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秋の伊勢志摩 里海ツアー
秋も深まり始めた10月最後の土日。
抜けるような青空のもと、里海ツアーが開催され「サーキュラー・ツーリズム」の参加者がCOVAを訪れました。
1.あらためて聴く、里山・里海のはなし
COVAのある場所はかつて真珠の養殖場でした。
たくさんの人が働いていた作業小屋や見張り小屋はダイニング棟や宿泊棟に生まれ変わり、今ではお客さまをお迎えしています。
ツアーは覚田社長の挨拶から始まりました。
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この場所がじぶんにとってどういう場所か
コロナ禍であらゆるものが止まった時に考えたたくさんのこと
COVAを始めようと思ったきっかけ
漁業者の事業ゴミといった問題に直面する英虞湾の現状
について話をしました。
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人の手が入り整った森には光が差し込み、風が吹きぬける気持ちのいい空間になっています。
みなさんの笑顔を見て、これから過ごすこの場所が身近なものになり始めたのを感じました。
挨拶が済んだらまずは腹ごしらえです。
自己紹介を兼ねて昼食をいただきました。
おもてなしするのは、いつもの松本シェフです。
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和やかな雰囲気のなか、参加者の会話も弾みます。
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食事の後はアクティビティ棟に移動し、今回のツアーの趣旨でもある
「伊勢志摩・英虞湾の里海から考える 人と自然の共生」について一緒に考えました。
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その中で「リジェネレーション」ということばを耳にしました。
自然を人間が利用するための資源としてとらえ、環境負荷を抑えつつ持続可能な形で開発・管理していくのではなく、人間を自然の一部として捉え、人間活動(経済活動)を通じて自然やコミュニティを再生させていくという考え方
地球資源の枯渇や気候変動といった現在直面している危機には、持続するだけでは間に合わないとし、再生・繰り返す生み出す必要があるとする、サスティナビリティ(持続可能性)の先にある概念だそうです。
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人も自然の一部として捉え共生する姿は、伊勢志摩でも自然に営まれていた里海・里山の暮らしそのものです。
リジェネレーションについて、意見を求められた地元の方が
「それはこの地域に住んでいて当たり前に行われたいたこと。特別なものではなくこういうものだと思って暮らしていた。」
おっしゃっていたこととも重なります。
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森や栄養分が流れる入り江を有するCOVAでは、通常だと半径20キロは必要になる里山・里海の循環が敷地の中で行われています。
このあと、森と海に入りリジェネーレーションを体感します。
2.COVAの森
オープン前から時間をかけて整えてきたCOVAの森。
今では光が入るようになりましたが、伸びた枝が擦れ折れた枝が絡まり、悪循環に陥っていました。
丁寧に手を入れた今では、お客さまが心地よく散策できるまでになりました。
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この森に自生している木は塩害に強いものが多くあります。
代表的なものがウバメガシです。
ゆっくりゆっくりとしか大きくなれないので切っても年輪は見えず、細い枝でも水に沈むほど重いのが特徴です。
備長炭の材料として知られ、志摩の海岸沿いにはたくさん生えています。
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手を入れずそのままにしていると、木喰い虫の被害を受け木が倒れる危険も生じますが、ウバメガシは強いのですぐには倒れません。
小さい木には木喰い虫が入らないことはわかっているので、小さいうちに切れば被害を受けずに済むそうです。
また志摩のウバメガシは背が高いので、成長の早い周りの木も一緒に切るようにしています。
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短期間で変わってしまった自然についての正解を誰も知らないので、森の将来を見据え、想像力を働かせて木を切ってきました。
試行錯誤しながら森を整える作業は、これからも続きます。
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3.COVAの海
COVAの森には入り江があり、目の前には海が広がっています。
目指すは対岸の筏。
敷地内を歩くこともできますが、せっかくなので船で移動します。
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現在、真珠養殖場で修行中の岡野さんから「真珠ができるまで」の説明を受けました。(修行中の様子はこちらをどうぞ)
ほとんどの参加者が、アコヤ貝を見るのもはじめてです。
熱心に聞き入り、次々に質問も飛び出しました。
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貝、自然、人。
この三つが揃ってはじめて美しい真珠はうまれます。
COVAの海で真珠が採れる日はそう遠くないかもしれません。
続いては、ケアシェルの山口さんです。
前回の里海ツアーで入り江に設置したケアシェルがどうなっているかを確かめました。(前回の様子はこちらをどうぞ)
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「海は入ってみて体感しないとわからない。以前の海がどうだったか。
経験値と積み重ねがないとどう変わったかわからない」
山口さんが海洋酸性について感じていることのひとつです。
さて、設置したネットはどうなっているのでしょうか。
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広げた途端、カニが一斉に走り出しました。
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これまで、このあたりにもアサリはいましたが定着しませんでした。
二枚貝が育つということは、それだけ水を浄化しているということでもあります。
前回のツアーで設置したケアシェルはアルカリなので、入り江の底質改善にもつながっています。
底質とは、魚介類等の生息の場であると同時に、水質汚濁に係る化学物質等が蓄積・溶出する媒体であり、水環境を構成する重要な要素です。
海洋酸性化にはアルカリのものを入れる方が海にとってもよく、浜も人が歩いた場所には空気が入ります。
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ケアシェルはこれから先、6年くらいかけてゆっくり海に溶けていくそうです。二酸化炭素で固めたケアシェルは、溶ける時にも二酸化炭素を出します。その時には、炭酸マグネシウム・炭酸カルシウムになっているので炭素も固定され、流行りの脱炭素にも貢献している、と山口さんは言います。
今回、サーキュラー・ツーリズムの参加者に渡されたリジェネレーションの種。それぞれの場所でどんな花を咲かせるのでしょうか。
楽しみです。