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【CQ×TRAPOL】人口わずか160人。岡山の集落・上山に魅せられたローカルフレンドと巡る「当たり前じゃない」豊かな暮らし【上山ツアーレポート後編】

ゼロカーボン社会を目指し、行動変容を呼びかける『CQプロジェクト』は、ローカルフレンド(現地の人々)と出会い、現地に溶け込むような旅を提供するサービス『TRAPOL(トラポル)』とコラボして、環境課題への価値観を変える「サステナブルツアー」を企画・開催しています。

今回は、前編に引き続き、サステナブルツアー第2弾で訪れた岡山県美作市にある「上山(うえやま)」での2日間を振り返ります。


ツアー2日目:狩猟や炭作りの体験で、里山での暮らしに密着!

上山での最初の夜が明け、外に出てみると深く霧がかった山の間から朝日が昇ってくるのが見えました。参加者の皆さんが眠い目をこすりながら、古民家「いちょう庵」に集まってきます。

ツアー2日目は、炭作り体験やバイオ炭の散布、狩猟や燻製サウナなどの体験など、やることは盛りだくさん。どんな気づきが得られるのか楽しみです。

■朝食は、棚田で収穫したお米と手作りの味噌汁を堪能

いちょう庵に入ると、炊きたてのごはんとお味噌汁の香りが漂ってきました。朝食は、昨夜に引き続き、棚田で収穫したお米と、ローカルフレンドが味噌から手作りしたお味噌汁、そして地元で漬けたお漬物です。

一見、質素な朝食に感じますが、食卓に並んだそれぞれの食べ物が丹精込めて作られているからか、シンプルな構成でもびっくりするくらい満足感があります。

参加者のなかには、朝からごはんをお茶碗3杯分もおかわりする人も(笑)。食材の作り手の想いや、「食」に手間暇をかける重要性が伝わってくる朝食でした。

■ローカルフレンドのだいちさんから上山について解説

食後は、ローカルフレンドのだいちさんに、上山の歴史を教えてもらいました。だいちさん自身も上山に移住した1人。東京都出身の彼は、高校生のころから農村での暮らしに興味を持ち、大学生のときに、上山の「地域おこし協力隊」の1期生として移住生活を始めたといいます。

本来の計画では、移住期間は1年だったはずが、上山での暮らしをあまりに気に入ってしまい、気がつけば移住して10年が経つのだそう。

大地さん自身も、「自分でもこんなに長く暮らすと思わず、びっくりしています」と笑っていました。

スクリーンに写っているのは、いちょう庵のかつての様子。
だいちさんが移住してくる前は、この建物も薮に覆われていたのだそうです。

そんな上山地区の人口は現在160人。そのうちの46人を移住者が占め、人口をキープしています。移住者を含めた集落のメンバーが力をあわせて、1度は荒廃してしまった棚田を再生したのだとか。

だいちさんによると、上山の棚田の特徴は、昔ながらの形が保たれているところなのだそう。大規模な田んぼの区画整備が行われる前に、棚田が荒廃してしまったため、薮を切り開いてみると整備されていない、ありのままの棚田の姿が残っています。

美しい棚田の残る上山ですが、高齢化が進み、元の住人だけでは棚田の管理ができなかったところに、若い移住者が訪れ、少しずつ棚田を再生していきました。

上山の住民にとっても、今まで守ってきた農地が荒廃していく様子は「自分たちの手で大事な畑を守れなかった」という罪悪感から心理的にストレスが大きく、気持ちが落ち込んでいた方々も多かったそうです。移住者の手によって再生されていく棚田と共に、住民の気持ちも明るくなっていったといいます。

棚田とは、ただの田んぼではなく、集落の人々が力をあわせて守ってきた共通の「大切にしているもの」なのだということを、だいちさんの話から改めて実感しました。

■代々続く炭窯で、集落の伝統「炭作り」を学ぶ

そんなだいちさんは、上山で代々続く伝統的な「炭焼き」の継承者でもあります。移住してしばらく経ってから、炭焼きをやっていた先代のおじいちゃんから炭作りについて教えてもらったのだそう。

その後、炭焼きの伝統を途絶えさせないために、定期的に炭作りを行っているというだいちさん。今回は、そんな炭を焼くための炭窯を見せてもらうことになりました。

さっそく、だいちさんの案内で、いちょう庵から車で10分ほどの場所にある山の中へ入っていくと、急傾斜を降りた先に、炭窯が姿を現しました。

この炭窯も、集落の人の手によって作られたもの。山の中に炭窯を設置することで、炭作りに必要な木や粘土質の土がすべてその場で手に入れることができるので、効率的なのだそうです。

普通の人でも降りるのにヒヤヒヤするような急傾斜の山の中を、昔は80代のご夫婦が十数キロの木材を担いで昇り降りしていたのだと聞いて、びっくりしました。

また、だいちさんによると、炭焼きは1度始めると炭が完成するまで、釜を離れることができないので、夜通し炭の番をすることもあるのだとか。

完成した炭は貴重な品だからこそ、値段をつけて販売することはせず、集落の人々の間や訪れた観光客のもてなしに使っているといいます。

炭作りは、誰かから報酬を受け取ることができる労働ではありません。しかし、だいちさんにとって、里山で働くことは「稼ぎ」と「仕事」の2種類に分かれているのだといいます。

「稼ぎ」は食べていくためにお金を稼ぐことを目的にやること、そして「仕事」はこの地で暮らし、この地のことを語らせてもらうためにやることです。

炭作りはだいちさんにとって「仕事」だからこそ、そこに利益という概念はなく、集落の伝統を守るという「使命」を持って、彼は炭焼きをずっと続けてきました。

そんな話を聞くと、上山には利益を求めるだけではない「暮らしの中の営み」としての働き方が存在するのだと実感し、これまでの自分の生活にそんな「仕事」があったのかどうかを顧みるきっかけとなりました。

■インダストリアルデザイナー・大浦イッセイさんと「バイオ炭」を散布

集落の伝統である炭作りについて学んだあとは、今回のツアー参加者の1人であるインダストリアルデザイナーの大浦イッセイさんに「バイオ炭」について教えてもらいました。

普段は健康・医療関連のデザインを中心に手掛ける大浦さんは、現在、自身で立ち上げた「一般社団法人いのちのためのデザイン研究所」で、お米のもみ殻と微生物を組み合わせた「高機能バイオ炭」の開発に取り組んでいます。

大浦さんによると、お米は成長過程で二酸化炭素を吸収します。もみ殻にはその吸収された二酸化炭素が含まれていますが、これを廃棄物として燃やすと吸収された二酸化炭素は再び空気中に戻っていきます。

これをくん炭にすることで、もみ殻が吸収した二酸化炭素を固定することができるのです。

さらに炭素を固定したくん炭を微生物と組み合わさることで、土を元気にする肥料として活用できると同時に、炭素を地中に固定することもできるのだそう。

本来、焼却処分されるもみ殻を活用できるバイオ炭は、「脱炭素」と「食と農の発展」に繋がる重要な技術なのだ教えてもらいました

そこで今回は実際に、里山の畑を訪れ、バイオ炭の散布をすることになりました。

畑の上に散布された黒い粒が、バイオ炭です。

こうして散布することで、バイオ炭が微生物の住処になり、増殖した微生物によって、植物の成長が促進され、耐病性も上がるのだそう。

昔から受け継がれてきた炭作りの技術を見た後に、脱炭素と農業の発展のどちらも叶えられるバイオ炭という新たな技術に触れることができ、文化を継承していくことと、新たな技術を発展させていくことを両立させる重要性を知ることができた気がしました。

■「狩猟」や「燻製サウナ」体験で、里山での暮らしに密着

この日最後のコンテンツは選択制。「狩猟」「燻製サウナ」「堆肥作り」「炭作り」の4つのコースに分かれて、それぞれが好きなコンテンツを体験します。

どのコンテンツも、里山の暮らしには欠かせないことばかり。体験を通じて、ローカルフレンドの暮らしに密着します。

①山に棲む野生動物を狩る「狩猟」体験

里山の狩猟に使われている罠について説明してくれたうめさん。
野生動物が枠の中心を踏むと、罠が発動する仕組みになっています。

狩猟体験コースでは、山に棲むシカやイノシシなどの野生動物の狩猟方法を教えてもらいました。

先生になってくれたのは、上山に移住して10年目のベテランローカルフレンドのうめさん。普段は古民家を改修して、昔ながらの宿を提供したり、狩猟によってシカを捕獲し、ジビエとして料理をしたりして暮らしています。

山に入って罠の仕掛け方を教えてもらったあとは、うめさんが用意してくれたシカ一頭をみんなで捌いてみました。

普段食べる肉からは感じない、独特な獣の臭いが漂う肉に緊張しながら包丁を入れる時間は、食材というよりも1つの「生命」と対峙している気持ちになりました。

みんなで捌いたシカ肉は、この日の夕食に並ぶのだとか...! どんな味がするのか、楽しみです。

②里山ハーブとジビエ肉とともに燻される「燻製サウナ」体験

燻製サウナ体験コースでは、山の傾斜に作られた里山オリジナルのサウナハウスで、ハーブやジビエと一緒に燻される燻製サウナを体験しました。

このコースは、ローカルフレンドのありさんが担当してくれます。彼は、もともとアパレル業界で働いていましたが、衣類が大量に生産され、売れ残れば廃棄されることが当たり前の業界で働きつづけることに疑問を感じていたころに、上山に出会ったのだそう。

移住をしてからは、棚田を活用した作物の栽培や山羊の放牧などをしながら過ごしています。

体験に使ったサウナハウスも、ありさんが移住者の建築士さんと一緒に建てたものなのだそう。なんでも自分たちの手で作り出してしまう里山の人々からは、生きる力を感じます。

ゆずやローズマリーなど、里山で採れたハーブをたっぷり使ったサウナに入り、熱された身体で、里山の冷たい風に当たると、ここでしか楽しめない特別な「整い」を感じさせてくれました。

サウナ体験で参加者と一緒に燻されたシカ肉も、ジャーキーになって、夕食に並びます! 体験を通じて、食卓が豪華になるのも嬉しいものです。

③畑作りに欠かせない「堆肥作り」体験

堆肥作り体験では、堆肥を作るための金属製の枠組みを手作りしました。堆肥とは、落ち葉や家畜の糞尿などを積み置いて、微生物の働きで分解させたもののことです。

上山では、棚田の水路に溜まった落ち葉を集めて、金属の枠組みに入れておくことで、堆肥づくりをしているのだそう。

この堆肥づくりを通じて、水路をキレイにすることができ、落ち葉も畑の栄養分にできるという、昔から続くサステナブルな仕組みが出来上がっています。

④山に登って木を切り倒す「炭作り」体験

4種類の体験のなかでも特に過酷だったのは、この「炭作り」体験。炭作りと言っても、前述したとおり、炭を焼き始めるとしばらく離れることができなくなるので、今回は炭作りに必要な木を切り倒していく作業を体験しました。

4種類の体験のなかでも特に過酷だったのは、この「炭作り」体験。炭作りと言っても、前述したとおり、炭を焼き始めるとしばらく離れることができなくなるので、今回は炭作りに必要な木を切り倒していく作業を体験しました。

チェーンソーで木を切り倒し、倒れた木を炭窯まで運んでいきます。十数キロの重さがある木は運ぶだけでも一苦労なうえに、山の急傾斜を事故のないよう安全に運ぶのは、力と神経を使います。

炭作りに参加し、疲れ切った参加者の1人。

炭作り体験を終えた後には、参加した皆さんは疲れ切った表情に。

それでも、どこか清々しい気持ちになったのは、里山に暮らす人々がこの炭作りを大切にしていることが、ローカルフレンドの話から伝わってきたからなのかもしれません。

■2日目の夜は、山で獲れたジビエを使った里山ディナー

目の前で揚げてもらった、シカ肉のフライ。

この日すべての体験を終えたら、待ちに待った夕食の時間です!

捌きたてのジビエがこれでもかと並んだ食卓の様子は圧巻。参加者が集まって、みんなでシカ肉のフライを準備しました。

ローカルフレンドが目の前で揚げてくれたシカ肉のフライに齧(かじ)りつけば、今まで食べたことのあるどのお肉とも違う、深い旨味が口の中に広がります。

ローカルフレンド特製のシカ肉のロースト。

ジビエというと、独特の臭みがあるイメージでしたが、上山で食べるジビエは臭みはまったくなく、牛肉や豚肉よりも脂分が少ないので、むしろさっぱりとした食べごたえがありました。

噛めば噛むほど旨味が溢れ出してくるシカ肉に夢中になり、お皿の中身がなくなるころにはおなかがはち切れそうになるくらい満腹に。

上山でとれた川魚とゆずの煮込み料理。

こうした食事の時間を含め、普段は遠くに眺めるだけの山に、ぐっと近づいてさまざまな体験をしてみると、そこに暮らす人々がいかに山からたくさんのものを受け取っているかがわかります。

そして、里山に暮らす命をいただいて、みんなで食卓を囲んでおいしい料理を頬張る時間は、それそのものが昨夜、近内さんのお話しされていた「贈与」なのではないかと感じました。

ツアー3日目:最終日は棚田の運営に欠かせない「水路掃除」のお手伝い

■朝起きると、里山には一面の「雲海」

いよいよツアーも最終日。それぞれが泊まっている宿から「いちょう庵」に集まると、外には「雲海(うんかい)」が広がっているのが見えました。

雲海とは、写真のように山や飛行機などから見おろして、海のように広がって見える雲のこと。こうして雲海が見られるのも、標高の高い場所に位置している上山地区ならではです。

山の下に見える雲海の様子。

この日でお別れのいちょう庵で、朝ごはんに白米とお味噌汁を食べて、腹ごしらえ。今日はツアー最後の大仕事の「水路掃除」が待っているので、体力をつけておきます。

■棚田の水源「大芦池」から、水路掃除スタート

最終日は、上山に広がる「大芦池(おおあしいけ)」を案内していただきました。車で山を登っていくと現れるこちらの大きな池が、上山の棚田の水源になっています。

ここから水路を通じて、棚田へ水を引き、作物の栽培に利用しているのですが、秋になると落ち葉で水路が詰まってしまい、水が決壊してしまう恐れがあるのだそう。

今回はそんな水路の決壊を防ぐために、ツアーの参加者みんなで水路掃除を行います。

棚田の水源である「大芦池」。

ちなみに、大芦池から棚田に送る水量の調整をする重要な役目「水番(みずばん)」を務めるのは、ローカルフレンドのうめさん。彼は毎日決まった時間に、水門の開閉を行っています。

うめさんによると、棚田の生態系や水質を保つために、専門のダイバーに大芦池を調査してもらったこともあったのだとか。

その結果、大芦池には外来生物のブルーギルやバス、アメリカザリガニがたくさん棲息していたのだそう。

一方で里山の棚田を調査してみると、そのような外来生物はおらず、大芦池から棚田には、まだ外来生物は移動していないことがわかりました。

外来生物が棚田に住み着いてしまうと、棚田の営みを守ってくれる在来生物を淘汰してしまう可能性があるため、大芦池から棚田に外来生物が移らないよう、集落の住民によってこの大芦池も大切に管理されています。

ローカルフレンドが普段農作業に使っているスコップや草かきを貸してもらい、さっそく水路掃除を始めます。大芦池から続く幅40cmほどの水路から落ち葉や木の枝を取り除いていく作業をみんなで協力して進めていきました。

泥や水分を含んだ落ち葉は想像以上に重く、うまく力をかけないと持ち上げることも困難なほど。

力のある人に、大まかに落ち葉を取り除いてもらい、力に自信がない人は残った落ち葉をかき集めて、水路をキレイにするというように役割分担をします。

20人以上のメンバーが集まっていたからか、スムーズに掃除が進み、キレイになっていく水路を見て、ローカルフレンドも喜んでいました。

水路掃除は、毎年4月に集落に暮らす人々全員で行う恒例行事なのだそう。集落で新たな事業をやりたいと希望する企業の担当者も一緒に参加してもらい、この土地の暮らしを一緒に体験してもらう場にもなっているといいます。

実際に水路掃除を体験してみると、落ち葉や泥に汚れながらも、みんなで一緒にやる作業は思いのほか楽しくて、笑い合いながら、真剣に作業に向き合うツアー参加者の皆さんの表情が印象的でした。

棚田の恵みや上山の人々の温かさに触れたからこそ、少しでも恩返ししたいという気持ちが生まれ、水路掃除を意味のある仕事として捉えることができたのかもしれません。

■お昼ごはんは、地元のおばあちゃんが作ってくれた「ちらし寿司」

寿司桶いっぱいに盛られた鮮やかなちらし寿司。

水路掃除のゴールには、地元のおばあちゃんたちが作ってくれた豪華なちらし寿司が待っていました!

しめ鯖やかまぼこ、錦たまごなど具材がたっぷり入ったちらし寿司は食べ応えがあって、水路掃除で疲れた体に沁みます。

みんなでテラスに机を広げて、昼食を囲みました。暖かい日差しが心地よく、おいしい食事と幸せな時間に、心もおなかもいっぱいになりました。

ここでしか味わえない、尊くて満たされる時間に、皆さんからも笑顔が溢れていました。

■最後は、大芦池を祀る「大芦神社」で集合写真

上山でのツアーも、いよいよ終了。

最後は、棚田の水源となっている大芦池を祀った「大芦神社」の演劇場に並んで、ローカルフレンドの皆さんにも集まっていただき、全員で集合写真を撮りました!

上山に暮らす人々の「世界の広さ」を感じた2泊3日の旅

ツアー最終日、帰りの車に揺られて、少しずつ遠ざかっていく上山の景色を眺めながら、この2泊3日のツアーで感じたことを思い出していました。

楽しく、学ぶことばかりだったたくさんの記憶のなかで、もっとも印象に残ったのは、上山に暮らす人々の「世界の広さ」です。

「元の住民も移住者」も、「日常生活も仕事」も、「自然も暮らし」も、境界線なく溶け合って、家族のように笑い合って生きる集落の人々の暮らしは、見ているだけで眩しく、これが人間に備わった本来の生き方なのかもしれないという実感を覚えます。

さらに、もともとは都会で暮らしていた移住者のローカルフレンドほど、便利な都会から離れ、自らの意思で上山に移り住んできたからこそ「自分がここに来て生きる理由は何なのか」ということに日々向き合っていることがわかりました。

私たち参加者が「ただ楽しむ」だけでなく、この旅を通じて集落の人々が大切にしているものに素手で触れさせてもらった感覚を持てたのは、そんな自分の人生に向き合い続けるローカルフレンドと一緒に、彼らの目線を貸してもらって、里山の暮らしを見ることができたからなのかもしれません。

集落に暮らす人々も自然も、自分の一部として捉えた広い世界で生きているローカルフレンドの目線を、私たちの日々の生活にも取り入れることができたら、きっと私たち自身の世界も少しずつ広がるはず。

そうして世界が広がれば、「自分だけがよければいい」という、いずれ環境を脅かすことに繋がる感覚から、自分の一部である環境を大切にするのは当たり前という感覚に変わり、豊かな地球を守ることに繋がるのではないかと感じました。

脱炭素を含め、環境問題はすでに私たちが地球から資源などさまざまなものを受け取り過ぎてしまったことから起こり、次の世代の生活が脅かされているのが現状です。

それならば、今の便利で快適な生活を受け取った私たちが、次の世代の生活を守るための取組みを行っていくことは、まさに近内さんが教えてくれた「贈与」の形ではないでしょうか。

近内さんによると、贈与は与えることではなく、「受け取る」ことから始まります。もっと言えば、私たちがすでに「受け取っていた」ことに気が付くことから始まるのです。

私たちが地球からすでに「受け取っていた」ことに気が付くには、当たり前に送っている生活から一歩離れて、その暮らしがいかに当たり前でないのかを知ることが大切なのではないでしょうか。

そんな当たり前じゃないことを実感するための1つの方法が、「旅」なのではないかと感じられた3日間でした。

(取材・執筆=目次ほたる(@kosyo0821)/編集=いしかわゆき(@milkprincess17)/(撮影=深谷亮介(@nrmshr)、ツアー参加者提供)

高めよう 脱炭素指数!

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