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【バレンタイン寸劇】「そして隆成とは誰なんだ」

■前置き
この話は、作者の体験談を基に作られたくだらない作品となっております。

■本編
「はい、あんたに」
気になっている女子が恥じらうようにピンクの小袋を渡してくる。
その小袋は見るからに手作りに見えるのは錯覚だろうか。
「まさか、僕に?ははは、毒でも入っていないだろうね?」
「そ、そんな訳無いでしょう、んっ」
そう言うと、彼女は無理やり僕の手に小袋を握らせ、廊下を走っていった。
彼女が見えなくなるのを待ち、そして僕はその場で高らかにガッツポーズをした。
「よっしゃー、僕はついに、ついに、願いが叶った」
嬉しさのあまり小袋を頬ずりし、家まで待ちきれなかった僕は小袋を開けた。
中にはまん丸のトリュフチョコレートが五粒と折り畳まれた白い紙が入っている。
「やっぱり、手作りチョコだ」
改めて胸の前でガッツポーズをする。
小袋から一粒を取り出し、それを眼前に持ってくると、段々と気分が高揚していくのがわかる。
「では、いただきます……」
僕はチョコを一口で頬張り、奥歯で噛むとチョコの味とは違うピリッとしたものが口の中に広がる。
そして、口の中に痛みが広がり、何かが喉に達すると噎せ返る。
涙が溢れ、口の中の激痛が収まらない。
直様鞄の中に入っているペットボトルの水を慌てて飲み干す。
「はぁ、はぁ、この感じ、か、辛子か!? 」
僕はその場に四つん這いにへたり込む。
「そ、そんな、僕が何をしたんだ……脈ありと思っていたのに……」
ひて腐れていると、ふと僕は同封されていた手紙を見ると、手紙の内容は”死に晒せ、隆成”であった。
”隆成”とはどこのどいつのことだ。

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