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山嶺の霧

これは書き留めないと忘れてしまう。

またスイッチが入って食べ出して、
誰かに操られながら動かす手は、次々に食べ物を口に運ぶ。
(来月の支払いは大丈夫かなぁ)
なんて、ぼんやり私自身の意識は考えてた。
これを第三者が見ると、過食を人のせいにしてるって思うんだろう。

(あぁ早く終わらないかなぁ。)
まるで、あまり得意じゃないSEXが終わるのを待ってるみたいな気持ちになった。

と、ここまではいつもと同じ流れだったんだけど、吐き出していたら急に、元の職場に戻って楽しそうに働いている私の姿が見えた。
やるなら上を目指したい。1番になりたい。イキイキした眼差しで、周囲のスタッフに語りかけている私がいた。
そしたら次は、見たことない広大な葡萄畑のイメージを見た。
それは昔、日本の反対側で見た葡萄畑と似ていたけど、たぶん違う。

私、こうなるんだ。
確信した。
瞬間、はらってもはらっても立ちこめていた暗雲が急に風で吹き飛ばされていった。

さっきまでの無気力さも、今、この目の前の無意味な行為ですらどうでもよくなった。
なんと表現したらいいんだろう。
視界が開けたような、何かが取り除かれたような、不思議な気持ち、感覚だ。

同時に、人間を妨害する行為が脳のヤツらには当然な中で、このはっきりした自分自身の意志みたいなものを維持するのが
人間として前に出てる魂にとってとても難しいことだと理解した。

スコアが私の脳裏に今の状況にピッタリな曲を流し、今の状況を説明してくれてるみたいだった。

この時に見た未来のイメージを持ち続けることが出来たら私の勝ち。

絶対に取り戻してやる。
私の魂。

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