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【編集日記】70代の親をもつ子のための、筋トレと食事法でおさえておきたいこと

今回は川辺が担当します。自分の親は80代ですが、私自身の後悔も含めて、これから70代を迎える親をもつ子のために企画しました。人生100年時代といわれますが、実際は100年健康に生きられるかたは少ないと思います。


親は気づかないうちに、老いているという事実に愕然とした自身の経験から、同じ過ちをしてほしくなかったのが、企画のきっかけ。

個人的な話をさせていただきます。2022年10月に父が永眠しました。その連絡を受けて実家に戻ってみたところ、いろいろ愕然としました。

コロナ禍もあって、実家に行き来する回数がほとんどなかったことで、ここ2年ほどは両親と電話でのコミュニケーションが主でした。電話口ではとくに母に異常があることはわからず、元気でいてくれている、と勝手に信じていました。

しかし、実家に戻ってみると、いろいろな異変に気づきました。父の死とともに告別式まで1週間準備をしてきましたが、母の様子がおかしいことに気づきました。プライベートなことなので詳細は書きませんが、もう、かつての母ではない、ということはわかりました。

1週間で東京の家に帰るつもりでしたが、告別式が終わった後、私は実家暮らしを決意しました。もう、母は1人暮らしできない状態だったからです。

母との2人暮らしは、絶望の連続でした。目の前の事実を受け入れることができず、それでも期待しながら無理矢理、母を散歩させたり、ゴミの分別を教えたり、掃除をしてもらったりしました。

でも、私が母によかれと思ってしたことは、自身のエゴにすぎなかったのです。認知症になった母には責任はありません。

私自身、実家暮らしは2か月でストレスがピークになり、姉にあたっていたりしました。

でも、よく考えたら、自分自身がすべてを抱え、責任をもちすぎていたことに気づきました。「手放す」ことも大切だと思い、そこからはケアマネやヘルパーさんの力を借りるようにしました。

商業出版の企画だしは、毎月1点は提出することがマストになっていましたが、実家暮らしをし始めたころは、それどころではなかったです。

何をしていいかわからない境遇の人々に対して、少しでも役立つ情報を

実家暮らし当初は、母が食事をつくる気力も残っていて、夕食をつくってくれていました。

ところが、2か月、3か月たつうちに、母はほぼ夕食をつくらなくなってきました。

必然的にわたしが夕食担当ということになり、食事のことについて、改めて考えるようになりました。

食事担当となった私ですが、母は好き嫌いが激しいので、メニューが偏ってしまいました。なんとかしなければいけないなぁ……そう考えた時、過去につくった石黒先生との「食事法」の企画が思い浮かびました。

ただし、企画のフックが必要です。巷では「80代」と付いたタイトルがベストセラーとなっていました。でも、「80代」と付けても、売れるイメージが浮かびません。

いろいろ「80代」について調べてみると、「後期高齢者」というキーワードが出てきました。保険証も75歳から後期高齢者保険に代わります。

そこから、さらに調査を進めると、「健康寿命」というものがあり、男女平均で72歳くらいということがわかりました。

「想像している以上に、現実は厳しいなぁ。人生100年時代などというのは夢の話で、最新の医療をもってしても、精神・肉体の壁は「75歳」あたりにあるんだなぁ」

そう考えると、私のように親が80歳なってからでは遅く、少なくとも70歳あたりから、健康情報を知る必要があると思いました。

著者探し、難航。YouTubeからXへ

企画の骨格はすぐに思い浮かびました。ただし、著者探しは思いのほか大変でした。そもそもこのテーマにふさわしい著者は、医師であり、運動療法、食事法に精通している人です。

YouTubeに1人だけ候補者がいましたが、その当時、炎上していました。そういった状況下で、YouTube以外で活動している著者候補を探す必要がありました。

Xで著者を探すことになりました。何人かいた中で著者としてふさわしい人は1人だけ。本書を執筆していただいた大坂貴史先生でした。

大坂貴史先生の発信は素晴らしく、最新論文を読み込んで、一般の方々にわかりやすく伝えていました。「この先生なら…」ということで、ダイレクトメッセージを送ったところ、快諾していただけました。

大坂貴史先生は日中が診療で忙しく、打合せはほぼ夜の8時頃が通例でした。

私自身、夕方以降は自宅にいなければならなかったので、先生には失礼にあたりましたが、zoomの画面をオフにして音声のみの打合せが続きました。

介護する子の負担を少しでも軽減したい

本書『75歳の親に知ってほしい!筋トレと食事法』は、ダイレクトに「介護」や「認知症」については触れていません。

ただし、裏コンセプトとしては、「介護」や「認知症」になる前に準備してほしいというメッセージを込めています。

「75歳」としたのは、もしかすると、60~70代の読者が直接手に取るかもしれないですし、70歳近辺の親を持つ子が手に取ってくれるかもしれないと考えて、タイトルに入れました。

また、「筋トレ」と「食事法」という2つの要素を入れたのは、「75歳」にとって、どちらもテーマとしては外せない両輪だからです。

「筋トレ」といっても、若い人が行うようなものではなく、日常でできることを中心にしています。例えばウォーキングです。一般的には1万歩目標といわれますが、エビデンスベースでは8000歩です。これならできそうですよね?

「食事法」についても、とくに「たんぱく質」は要注意です。年をとるとたんぱく質の吸収率が悪くなるので、たんぱく質を多めに補給する必要があります。ただし、1回にたんぱく質を2倍3倍にしても、吸収できないので、本書では1食に20gずつ、計60gをとることを推奨しています。

つまり、常にたんぱく質が豊富な1品が毎食加わるというイメージです。

つくりの面では、文字サイズを通常よりも大きくし、15Qで構成しました。一般書は13Q~14Qですので、だいぶ大きなサイズです。配慮としましては、60代~70代のかたが読まれた時に「読みやすい」と感じていただくことです。

また、内容がかなり学術的でしたので、段落ごとに1行空きにして、ぎちぎち感をなくすことです。

項目には吹き出しの会話体から始まるようにして、全体的に軽やかにすることを心がけ、介護などで疲れている読者に、少しでもその負担が減るような気分にしてあげられたらよいと想像しながら編集しました。

これから本格的に「老老介護」の時代に突入します。読者ご自身が「若い」と思っていても、あっという間に時は過ぎ去っていきます。ですから、来るべき未来に備えて、今から「筋トレと食事法」に取り組んでみてください。


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