読書感想:心がふわっと軽くなるACT
今回、第3世代の認知行動療法として知られている、ACT(アクセプタンス&コミットメント セラピー )に関する入門書を読みましたので、ご紹介させて頂きます。
ACT(アクト)とは、どのようなセラピーかというと、自分の思考・感情・感覚に気づき、価値感に基づいた行動がとれるようにしていくセラピーです。
つまり、
アクセプタンス(ありのままの感情、思考、感覚を受け入れ)し、
コミットメント(自分の価値感にコミットして行動を選択)する
セラピーということですね。
このように、ACTは、①体験をそのままに受け入れる、②その体験に基づいて自分が回避行動をとろうとしてることに気づき、③価値ある行動を選択するという、3回のステップを経ていきます。
個人的には、日々の内省にも使えるので、非常に使いやすく、汎用性の高いセラピーだなと思いました。
ACTは、とても奥が深いですが、簡単にエッセンスだけをまとめてみたいと思います!
①体験をそのままに受け入れる。
まず、ACTでは、人は少し苦悩や苦痛を抱えている状態が普通だと考えます。
なぜなら、思考・感情・身体感覚はコントロールできないから。
【思考】
・朝起きて早々、昨日喧嘩した相手との口論の内容を思い出した。
・遊んでいるのに、仕事のことが頭から離れない。
・過去の後悔を、妄想の中で別のシナリオだった場合を考えている。
・昨日聞いた音楽のメロディーがずっと再生されている。
【感情・身体感覚】
・将来に対する漠然とした不安が突如現れる。
・読書中、ある言葉がきっかけで嫌な体験を思い出し、胸が辛くなる。
・五感がきっかけで、ある出来事を思い出し、気持ちが動いた。
・嫌いな上司が近くに近寄っただけで、涙が出てくる、動悸がしてくる。
・会社のMTGが始まると、呼吸が苦しくなる。
これらは全て、自分の意志ではなく、思考・体の反応として勝手に行われ、制御不能です。
ですから、これらを失くそうとするのではなく、生じたありのままの反応に意識を向け気づくことが大切だと考えます。
例えば、仕事のストレスを感じた場合、そのストレスをメタ的に観察し、一度受け入れるということですね。
② 回避行動に気づく。
上記のように、思考・感覚・感覚的な影響は、自分の意志とは関係なく発生しますが、これらの反応と行動が結びついている場合が多いです。
例えば、我々は、言語を使って生きているし、言語に従って生きる習慣がついているため、頭の中で湧いてきた思考が本物であると思い込んでいる。
だから、うまくいかないと考える → やる気がなくなる、みたいなパターンに陥る。
また、感情・感覚についても、火傷するくらい熱い鍋に触ったら、即座に手を放すのが正常です。
しかし、人間関係で一度の嫌な体験が癖になって、別の人間関係でも同じ回避行動をとってしまうのであれば、軌道修正が必要だったりしますよね。
これらの、刺激→自動的にとる行動の癖に気づくことで、刺激→選択→価値に沿った行動と行動習慣を変えていくことができます。
③ 価値ある行動を選択すること
自分の回避行動に気づけたら、次は価値に沿った選択です。
そして、ACTの価値とは、日々の行動の方向性や指針となるもので、以下のようです。
この価値は目標ではないため、終着点はありません。
ですので、家族を作るとか、お金を稼ぐなど具体的なものではなく、「愛情を注ぐ」、「喜んでもらう」、「癒してあげる」などの抽象的な概念が価値になります。
そして、その価値を実現していくには、どんな心構えや、日々の行動がベターだろうか?と考えていければ良いわけですね。
ACTマトリックス
更に、ACTマトリックスという表が紹介されていて、表の中の4つの領域を埋めていくことで、価値ある行動・心の状態とそれを妨げる行動・心の状態を可視化することができます。
上段が具体的な行動、下段が心の状態です。
右側が価値へ向かう領域、左側が価値から離れる領域です。
本では、①→④の領域で埋めていくのが望ましいとのことでした。
作成した表を振り返ることで、価値ある行動を妨害してる心の問題、日々の回避行動が明確になり、自分の行動が内省しやすくなりますね。
私も、やってみて、自分の回避行動(むやみに外出する、映画・動画を見る、スマホいじる)を具体的に認識できましたし、本当は取るべき行動が具体的になりました。
自分の価値に向かって行動するって、すごく大変だし、簡単にブレるし、覚悟が必要だけど、頑張って前に進んでいきたいですね!
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