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書くための読書⑥ 『流浪の月』
誰にも理解されることがない真実。
罪を犯して社会に晒されたものは、まるで顔面に刻印をされたかのように一生それが付き纏うものなんだな。かさぶたを抉り取られるようなエグい感じが伝わってくる。
話題になっているからという理由で、普段は買わないような本を手に取ってみたけれど、私が小説の中に登場して、彼女らを助けたいと思ってしまうくらい心揺さぶられる作品でした。
⭐️小説を書くために勉強になったこと⭐️
キャラクターがしっかり作り込まれていた。それぞれのキャラが何か起こす時に、他のキャラクターが置き去りにされることなく繋がりを示していた。
※以下、ネタバレありのあらすじです。
まだ読んでいない方は見ない方がいかも。
〜あらすじ〜
小学四年生の更紗は、破天荒な母と優しい父と三人で自由で楽しい生活をしていた。
そんななか、父が病気になり亡くなってしまう。母は酷く落ち込み新しい男を作って出て行ってしまった。
更紗は伯母の家に引き取られ暮らすことになるが、夕飯にご飯代わりにアイスクリームを食べるなど、変わった暮らしをしてきたので、一般の家庭から見たら常識外れな子供として伯母からよく思われなかった。
新しい学校では努めて『普通の子』を演じていて、心が休まるところがない。更に、伯母の子供からも性的ないたずらを受けていた。
心が限界まで来ていたとき、19歳大学生の文から声をかけられ文のマンションで一緒に暮らすことになる。安全地帯を得た更紗、少しずつ心を取り戻していく。
PTA会長の母に教科書的な育て方をされた、キッチリとした文も次第に更紗に影響され、人間的な生活を楽しむようになってくる。
しかし、テレビでは行方不明の更紗の報道がされていた。
二ヶ月以上、籠もっていた更紗は動物園に行きたいと言い、出掛けたことで『誘拐された行方不明の女児』ということが顕になり文は警察に捕まってしまう。
しかし、文は更紗に手を出したわけではない。とても優しく接してくれた。それを説明してもただ一人として理解してくれる人はいなかった。
15年後、文が経営しているコーヒーショップで二人は再会する。その頃には更紗には結婚を前提に同棲をしている彼がいたが、その男がとんでもないDV男だった。微妙な心のすれ違いもだいぶ前から感じていた。
警察を巻き込む出来事を起こしつつも文に接近し、世間の目を逃れて二人は知らない地に向かうことになる。ネットに掲載された事件は一生彼女らに付き纏い、世間の目から自由になるのは容易ではない。
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