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#現代詩

詩17『きみが寝てしまうまえに』

↑前回のおはなし

蛍光灯のひかりを落としてしまった瞬間

キラッとぼくの目を刺したのは

ストーブのコンセント
の先端の金属

荒く、鋭く、二つの四角が輝いたの。

あの、ねえ、今さらそんな目でぼくを見ないでほしいんだけれど。

だってきみ、昼間のあの静かさはどこへ行ったって言うのさ
しんとして、まるで存在しないみたいに。
一度だって、そんな乱暴に光ったりしなかったじゃあないの。

そう
眠れな

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詩11『冬の赤んぼう』

突然ごめんね、久しぶり。
散々迷ったんだけれど
やっぱりきみに、どうしてもきみに
聞いてほしいものがあったから。

今ぼくが暮らす街の秋は
まるで冬の一歩手前、そう冬の赤んぼうのようで
いったいいつまでいてくれるんだい、と
毎日夕方には、風に問うてしまいます。

そんなある日、雑貨屋で見たものは
コスモス模様のハンカチ、のお隣。
それは、売れ残りセール の印がついた
一袋のひまわりの飴でした。

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詩09『秋の虚芯』

ぼくの皮膚の透明の膜はどうしたって剥がせなくて、
ぼくらがどんなに抱きしめ合ったって
ぼくはきみに触れられない。
かなしいことじゃないんだよ。

ぼくらは近づき続けるんだ
そして、ぼくはきみの中に入れないまま
きみの心をすり抜けるだろう
そして、すれ違って過ぎるだろう

きみは、もう何も言わなくていい
ぼくとの日々を忘れるくらい、幸せになってほしい
「好きだ」も「愛している」も
そんな台詞を欲しが

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