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英国派遣プログラム「Horizon」 責任者に聞く制度への思い(前編)

昨今、ユニークな社内制度を掲げる企業が増えている中、クックパッドは2021年にイギリス・ブリストルにあるグローバル本社に新卒入社3年以内のメンバーを派遣するプログラム「Horizon」をスタートしました。「毎日の料理を楽しみにする」をミッションに掲げ、レシピ事業をグローバルにも展開するクックパッドは、どのような狙いでこのプログラムを始めたのか。また、プログラム参加を通じて、メンバーにどのようなことを期待しているのか。プロジェクト責任者の國江木綿子(くにえ・ゆうこ)に聞きました。

※写真は撮影時のみマスクを外しています

新卒入社3年以内の若手社員向け海外派遣プログラム「Horizon」

ーーまずはじめに、「Horizon」の内容を教えてください。

「Horizon」は、新卒入社3年以内のエンジニアとデザイナーを対象とした、海外オフィス派遣プログラムです。参加者は、イギリスのブリストルにあるクックパッドのグローバル本社に6カ月間派遣され、現地のチームに入り、世界中から集まっているメンバーとともに働くことができます。

ーー現地では実務を行うということですが、そもそも「Horizon」はどのような狙いのもとに策定されたプログラムなのでしょうか?

この制度の狙いは、社会人としてキャリアを構築する初期段階に、グローバルな環境でチャレンジするという経験を通して、若いメンバーの成長を加速させることです。

新卒入社3年以内の伸びしろが大きい時期に、多くの刺激を受けて成長してほしいという想いから実施を決めました。プログラム名も「新しい地平線に向かってほしい」という願いを込めて「Horizon」と名付けているんです。

ーー対象者を新卒入社3年以内に限定した理由はなんですか?

クックパッドでは、入社してくれた新卒の社員に対してできるだけ早く成長できる環境を整えたいと思っています。人材育成の調査では座学などの研修よりも、より実践的な環境で、ある程度ストレッチのある仕事を早くローテーションすることが効果的と言われており、それを実現する方法の一つとして考えました。

会社に入社し、フレッシュで成長の伸びしろが大きい最初の3年間にグローバルな環境で働く経験をすることで、より早く大きく成長することを期待しています。
6カ月という設定も、適切な期間を様々な角度から検討し決めました。一つの施策やテーマに取り組んである程度の結果を出すためには一定の長さが必要な一方、期間を区切ることで集中が高まる側面もあります。このバランスを考え、6カ月にしました。

ーークックパッドは74カ国・地域*でサービスを展開していますが、中でも欧州を派遣先に選んだ理由はありますか?

クックパッドが日本以外で提供しているサービスは、イギリスのブリストルにあるグローバル本社で開発されています。ここで働くことは、日本以外の世界中のユーザー向けにプロダクト開発をすることを意味しますし、30カ国以上から集まっている異なるバックグランドを持ったメンバーと働けるのは、若いメンバーにとって貴重な経験になるはずです。

またイギリスは伝統的に移民に門戸を開いており、世界中からさまざまな人が集まってくる国でもあります。イギリスにグローバル本社があるからこそ、この国際的な環境が実現できていると思います。

*展開国・地域数は、2022年3月末時点。

リスクをとって、思い切り挑戦できる環境を

ーーHorizonに参加するとどのような成果を求められますか?

Horizonの期間中は、短期的な事業上の成果を出すことよりも、リスクをとって挑戦し失敗も含めた経験を積んでもらうことを求めています。

世界中にいる料理をする人たちが置かれた環境はさまざまで、変化も激しく、そのなかでどうやったら料理を楽しむ人が増えるか、そのために何をすればいいか、という課題に前例や正解はありません。そういった不透明な状況でクックパッドのMissionである「毎日の料理を楽しみにする」を実現するためには、何を課題として捉え、どう解決していくかを自律して考えられる人材になるべく早く成長してもらう必要があります。
そのためには、自分で考えて行動した結果、たくさんの失敗を重ねるほかないと考えていますし、特に「Horizon」の期間中は「時間」と「場所」を切り出すことで、リスクをとった挑戦を短期間にたくさん重ねられる環境を意図的に作りだしています。

ーー参加した若手社員に期待する、一番学んで欲しいことはなんでしょうか?

一番身につけて帰って欲しいのは、リーダーシップですね。「クックパッド」は日本ではよく知られていますが、海外ではまだまだ知られていません。世界中の人々を相手にサービスを提供し、料理を楽しみにするほどのインパクトを出すには、やらなければいけないことがたくさんありますし、何をするべきかを自分で考え、自分が行動をしなければ、何も起きない。グローバルな環境下で、自ら何かを起こそうとする経験をしてほしいんです。

世界中から集まった同僚と仕事を通して信頼関係を築くだけではなく、プライベートでも、慣れない環境での生活や友達づくりなど、自ら動いて機会を作り出す経験をして欲しいと思っています。自分の行動が周りにインパクトを与える、たとえうまくいかなかったことがあったとしても、海外という未知のフィールドで思い切りチャレンジしたんだという自信をもって帰って欲しいですね。

もちろん、チャレンジした結果が成果につながるという成功体験も良いのですが、自分の知らない環境、母国語でない言語を日常で使う生活の中で、何かを起こそうとすることが何よりも貴重な経験です。「Horizon」の間に失敗したことがあったとしても、長い目で見れば成長を加速する糧になると思っています。

ーー現在のプログラム参加者は、実際にどのように働いているのでしょうか?

現在はiOSエンジニア、サーバーサイドエンジニア、デザイナーの合計3人が参加しているのですが、全員がほぼ毎日オフィスに出社しています。ブリストルオフィスではワークフロムホームを基本としつつ、自分の予定に合わせて、いつでもオフィスに出社できるようになっています。他の社員に会うことでコミュニケーションが取りやすく、モチベーションも上がるということで、結局みんなほぼ毎日出社していますね。

デザイナーは主にブリストルオフィスのメンバーと業務を進めており、iOSエンジニアとサーバーサイドエンジニアは、フランスやインドネシアにいる他の拠点のメンバーとも一緒に開発しています。

クックパッドは、提供されている言語が違っていてもプラットフォームはひとつなので、それぞれの国で抱える課題を実際に知り、どうやって開発につなげていくかはグローバルで働く醍醐味だと思います。自分の知らない言語、文化の中で、いきいきと料理を楽しんでいる人や、料理で困っている人にどうアプローチしていくかを考えるのは楽ではないと思いますが、他ではできない貴重な経験になると思います。

ーー後編は、制度を策定するにあたっての工夫や苦労などを聞いていきます。(後編に続く)

(文:菊地紗矢香)


クックパッドの働き方は、クックパッド採用サイトの社員インタビューでも紹介しています。




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