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鎮める

『交流を断つんだ』

納得なんかしていない、でもそこまでもやもやもしてないのが不思議。私の楽しみが取り上げられていく。あぁもう。感情を振り払うように走った。夕陽が川に沈んでいくのがすごく美しい。


今まで経験した事がなかった。言葉にもならない怒り。憤慨って言うんだと思う。ただ「うぅぅ」と動物のように唸り、唇をぎりぎり噛むほどの怒り。それを通り過ぎて、半ば諦めに近い状態の今。正直、冷めきっている。何を言われても疑ってしまう。信じられるわけがない。

『シホに交流を止めさせたいわけじゃない。本当に違うんだ。タビトの執着によって状況が狂わされてる。特別な状況になってる。影響を受けない為には今の時点では交流を断つしかない。』

(どっちが話してんだろう。またタビトが成りすましてるのかな。まぁどっちでもいいけど。)


走っている間はあまり何も考えてなかった。走り出したら止まりたくなくて、ゆっくりでも走る。ひたすら息が苦しい

(しんどい、止まりたい。ダメダメ、まだ行けるでしょ?ぜんぜんまだ余裕あるじゃん。あと少し、ここまで来れたから、もう少し。行ける。絶対行ける。苦しいけど後ちょっとで終わりよ。)

走る時はいつもこうやって自分を励ます。いや、これって追い込んでるって言うのか。

ん?でも走るのを止めることも出来る。止まるも走るも自由自在。あれ、これって今の状況もそうなのかな。苦しいのを続けるか、止めるか…。そうか、私は止まりたくないのか。苦しいの好きなのかな。ドMなのか。そうかも。なんとなく納得した。

海の神社での交流を思い返してみる。今の状況を生んだきっかけは、確かにタビトかもしれない。でも続けるって決めてるのは自分かもしれない。

じゃあ特別な状況ってどういうことなんだろう…まあいっか。考えても分からないし。

すっかり黒が増えた空。走る前より気持ちが軽くなってるなぁ。分かってはいたけど、やっぱり運動しなきゃなって痛感した。やだな。

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