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人柄が分かると、協業の話は進みがいい

研究とビジネスを繋ぐプラットフォーム『Seeds-Hub』にて、ミニセミナーを開催しました。
大学の研究者から、製薬企業やVCに対する共同研究の提案をしてもらうだけでなく、
実は毎回ご好評いただいているのがクロストーク。

クロストークでは、研究者の人柄にフォーカスをあてることを重視しています。

https://www.kumbl.med.kyoto-u.ac.jp/seeds-hub/ 

ではなぜ人柄にフォーカスをあてるのか?
研究提案の内容さえ良ければ、共同研究の話はトントン拍子に進むものでしょう?

意外とそうでもないんです。
研究シーズはほとんどの場合、市場の1歩先を進んでいる。
0.5歩先ならば、既存事業にすぐに組み込んで利益の見通しも立てやすいが、1歩先となると前例がない。
むしろ前例は作るもの。それが新規事業であり、スタートアップの存在意義でもあります。

前例のない事業を作るためには、研究シーズを理解して、事業にする方法を試行錯誤しなければならない。
つまり、研究者も、企業のビジネスパーソンも、お互いが積極的に知恵を出し合い協力する必要があるのです。

答えのない命題に、答えを作りにいく作業。
侃々諤々の議論で、頭も疲れることです。

これを愉しんでやれる相手か?
難題であるほど嬉々とし、かつ実現のために愚直に手と足を動かせるか?

このGut Feelingを得るためには、研究提案の内容だけでなく、人柄をアピールすることを忘れてはいけないと考えるのです。

今回はウェビナーという性質上、人柄は研究者側にのみフォーカスしましたが、協業を進めるためには企業のビジネスパーソン側も人柄のアピールが重要であることは言わずもがな。
契約書は会社<>大学で締結するかもしれませんが、締結したとて担当者同士の馬が合わなければ何も進みません。

事業は組織間で作られるんじゃない。担当者同士で作られるんだ。


セミナーやピッチは、ともすると一方向で終わり、登壇者が本来得たかった協業候補の獲得が出来ず、オーディエンスは受け身でただ情報収集に来ただけ、となりがち。

だからこそ私が主催したり、登壇に呼んでいただいたりする機会では、登壇者・オーディエンスが双方に前のめりになり、受け身状態の人をできる限り少なくすることを意識しています。


今回のミニセミナーでは、大阪大学の小野先生に「ウイルス・細菌の検出デバイス」についてプレゼンいただき、クロストークにもお出ましいただきました。

もちろん小野先生のご研究が魅力的だったことは言うまでもありません。
私自身ご登壇をお願いしたときから、そして本日のプレゼンを拝聴している最中も、あんな発展可能性もあるやもと事業化案を想像しては笑みがこぼれていました(カメラOFFにしていて良かった笑)

私がセミナーの座長を務めるうえで重視していたのは、
●笑顔も困り顔も、声色にも、敢えてオーバーに表現する。みんなの緊張の糸を解く。
 ・ビジネス交渉の場なので建前は当然あるのですが、それでもいかに早く本音で話せる間柄にまで打ち解けさせるか。
●研究内容を端的な言葉で言い換えること
 ・第三者だからこそ言える、敢えてシンプルで刺さりやすい表現
●オーディエンスに何のアクションを起こしてほしいのか、具体的なペルソナを指定して取ってほしいアクションを何度もリマインドすること
 ・人って何度も言われないと、そして「◯◯さんのことですよ」レベルまで具体的に伝えないと行動には起こしてもらいづらいものです
 ・これができるのは、オーディエンスの属性を詳細に把握しているからこそできること


そのおかげ(?)か、Q&Aの数も多く、研究データの質問だけでなく「こんな用途は可能?」といった前向きな提案コメントも多数いただきました。
そして参加者アンケートでも、「建前の話ばかりでなく、研究者の人柄が伝わるところが良かった」「簡潔かつテンポが良かった」とコメントいただき、
私たちSeeds-Hubが産学連携において作りたい世界観に共感いただいている様子があり、今までやってきてよかったと報われた気持ちになりました。


改めて、ご登壇いただいた小野先生、ご聴講いただいた皆さま、そしていつも苦楽を共にしているSeeds-Hub協議会の皆さん、ありがとうございました!


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