おじさんのラストエリクサー
大切なものをいつ使うのか? カードを切るタイミングは、いつなのか?
「おじさんのかさ」という児童文学がある
『おじさんのかさ』という絵本をご存知だろうか。おじさんはバチクソ立派な傘を持っているのだが、その傘がバチクソ良すぎて全然雨降ってても使いたくない。そのうちに、雨降りの際に子供が傘に落ちる雨音を楽しんでいるのを見て、おじさんは「傘はバチクソ使ってこそだ」とようやく気がつく。こんな筋立ての物語だ。
子供の頃、国語の時間にこのお話を聞いていて、さすが学校は教育的な場所だと思ったものだ。大切なものを死蔵せず、適切なタイミングかつ楽しく使うことこそが、道具を大切にすることなのだ。こんなことをこの物語は教えてくれた。
ラストエリクサー使えない問題
さて、人間というものは大事なものを取っておいてしまう。そして適切なタイミングで使わずに終わってしまう。
おじさんの傘だと、雨が降っている際に傘を使えず、雨はいつかは止んでしまうだろう。
ファイナルファンタジーにラストエリクサーという味方全員のHP、MPを全回復する道具がある。これはほぼおじさんの傘みたいな道具で、大事すぎて多くの人が使えない。そしてゲームをクリアするまで取っておいてしまう。
こうしたことはゲームではあるあるで「ラストエリクサー症候群」と呼ばれたりもする。
おじさんのラストエリクサー
それでは私たちおじさんは、傘やおじさんのラストエリクサーをどうしたら適切に用いることができるのだろうか? 色々書こうと意気込んでいたのだが、結局一個にまとまった。
慣れるのが大事
とにかく慣れることだ。おじさんの傘もおじさんのラストエリクサーも、一回性の強い存在だ。傘もラストエリクサーもおじさんは一回も使ったことがない。だからビビる。まっさらなものを汚すかもしれないという畏れがある。
いわばおじさんは童貞だ。おじさんは傘とラストエリクサーの童貞なのだ。だから傘とエリクサーを使えない。
どうすればいいかというと、慣れるってのが第一だ。ちょっとずつ、傘を使うシチュエーション、ラストエリクサーを使うシチュエーションに慣れていくことが肝要だ。
『おじさんのかさ』はこの点に大変な示唆を含んでいる。すなわち、おじさんは傘をさす楽しみを覚え、そこから傘をさそうという気持ちになった。
「状況を楽しむ」という後押しが、ラストエリクサーへの慣れを生むことだろう。失敗してもいいから、戦闘時にここぞと思った場面でラストエリクサーを用いる。そしてその状況を楽しむ。
これが今まで用いたことのない道具を用いる際、いわば新雪に脚を踏み入れる際の重要な点であり、同時に醍醐味となる。
そこには失敗もあるかもしれない。けれども、挑戦しないと失敗はできないし、私たちおじさんは失敗しないと正しく道具を用いることはできないのだろう。
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