「災害を生き延びろ! “I Survived...”シリーズ」~英語多読のための読書ガイド [児童書]~
児童書編 ~2024年02月号~
執筆:黛 道子(元日本保健医療大学教授)
災害を生き延びろ! “I Survived...”シリーズ
今年度も引き続き、chapter books*をご紹介しています。
今回、ご紹介するのは、“I Survived...”という実際に起こった災害を背景に描かれたシリーズです。
歴史を振り返ってみると、地震、嵐、干ばつなどの天災や、戦争、事故、テロなどの人災に見舞われ、人類は何度も危機に立たされてきました。
その衝撃の大きさのため、人々の生き方やものの考え方に大きな影響を与えたことも少なくありません。
このシリーズはそうした歴史的な危機を子どもの目から描いています。
子どもが対象なので、あまりに悲惨な場面はありませんが、それでもその出来事の背景や原因がわかるように描かれており、大人も興味深く読めると思います。
主人公は10歳くらいの少年少女で、大人の助けを得ながらも、想像もつかないような危機に勇気をもって立ち向かいます。
このシリーズは1冊、1万語程度で書かれています。
これがスラスラ読めれば、多読の基礎がほぼできたと考えて良いと思います。
graphic novel版も出版されているので、お好みに合わせてお読みください。
(1)『The Japanese Tsunami, 2011』
(I Survived vol.8)
11歳のBenは空軍のパイロットだった父を交通事故で失い、家族と共に父の故国、日本を訪ねます。
滞在していた海辺のおじの家で、東日本大震災に襲われます。
崩れそうな家から逃れ、おじの車で避難する途中で津波に巻き込まれます。
死を覚悟しますが、心に残る父の声に励まされ、Benは耐え抜きます。
(2)『The Nazi Invasion, 1944』
(I Survived vol.9)
ナチスのポーランド侵攻により、ユダヤ人の少年Maxは住んでいた家を追われました。
やがて父もナチスに連行され、Maxと妹は頼る人もなく、ゲットーから逃亡します。
パルチザンの人々に助けられ、彼らと共に森の中をナチスの襲撃から逃げ回ります。
恐怖の日々を勇気をもって生きる子どもたちがけなげです。
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