「赤字から脱却したい」なら、お金から売上の金額を逆算する
「赤字から脱却したい」というご相談があった際、大きく分けると、次の二つのパターンがあります。
・売上の金額が少ない
・利益の金額が少ない
スタートアップ企業の創業期のように、そもそもまだ売上が上がっていない場合や、経済情勢の変化によって、売上が大きく減少した場合などは前者の事例。
一方で、ある程度売上は上がっているのに、材料費の高騰等により赤字になっている場合や、人件費や毎月の諸経費などの固定費がかなりかかっていていて今の売上ではカバーできないような場合は後者の事例です。
理想は「売上の金額が大きい×利益率が高い=充分な利益を確保できている」状況ですが、実際にはなかなかそう上手くはいきません。
そして、この「充分な利益」というのは会社によって違います。
特に銀行からお金を借りていて、毎月返済しているような場合。
たとえ黒字であっても、黒字の金額が小さいと、頑張ってお金を稼いでも、銀行にお金を返したら、手元にお金が残らないという状況に陥ります。
また、売上の金額は毎月発行する請求書を合計すれば計算できるように、形とし見えますが、利益の金額は試算表や決算書を作らないと数字として見えません。このため、顧問税理士から試算表をもらって、「えっ、あんなに頑張ったのに先月も赤字だったの!」とびっくりされる社長さんもおられます。
そこで、「赤字から脱却したい」というご相談があった際によくお伝えするには
必要なお金の金額を見定める
↓
必要な利益の金額を理解する
↓
必要な売上の金額を算出する
という方法です。
先日も、あるクライアント先で、この手順に沿ってご説明し、「黒字化するには最低でも、これぐらいの売上が毎月必要です」ということをご理解いただきました。
先方は「えっ、こんなに必要なの!?」とややびっくりされたご様子でしたが、まずは現状を正しく理解することが出発点になります。
利益率が高い商品を扱っていたり、社長が営業がお得意だったり、といった要因で、たとえどんぶり勘定であっても、今は充分な売上と利益を確保されている会社もあるかと思います。
ただ、変化の激しい状況下においては、
・会社経営に必要なお金の金額を見定めた上で日々仕事をする
・会社経営に必要なお金の金額を知らないまま日々仕事をする
のとでは、長期的に見れば大きな差が生まれます。
そして、赤字経営に陥って困っている会社の大半は、後者の「会社経営に必要なお金の金額を知らないまま日々仕事をする」ケースです。
もちろん、必要なお金の金額から逆算して売上の金額を算出しても、その売上を達成できるとは限りません。
しかしながら、「富士山の頂上がどこにあるかも知らずに歩いていたら、いつのまにか富士山の頂上にいた」ということがないのと同じく、目指すものも知らずに適当にやっていたら、結局達成できていたということもありません。
また、銀行員などは赤字の会社に対して、「この経費を削減してください!」といったアドバイスをすることが多いです。
赤字の際は無駄な経費を削るのは大切です。けれども、中にはその経費を削ることで、必要とされる売上がかえって達成できなくなることもあります。
その際、たとえ銀行から「この経費を削れ」と指示されても、「いや、この経費を削ってしまうと、かえって赤字が増えます」としっかり主張できるかどうか。
会社の資金繰りを回すのは銀行員ではなく、経営者である社長です。
なお、毎月必要なお金を知るためには資金繰り表の作成が必須です。
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