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「Jacqueline Wilsonの少女たち:多様性と成長の物語」~英語多読のための読書ガイド [児童書]~

英語学習誌『多聴多読マガジン』連載記事「多読のための読書ガイド」からのスピンアウト! 多読のプロたちによるおすすめの良書(英語の本)を紹介するコーナーです。



児童書編 ~2024年08月号~

執筆:小林 裕子 (桜蔭学園講師・SEG(エデュカ)多読講師)

Jacqueline Wilsonの少女たち:多様性と成長の物語

今号は英国のベストセラー児童書作家Jacqueline Wilsonの作品を紹介します。

“Tracy Beaker”や“Hetty Feather”のキャラクターの生みの親として知られるWilsonの作品は、困難や苦悩を抱えた少女たちが周囲の助けを借りながらも自ら問題を解決していく姿を描いています。

78歳のWilsonは、50代の終わりに38年間連れ添った夫と離婚し、その後Trishという女性と恋に落ちて一緒に生活しています。

今までLGBTについて書かなかった彼女ですが、Love Frankie (2020)の出版に際して自身が同性愛者であることを公表しました。

この本では、多様なテーマが描かれる中で、14歳のFrankieが初恋を経験します。

もう一冊、Sleepovers (2001)の続編 The Best Sleepover in the World (2023)では、Daisyが再びいじめっ子と対峙します。

前作では、仲良し5人組が誕生日順にお泊まり会をしていましたが、Daisyの姉が原因でChloeとは絶交状態に。

今作では、障害を持つ姉Lilyが新たな手段を得て、自らのお泊まり会を希望します。

ゴスガールやドラァグクイーンの登場など、多様な現代を反映しています。

(1)『Love Frankie』

YL 5.0-5.5
著者 Jacqueline Wilson
出版社 Corgi Childrens
総語数 72,576 語

もうすぐ14歳になるFrankieは、多発性硬化症の母親、家を出た父親、いじめなど様々な悩みに直面しています。

しかし、いじめっ子だったSallyと仲良くなり、次第に友情以上の感情を抱くようになります。

戸惑いながらも、自分の気持ちに正直に従うFrankieの姿が描かれます。果たして初恋は実るのでしょうか。

Wilsonは自身の経験をこの作品に込めたのかもしれません。


(2)『The Best Sleepover in the World』

YL 5.0-5.5
著者 Jacqueline Wilson
出版社 Puffin Books
総語数 53,088 語

Daisyの天敵Chloeは友達を取り戻そうと豪華なプールやSNSのスーパースターのライブを含む「世界一のお泊まり会」を計画し、Daisyだけを招待しません。

Daisyは姉のLilyに辛い心情を打ち明けます。

Lilyは専門学校で学んだ手話を使い、Daisyと協力して「世界一素敵なお泊まり会」を計画。

お泊まり会当日までDaisyの葛藤は続きますが、友達や家族の支えが結実するラストは感動です。


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最初は英語学習者向けに語彙制限されたリーダーからスタートし、児童書、シャーロック・ホームズものやアガサ・クリスティーの名作、綾辻行人や東野圭吾の英訳本とステップアップ。

さらに、まだ翻訳されていない作品にも、癖がなくてすらすら読みやすく、とびきり面白い本があります。最後はそんな旬のミステリーの世界にご案内します。

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