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徒然 猫の格闘を見守る

うちの猫は実に悪い。
本当に悪い。
びっくりするぐらい悪い。

いや、とてもいい猫なんだ。
甘えん坊だし、うるさく鳴かないし、ご飯を正しい時間にねだるときだけ可愛く一回「ぴゃあ」と鳴く。
トイレが変わってもすぐに出来るし、失敗することもほとんどない。
いい意味で繊細さがないから、ケージの中のレイアウトを変えてもすぐに慣れる。
朝は、家族の布団を回り愛情を振りまいてくれる。
一人にだけ甘えずに、もう一人のお膝にも行く。そして両方ともに愛を与えてくれる。

とてもいい猫なんだ。

噛むことを除いては。

新しく我が家にきたシャム系の子猫、サラちゃん。

まだトライアル中なので正式には家族ではない。
だけど、本当にかわいい子なのだ。

まず、私たちの顔を見ただけでゴロゴロゴロと喉を鳴らす。
そして、ナデナデすると指をすぐに舐めてくれる。

え、可愛すぎないでしょうか?

四日の昼過ぎに、保護猫団体の方が来てくださりサラを連れてきた。
保護主さんと団体のリーダーの方。
みんな、ナギを見た時「綺麗な猫」とほめてくださった。
そう、うちの猫はきれいなんです。

サラをケージに入れる。
この子を迎えるにあたって新しく買ったケージはサラのお部屋だ。
ナギはナギで自分のケージを気に入っていて「僕の部屋」と思っているように、本気の睡眠の時はケージのベッドの中に行く。
だから、きちんと自分の部屋と分けておいたほうがいいだろうと考えたのだ。

細くて、白くてふわふわの女の子が現れた。

高貴な顔で私たちのことを見つめる。
怯えた様子もなく、お部屋を見ていた。

ナギは気づいた。
猫がいる。
小さい猫がいるぞ。
だが問題は僕が何故かケージに入れられていることだ。
何故かみんな僕のことを見てくれていない。
これは由々しき事態だ。
ぴゃー!ぴゃー!
僕と遊びたまえ!

いつもよりテンションが高いナギ。

サラに慣れてもらうためにサラが今まで使っていたボールの臭いをかがせることにした。
クンクンクン。

!!!!!

フレーメン反応いただきました。
めっちゃ面白い顔するやん、さすが我が猫。変顔がお似合い。

保護主さんたちが一回ケージ越しで対面させてみようと言ってくださったので、ナギを解放する。
すると、まっすぐサラのもとに行くではないか!

そして。

シャーーーッ!!シャーーーッ

おおっ、やっぱりシャーってするんですね。
思えばナギのシャーを見たことがなかった。初体験。

しかし、三度ほどしただけで興味が勝った様子。
手をケージに入れてはサラに優しく触れる。
サラも手を出してナギに触れる。
これは大丈夫そうだ。

その後、保護主さんたちが帰った後もナギはサラが気になるようでケージの周りをぐるぐる回っていた。
けれど、長い間見られていると緊張してしまうから、ナギを部屋から出してばらばらに遊ぶことにした。

しかしっ!

お互いがお互いのことが気になる。
障子越しでずっと「どうにか会えないものか」と手を出し合っている。
サラも初日とは思えないほど元気におもちゃで遊び、そして向こう側にいるナギを気にしていた。

もう一回合わせてみようか。
ケージにサラを入れて、ナギを解放する。
チョンチョン。
ジーーっ。
その目は愛おしいものを見る目だった。

そして、ケージ越しではない初対面。
サラに寄って行く。
ナギは匂いを嗅ぎたいようだった。サラのお尻の匂いを嗅ごうとするが、サラは嫌がり逃げていく。そして、攻撃。猫パンチ。でも両者ともその攻撃は優しかった。

そして、はなちゅっをする。

はなちゅ!!!

した!!

仲良くしようとしている!!

急激に仲良くなっていく二人。
追いかけっこをして、もうシャーってしない。
ナギのおもちゃでサラが遊んでも怒らない。

しかし、トライアルが始まって三日目の今日に至るまで、ふたりはケンカごっこを続けている。
これがケンカごっこなのか、本当のケンカなのか正直微妙だ。

だけど、サラはナギのご飯を盗み食いするがナギは怒らないし、
ナギがサラのトイレを嗅いでいてもサラは怒らない。

隔離してもすぐに会いたがって、障子をがりがりする。

サラは私たち人間に慣れてくれた。

ずっとぺろぺろしてくれるし、お膝に乗ってくれる。
そして保護主さんが「抱っこはあまり好きじゃない」と言っていたのに、今では抱っこをされてくれる。
本当に絶対、誰かしらのお膝の上で眠っている。
寝ていなくともお膝にいる。

……え、甘えん坊やん。

保護主さん曰く、あまりお膝に乗ってくる子ではなかったそうだ。
お布団で寝るときだけ必ず入ってくるけど、そこまであまあまな子ではないという感じだった。
そもそも女の子の猫はそういうものらしい。
男の子のほうがいっぱい遊んでいっぱい甘える。
女の子は人見知りで、あまりさわさせてくれない。
勉強していてそう学んでいたので「私たちみたいないっぱい仲良くしたい人は男の子のほうが良かったのかな」なんてトライアル前日は思っていた。

のに!

この甘えよう!

ほとんどの時間、私のお膝の上にいる。
現在、この記事を書いているときも膝の上にいる。
すぐなめなめするし、すぐゴロゴロいう。

愛情が安いよ?!
そんなに振りまいてて大丈夫?!

心配になってくるほどの甘えん坊加減。

そして、それはナギに対してもそうだった。

ナギが寝ているケージのベッドに飛び乗り一緒に寝ようとする。
そして、ナギをぺろぺろ、グルーミングしてあげる。

だけど、この凶悪猫は、すぐに噛もうとするのだ。
いや、噛む。
それにサラが立ち向かい、「シャーッ」と威嚇する。
手で顔を抑え、サラも噛み返す。
そして、グルーミングをする。

その姿はまるで不良生徒に愛情をもって怒る教師のようだった。

わっるいナギなのに、自分から寄って行ってちょっかいを出す。
ナギが食べてるご飯を横取りする。
ナギのベッドで寝る。

それをナギは優しい目で見ているのだ。

だけど、やっぱりナギは悪い。
極悪なのだ。

愛情がいっぱいなのに、愛し方がわからないヤンデレくんみたいな感じ。

可愛くて大好きで仕方ない。

ナギは一か月で私たちにひとりのところを拾われているため、兄弟との日々が短かったのだろう。
愛情の与え方を知らないのだ。
噛むことを愛情の表し方だと思っている彼は、すぐに噛む。

追いかけて、噛む。

猫の遊びはそういうものだと思う。
だから、しばらくは様子を見る。

ナギのほうが大きいのに、勝っているのはサラだった。
一枚上手なのだ。

長引くとふたりを離す。するとサラがナギに寄っていく。

この二人は本当にお互いのことが好きなんだろうな。
ナギが愛情の表し方さえわかれば、きっとずっと一緒にいる仲になるだろう。

その点で、サラはとてもいい。
負けない。
怒る。
噛み返す。
でも、グルーミングする。
いっぱい遊ぶ。
追いかけっこする。
でも、逃げるときはうまいこと逃げる。
嫌なときは人間の服の中や膝の上に隠れる。
気が強いし、ナギに対して厳しい。

今日見てて気づいたけど、
ナギよりサラのほうが噛んでるんじゃない?

ナギに噛まれたら、手で押さえてナギの耳を噛む。
噛む。
ダメでしょっていうように噛む。

ナギは極悪である。
私の手は彼による傷だらけだ。
だけど、本当にこの子は良い子なんだ。
愛情があって、サラのことが大好きなんだ。
私たちのことも大好きで、ただ遊んでいるだけなんだ。
ただ、一人で育ったから噛み方を知らない。追いかけ過ぎは良くないと知らない。
きっとサラがナギの指導員として頑張ってくれることだろう。

本当にいい子で可愛いサラ。
強くて、優しくて甘えん坊な君のためにたくさん幸せにしてあげたいと思うんだ。

でも、ナギとの交流はサラにとって怖いことかな。
ナギにとってもしんどいかな。
そう思うと辛くなる。
まだ4日目だ。きっとこれから良くなる。

もう人間たちは、サラをうちの子だと思っているのです。
可愛くて仕方なくて、手放せないの。
だから、ナギ。
君が早く遊び方を覚えてくれないといけないんだ。

君は本当にやさしくていい子なんだから、きっと大丈夫。
かわいいナギよ。これからもサラと仲良くしたいね。
一緒に暮らせるように頑張ろうね。

ああ、猫がかわいい。

二人が早く仲良くなってくれますように。

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