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母の一言に救われる

「あの子も寿命やったんやろ。

どんなに手を尽くしても、

亡くなるときは亡くなるんやし。」


母が電話越しに言ってくれた言葉のおかげで、

ずい分救われた。


先月、

愛犬の最期が近いときに

犬の養護施設に入所させ、

そのまま亡くなってしまったことに対して、

住み慣れた家で看取ってやれなかったこと、

最期にさみしい思いをさせてしまっただろうことに

深く負い目を感じていた。


母と愛犬と1人と1匹暮らしが長かった分、

愛犬にも母にも申し訳ない気持ちが残っていたのだ。



母とは毎日電話で話している。

普段話す内容は本当にたわいもないこと。


「そっちは雨が降っているか」

「ごはんは食べたのか」

「トイレットペーパーは切らしていないか」

そんな感じだ。


母は、

認知症になって

言動におかしなことが含まれるようになった。


さっきやったことを忘れてしまったり、

遠方に住んでいる私が

近所にいると思っていたり、

自分の名前や住所を

漢字で書けなくなったり。


発覚してすぐのころは

パニックになったが、

少しずつ慣れてきて心に余裕ができてきたのと、

介護をする環境が整ってきたのとで

私も

母の状態を受け入れられるようになってきた。


それと同時に、

「以前と同じようにはコミュニケーションが取れないだろう」と

諦めもしていた。


しかし今日は

自分の気持ちの重荷を下ろしたくて、

母に改めて

愛犬のことに対して謝った。


どんな言葉が返ってくるか

予想もつかなかったが、

私が予想していたよりもはるかに

しっかりとした口調で、

「あの子も寿命やった。

あんたに任せてたんやから

気にせんでいい」

と言ってくれた。


少し認知症だとはいえ、

母はやっぱり母なんだと、

やはりかなわない存在だと思った。







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