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【CQ特別インタビュー企画】筑波大学4回生 青山翔龍さん「違いに橋を架ける人になりたい。だからCQを知る運命だと感じた」

青山翔龍(あおやましょうりゅう)さん
筑波大学 グローバル教育院 地球規模課題学部 4回生 
CQ養成講座 実践コース修了(2023年2月)


一般社団法人CQラボは2021年3月の設立以来、組織ならびに個人向けのワークショップ、コーチング、コンサルティングなどを通じて国内外でCQの普及活動を行っています。

中でも個人向け公開ワークショップ(CQ養成講座入門コース・実践コース、ホフステードCWQ認定アソシエイトコースの3種類)はすでに実施回数16回を超え、今年も新たに10名の素晴らしい認定アソシエイト(ホフステード博士認定の国際資格)の皆さんが誕生するなど、確実に「CQを使ってグローバルに活躍できる人材」が増えつつあります。

この特別インタビュー企画を通じて、受講者がCQ講座で何を学び、どんなことを感じ、どのように学びを活かしているのか、その生のお声を紹介したいと思います。            聞き手:CQラボ理事 田代礼子

「日本語が母国語の自分が日本の文化にこんなに戸惑っている。来日する留学生にはどれだけ苦労が多いだろう」


ー青山さんは今、筑波大学でどんなことを学ばれていますか?

所属している学部では、地球規模の課題について研究しています。1-2年では主にSDGsについて研究し、3ー4年で自分で専攻を決めて学ぶプログラムです。今年9月の卒業に向けて目下卒論の仕上げているところです。

そんな大変な時期にインタビューに答えてくださってありがとうございます!卒論のテーマやそのテーマにしたきっかけなどを教えてください。

僕は「日本の大学が留学性を受け入れる上で今後どういった改善ができるか」ということをテーマに卒論を書いています。僕自身はフィラデルフィアで生まれ、アメリカの教育を受けて育ちました。筑波大学で初めて本格的に日本の教育を受けましたが、その中で日米の様々な文化の違いに遭遇しました。
 
「日本語が母国語の自分が日本の文化にこんなに戸惑っているのだから、来日する留学生にはどれだけ苦労が多いことだろう」というのが自分の問題意識の出発点です。またCASAという筑波大学の留学生団体の代表を務めていたので、活動の中で経験したことも大きなきっかけになったと思います。
 
卒論では、留学生に対して来日前に文化の認識を深めて異文化への順応を促すような事前の異文化研修プログラム実施を提言しています。特に留学生にとって課題になりやすい違いは、日本における「ホンネとタテマエの違い」と(米国など個人主義の文化と比べた場合の)集団主義の部分だと思います。

幼いころから自分が頭の中で「日米の文化の違いに橋を架けて」いたことに気付いた


ーなるほど。日米両方の教育システムを経験している青山さんならではの視点が卒論に活かされているわけですね。青山さん自身は思考する際に、日本とアメリカの文化のどちらの影響が大きいと思われますか?

 
自分の場合は特殊な立場で日米の文化を経験していると思います。僕は米国で生まれ育ちながら、家庭の中の言語は一貫して日本語でした。ですから思考をする際に周りの人が日本語を話していれば日本語、英語で話していれば英語で思考している様です。
 
幼いころアメリカの学校でディスカションする時に、英語で思考した結論とそのあと同じ課題を日本語で思考した結論が異なることに気付いて非常に戸惑いました。
それからは、英語の結論Aと日本語の結論Bを発展させて異なる3つ目の結論Cを導くこともあれば、「今は結論Aの方を選択しよう」など、その都度状況に応じて自己決定してきたと思います。
 
ー幼いころからまさに「(CQのテーマである)違いに橋を架ける」をご自分の頭の中で実践してきたわけですね。思考する言語の違いによって、例えばどんな結論の違いが生まれてきましたか?
 
特に覚えているのは、授業の中でトロッコ問題※1を議論した時です。英語で思考した時は「ヒーローになる」ことが大切(笑)で、他人の生命を優先して近親者を犠牲にする結論が導かれましたが、日本語で思考するとそれと逆の結論が出てきました。
まさに思考には言語や文化が大きく影響していると思います。

provided by Shoryu Aoyama

「僕はCQを知る運命なんだ!」と感じた。そして感覚で理解してきたものへの「答え」が「すべてそこにある」という衝撃を受けた。

ーそんな中で、青山さんがCQ実践コースに 参加されたきっかけは何ですか?

僕はCQを知るずっと前から「異なる文化の架け橋になる」ことを人生の目標にしてきました。筑波大学の友人に話したところ、「ぜひ(CQラボの主宰)宮森さんに会うべきだ」と言われました。宮森さんからCQの話を聞いた瞬間に「僕はCQを知る運命なんだ!」と感じました。「世の中に同じ想いを言葉にしている人がいる」という新鮮な驚きがあり、もっとCQについて学ぶために講座に参加することにしました。
 
ー青山さんが参加された実践コースには大学教員、経営者、コンサルタントなどの社会人や大学生など様々な背景の方が参加されていましがた、特に講座の中で強い印象を受けたことはありますか?
 
なんといってもCQナレッジで扱ったホフステードの6次元モデルです。
これまで自分が漠然と感覚で理解してきたものに対する「答え」が「すべてそこにある」という衝撃を受けました。モヤモヤしたものが「言語化」されたと感じました。
6次元の中でも特に「不確実性回避」の次元が印象的でした。自分が留学生の視点で日本人に接する際に最も大きな違和感の原因になっていることをこの次元が説明してくれました。


この文化次元に関わる自分の経験をお話ししたいと思います。
大学のあるプロジェクトに参加した時、日本の多くの生徒が失敗を怖れること、そして詳細な準備やリスク把握しないと行動できない様子を目にして驚きました。アメリカでは同じ状況では「とりあえずやってみないと分からないじゃないか」と考え前に進むのが一般的です。


ホフステードCWQ※2で出てきた僕の「不確実性の回避」のスコアはアメリカの平均にとても近く、アメリカ人同様に「曖昧さを許容する」傾向があることが分かりました。この傾向の人は「なんでもやってみないと分からない、成功するためにリスクを取るべき」と考える傾向があると知りとても納得しました(笑)。


ーご自分の傾向を知る前と知った後では何か変わりましたか?
 
大きく変わりました。人を見るときに「この人は文化次元に当てはめると、どの位置にいるんだろう?僕とはどう違うんだろう?」という関心が湧くようになりました。
そして(自分と異なり)不確実性の回避傾向が強い人に対しては、「こういう風に接してみよう」と具体的なCQ戦略やコミュニケーションの仕方を考えるようになりました。
CQを知る前もなんとなく「こんなタイプかな?」と予想して接していましたが、より具体的に落とし込めるようになったと思います。


将来的には、CQ講座で学んだアメリカ以外の文化圏※3の特徴も体得して、宮森さんみたいに効果的に橋を架けられるようになりたいです。そして相手の良さを引き出せるようなコミュニケーションをしたいです。

講座を通して「違い」は「怖れるもの」から「理解できるもの」へ変化する

ー最後に、どんな人にCQラボの講座をお勧めしたいですか?
また皆さんにどんなメッセージを伝えたいですか?

僕の様に、日本から外に出て様々な違いを経験した人に特にお勧めしたいです。
講座を受けることで、自分の体験を振り返りながら「答え合わせ」感覚で洞察を深めることができると思います。また「違いは怖れるもの」というネガティブな見方から「違いは理解できるもの」という見方に変わり、効果的なアプローチが取れるようになると思います。
僕自身もこれから「違いに橋を架ける」ことを実践していきたいです。
 
「世界に橋を架けられる人になりたい」という青山さんの熱意がたくさん伝わってきました!講座を通して「答え合わせ」という表現は本当に面白いですね。

過去に海外駐在を経験されたことのある受講者の方から、よく「赴任前にCQを受講して文化の価値観の違いを知っていたらあんなに苦労はしなかったのに・・・」という言葉をお聞きします。

私自身も過去に留学やアメリカ駐在員として赴任した中で様々な苦労を経験し、「もっと早くCQを知りたかった」と感じたことは2度3度ではありません。でも経験したからこそ、洞察を深め、更に新たなやり方を模索できるのかも知れません。

青山さん、今日は本当に有難うございました。

注記:
※1「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」という倫理・道徳的なジレンマを扱う課題。
※2 CQラボのコースの中で受検するアセスメント。ホフステード博士の6次元モデルに沿って個人の文化的な嗜好を可視化します。
※3 実践コースでは世界の文化を俯瞰するツールとして、「7つのメンタル・イメージ」を学びます。

CQラボでは定期的に個人向けに公開ワークショップ(CQ養成講座入門コース・実践コース、ホフステードCWQ認定アソシエイトコースの3種類)を開催しています。

ご関心のある方は、公式ウェブサイト のイベント欄を参照 https://cqlab.com/events/ 
またはinfo@cqlab.com までお問合せください。


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