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2020年11月の記事一覧

詩24『百貨店にて』

あなたへのお土産をもとめて
百貨店へやって来て
見つけたものがあるから
少しお時間をくださいな

【……続きは編集後に投稿します……】

[今日のおはなし]

土曜日になっちゃった。。。

詩25『白いいのち』

たとえば、ぼくが失敗した日だって
きみは何一つ変わらずしっぽを振ってくれる

ぼくがずぶ濡れになって帰って来ても
きみはピョンピョン跳ねて迎えてくれる

いつもいつもどんなときも、
変わらないということの、尊さよ。

きみは、家族の誰よりも知っている
この家で特別にお日さまがあたる所を
この家で一番、あたたかい所を

きみのお昼寝のための場所
それがきみの全世界

今日だってそうだ

きみはぼく

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詩24『今日のために』

疲れた人を癒すために
ぼくに何ができますか
失われていく命を愛すために
ぼくはどうすればいいのですか

心の中へ入れたわけでもないのに
どうして息が苦しくなるんだろう
どうして喉が重くなるんだろう

この体温を、この心臓、声帯、細胞を
ぼくの為だけで終わらせたくはなくて
両手を広げて声を放ってみたはいいが
やっぱりきみの前で立ち尽くすだけじゃないか

「大丈夫」は、きみを救いますか
「頑張れ」は、

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詩23『どこにいても、そばにいる。』

うん、だからね、ごめん
きみを連れては帰れない

だって、お母さんがまた怒るんだよ
これ以上汚いものをウチに入れないでって
これ以上お金のかかるものを持ってこないでって

また怒鳴るんだよ
お母さん、ほんとうはそんな人じゃないのに

だから、ごめんね。

ぼくはきみを明日から愛せないや
ぼくはきみにもう愛をあげられないや
だって、持ってない、持ってないんだもの

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詩21『初めのひとくち』

「食べちゃいたいくらい大好きだよ」
わたしの髪を撫でて
四度、五度、あなたが漏らしたこと。

そして、

やさしいあなたが珍しく、
わたしに、初めのひとくちをくれなかったものについて。

まだ夏の若いうちに
丸々とした白桃とともに、 病室のわたしを訪ねてきた日。

あなたはするすると、皮を剥いて
ぽくぽくと、実を、その身を切って
病室と同じ白色のお皿に、飾った。

あなたの眼は、桃の身を撫でて

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詩20『愛したかったよ』

儚さには、触れることもできません。

脆さは、抱きしめることもできません。

愛しさを表現するためには、ぼくはただきみの前に、あほみたいに立ち尽くして、見るともなく見つめるしか

見つめることしかできません。

[今日のおはなし]

鏡になれたら。

鏡は、これを見てやろう、聞いてやろうなどどいう事前の思惑は持っていません。

詩19『21:56』

L'Arc-en-Cielの意味を
あなたは知らない

「ばらばらに散る花びら 雫は紅」
あなたの唇、わたしが生まれる前の歌

L'Arc-en-Cielなんて
わたしは今日まで知らなかった、けれど

大学で教わったの、虹という意味のフランス語よ、なんて
小さなことは言えない

ただ深い青色の車内
遊び疲れて眠ったふり

あなたの中のL'Arc-en-Cielの意味を
わたしは知らないから

ただ

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