スマホ

Web時代のプランニングの考え方

下記の記事、ACC賞の募集が6/1〜なので、その宣伝記事かなにかと思いきや、(もちろんそういう意図もあるとは思いますが)とてもとても示唆に富んだ内容だったので、備忘録としてメモメモ。

内容は対談ですね。ソフトバンクの「白い犬」シリーズや東京ガス「ガス・パッ・チョ!」シリーズを手掛けてきたクリエーティブ・ディレクター(電通の場合「クリエイティブ」ではなく「クリエーティブ」なんですよね。なんでだろ)の澤本嘉光さんと、「ゴッドタン」「青春高校3年C組」などの番組を作ってきたテレビ東京・プロデューサーの佐久間宣行さん。

Aカテは「テレビCM」。Bカテは「Web動画」を差して会話しています。

では、おもしろいな、と思った箇所を箇条書きしていきます。

佐久間氏:最近夕方に10代向けの生放送番組を始めたんですけど、10代向けのわりにツイッターのつぶやきが少ないんですよ。原因を調べてみたら、みんなその番組をスマホで見ているからスマホが使えないんです。いや、ウソだろと。スマホ化シフトが完全に進むと、逆にSNSでのつぶやきが減る。(中略)10代向けの番組となると、SNSのつぶやきは逆に減る。おそらくAbemaTVはそれを解消するために、何かとリンクすればその中でつぶやけるようにしている。地上波テレビも早めに対応しないとだめだなと感じたんです。

→当たり前だけど、確かにそうだ(笑)っていう。やはり何を企画するにしても、生活シーン・利用シーンをユーザー本人になりきって想像してから企画する、この基本の大切さを改めて思い知ります。

佐久間氏:プロモーションのムービーも、ネットに関しては3,4カ月でトレンドが変わっていくから対応していくのは大変。
澤本氏:そうですよね、僕らは半年1年で変わったりしないじゃないですか。ロジック上で「こういうのがバズる」というある種論文のようなものが出たら、それにのっとってしばらくはつくり続けるから。それがもう、すでに遅くなっている。彼らの早さにどこまで追いつけるかというと、僕たちおじさんはもう追いつけないんですよね。

→私もいわゆる「バズらせ方」や「メディアごと(Facebook/Twitter/Instagramそれぞれ等)のヒットの傾向」のようなものを分析して企画することが多いです。その中には普遍的に使えるロジックもありますが、流行に乗ってメディア露出していくようなロジックだとその流れはかなり早いですね。あとデジタルをフル活用している世代にとっては、似たような表現が何回か続くだけで「またこのパターンか」となるので、表現手法の部分でも常に目新しさが求められる気がします。

佐久間氏:藤田さんの考え方はすごい明確で、「どう考えてもネットにテレビが同時に流れていかないと衰退するのはわかっているのに、みんながやらないからうちがやりますよ。先行者利益で絶対勝ちますよ」というスタンスなんです。でも思ったより時間がかかっているのは、単純に高齢化ですよね。日本だけが、音楽もCDの売り上げを超えていない。それと同じことが地上波にも起きていて、本当ならネット配信とかが他国と同じくらいのスピードで来てもおかしくはないのに、日本だけテレビ地上波がマーケットを持っている。それは高齢化だから。
ただ、現状の日本のマーケットゆえそこの変革が遅いと、グローバルな競争に立ち行かなくなっていくのが怖い。僕がどの時代にどういう風に残っていくかはわからないんですけど、今の20,30代のクリエイターはそろそろマーケットと真逆なことをやっても先行者メリットはありそうだなという気はします。僕らが全然知らない映像スペシャリストが、今後出てくるんだろうなと。

→日本には、インターネットを使っていても、それはメールやLINEだけだったりして、検索すらしない人たちがいるというデータを見たことがあります。それに加え、高齢者がたくさんいる日本。あわせると人口の半分くらいはそういう人たち。だからまだまだテレビCMで商品が売れる。
一方で、都市部ではデジタルネイティブが、ネットをフル活用。日本は「マスメディア依存型」と「デジタルネイティブ」に大きく2分されているにも関わらず、都市部で働いている広告のプランナーやマーケターは、都市部の感覚で企画をしてしまっている人が多いそうです。
尖った手法で、一部に爆発的にウケてから広がって市民権を得る、みたいな企画がこれから徐々に増えてきそうですし、狙っていきたいですね。

澤本氏:僕がこんなことを言うのはなんですが、その予算をテレビ局に預けたほうが動画としていいものができる可能性がある。例えばBカテの動画で2分のものをつくってと頼むとき、代理店よりテレビ局で動画をつくっている佐久間さんとかに「2分でみんなが反応しやすい動画をつくって」と頼んだほうが。もっと言えば素人でもつくれちゃう。

→最近私もWebの企画をする時は、広告のプランナーだけではなく、テレビの脚本家に頼んだり、ママ向けの企画であればママ友達に一緒に考えてもらったりします。従来の広告の感覚はWebではあまり通用しないことが増えてきているので、職種を超えて生活者目線のアイデアを追究することが近道ですね。

今の広告業界は、テレビがまだまだ儲かるのでWebにすごく精通している広告プランナーって意外と少ないです。一方で、Web出身の人も、Webが獲得系(バナーやテキスト広告ですぐに購入を促す広告)がメインの市場だったのに、リッチな表現のWeb動画が登場したので、いきなりできることが広がって、それに対応できるWeb出身プランナーもこれまた少ない。今の時代のマスとデジタルを横串で考えられるプランナーになれたら、これから2〜3年は需要が高いと思います。がんばろっ!

サポートいただいた分は、私も他の方のサポートをします!懐温めません!もっと素敵なnoteがもっと増えますように!