので、ここまでいくとビジネス成果ですね。

ここに辿り着きやすくなるように、レベル1からレベル4までを社内で分けており、それぞれどんなプロダクト提供価値があるか、そのプロダクト提供価値によって得るお客様の成果、アウトカムは何かをレベル別に整理しています。
そのため誰でも、このお客様のレベルが今どこだから、次のレベルに持って行こうという議論ができるようになっています。

とはいえ、アウトカムと経営層が求めているものをつなげるのは、実際にはかなり難しいと思います。
自分は社内で「マジカルバナナ」とよく言っているのですが、少ない資源で調達部が運営できることや、最適な調達ができることは、経営指標でいうとどこにマッチするのかをちゃんと捉えること、そこの接続ができるようにならないと、つなげるのはかなり難しいと思います。
「最適なQCDSで調達ができる」といえば、「見積の提示金額が他社よりも良い条件で出るので、コンペで負けなくなります」というような接続ができるかはすごく大事ですね。
CSがお客様の経営層としゃべるためのスキルとして、「マジカルバナナ」ができるようになるためには、3つのことをしています。
 
1つ目は、6か月単位で三層接点でのレビューを絶対に実施しています。
導入後に経営層の方と、推進者の方と、ユーザーの方と、Leanerとの三層で、必ず今期得られたアウトカムと、次に狙うアウトカムを整理しています。
それで次にどんなことを目指すのかをずらさないように、かつそれを誰でもできるようにするということをしています。

もう1つは少し極端なのですが、弊社ではCSが入社直後は絶対にセールスをしてもらっています。
その背景として、お客様が投資してでも得たいアウトカムかどうかは、セールスじゃないとわからないと思っているんですよね。
CSはもう買ってくれている状態で接点を持ちますが、お客様が投資してでも得たいアウトカムかどうかはセールスでないとわからないと思います。
セールス経験を積んでもらうことは一定大事だと思うので、Leanerの場合はそれを実際にやってもらっています。

最後にもう1つ、もともとはターゲット企業の経営層だったような方々が、ご勇退された後に顧問をしているのですが、そうした元経営者の顧問の方々と、セールスとCSでどんなアウトカムだったらいいのかをすり合わせる場を設けて、誰でも標準的に「マジカルバナナ」をできるようにしています。

【9】SaaSで業界のスタンダードを刷新していくために

最後に今後やっていきたいことや、ビジョンのようなものがあれば、個人でもチームでも構いませんのでお伺いできますでしょうか。

そうですね。今後やっていきたいことは、冒頭のLeanerにジョインした理由とあまり変わっていないですね。
SaaSは日本のスタンダードを変えられると思っているんです。
オンプレミスのような自社向けにつくったシステムは、その会社は変革できますが、業界は変わらないと思うんです。
例えば、トヨタ自動車様向けにつくったシステムは、トヨタ自動車様は変わるけど、マツダ様や日産自動車様は変わらないじゃないですか。

SaaSは色々な企業の英知が詰まったものがシステムになっていて、それが業界のスタンダードになり得るだけのチャンスが、SaaSにはあると思っています。なので、SaaSで業界スタンダードをつくっていきたいです。
そのなかでもCSは、どの業界ならサクセスできるのか、どういうサクセスであればお客様のスタンダードがいい方向に変わるのかを定義できるというか、決めるのがCSの役目だと思っています。
だからこそ、SaaS×CSで業界のスタンダードを変えていくということを、まずは今対峙している「調達のスタンダードを刷新する」をミッションにして、紐づくところをやっていきたいと思っているのが前提としての想いです。

その上で実現のために、SaaSを提供する会社も、お客様も、関係しているサプライヤーも、みんなで一緒に成長していかなければ、業界のスタンダードをつくれるようなシステムにはならないと思っています。
ですので、一緒にこの業界を変えていきたいといってくれるような、エンタープライズのお客様のサクセスを通じて、マーケットのスタンダードをつくっていくことをやっていきたいと思っています。
そのために、1社数億円の投資をしてもらえるくらいお客様が困っている、スタンダードを変えたいと思っているような領域を見つけて、事業にしていくことができたらいいなと思っています。

今日はすごい視座が上がるようなお話を聞けてよかったです!ありがとうございました!

そう言ってもらえると嬉しいです!
「業界のスタンダードを変えたい」「マーケットをつくっていきたい」というような想いに共感してくださる志のある方々と、一緒にお仕事ができたらと思っています。
一般的に、調達のマーケットといわれてもまだまだぴんとこないと思いますし、今日の話でギリギリ何をしているかがわかるくらいだと思います。
業界のスタンダードを変えること、マーケットをつくること、エンタープライズのお客様に伴走することなど、少しでも気になったらぜひ、Leanerの採用サイトにもたくさん情報を載せているので、見に来てもらえたら嬉しいです!
またもし、自分と直接話してみたいと思ってくださる方がいたら、カジュアル面談も随時受け付けています。ご連絡をお待ちしています!


さいごに

株式会社KOMMONSでは1,200名以上のカスタマーサクセスが集まる日本最大級のコミュニティ『CS KOMMONS』を運営しています。
イベントや交流の機会、キャリアが広がる機会を多く提供していますので「CSの情報交換をしたい方」、「複業・転職の機会を得たい方」などはぜひコミュニティへご参加ください!

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