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高品質なカーボン・クレジットを求めて

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誤解されやすい、カーボン・クレジット。適切に使用すれば、1.5℃目標も夢じゃない!正しい理解をお手伝いします。
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#Jブルークレジット

小坪ブルーカーボンPJ 着々

時折お届けしている、小坪ブルーカーボンPJの進捗状況。 前回は、生長している様子をお届けしました。 今回は、その収穫の様子を…と思っていたのですが、残念ながら、養殖場での収穫作業や収穫後の天日干し作業等々、都合がつかず参加叶わず。天候にも左右されるので、時期を合わせて九州からというのは、中々ハードルが高いことを痛感。やはり、移住すべきか?と悩むこの頃です。 前置きはこれくらいにして、今回は、ワカメの様子をお届けするのではありません。養殖は、11月末に種付けして、翌年2月

ブルーカーボンのおさらい(3)

皆さんの関心が高まってきたことを受けて、改めてブルーカーボンについて、簡単なおさらいをしております。 1回目は、ブルーカーボンの定義についてお話ししました。 2回目は、ブルーカーボンを取り巻く情勢について。 3回目の今回は、ブルーカーボンの登録・認証スキームである「Jブルークレジット」についてご案内していきます。 「Jブルークレジット」とは、パリ協定の発効に伴い、いわゆるブルーカーボン生態系のCO2吸収源としての役割その他の沿岸域・海洋における気候変動緩和と気候変動適

ブルーカーボンのおさらい(2)

皆さんの関心が高まってきたことを受けて、改めてブルーカーボンについて、簡単なおさらいをしています。1回目はこちらです。 2回目は、ブルーカーボンを取り巻く情勢についてご案内します。 まずは、22年11月にエジプトのシャルム・アル・シェイクで開催されたCOP27の決定文書「Sharm el-Sheikh Implementation Plan」に、海域の保護に関する文章が盛りこまれたことが、エポックメイキングでした。 今年実施された、COP28におけるGSTの決定文書「O

Jブルークレジットのスゝメ(10)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ10回目。 前回までで、算定方法についての説明は終了していました。 最終回は、申請書の作成方法について見ていきましょう。 何よりもまず、申請するJブルークレジットの量を確定させます。 これまで見てきた算定方法の中から、申請するプロジェクトに対して適切な方法(式1、式2-1、式2-2がありましたよね)を選択。必要なデータを、現地調査及び文献から把握、算定を完了させましょう。 申請量は、算定量とは異なります。 3回目、4回目、5回目で

Jブルークレジットのスゝメ(9)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ9回目。 前回から、吸収係数の説明をしております。 8回目では、「単位ロープ当たりの湿重量」のお話までで終わっていましたので、今回は、「ブルーカーボン残存率」に入ってきます。 「ブルーカーボン残存率」は「式2−1」「式2−2」において登場する要素で、藻場や養殖プロジェクトにおいて、現地調査を実施する場合に用います。 さて、「ブルーカーボン残存率」はそのものズバリが文献値として存在するのではありません。「式2」を採用する場合のCO2吸

Jブルークレジットのスゝメ(8)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ8回目。 前回は、算定方法のうち「式1」まで説明しました。 今回は、「式2−1」「式2−2」についてお話ししましょう。 どの算定式を選ぶかは、認証の手引にある「算定フロー」にしたがって選定を行います。 「単位面積当たり/単位ロープ当たりの湿重量」を現地調査等によって計測する場合は、全てこちらの算定式を用いることになります。 養殖の場合はロープ養殖の場合があるため分かれていますが、両者は基本的に同じです。いずれも、「重量」を計算するた

Jブルークレジットのスゝメ(7)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ7回目。 前回から、算定方法に入っています。 ブルーカーボンでは、活動量として、面積あるいは養殖ロープの長さを現地調査等により把握することが、算定の第一歩であるというところまで説明しました。 今回は、吸収係数の説明を行って行きたいと思います。 吸収係数をどのようにして把握するかにより、3種類に分類されます。こちらのフローを辿って、適切な算定式を選択しましょう。 最初は、養殖海藻藻場以外の場合です。 マングローブや干潟については、面

Jブルークレジットのスゝメ(6)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ6回目。 5回目は、Jブルークレジットの対象となるプロジェクト要件の内、「1.プロジェクトの内容」について説明を行いました。 お待たせしました。 今回から、調査・算定方法の説明に入っていきます。 まず、2回目で説明した、何がブルーカーボンなのかをおさらいしましょう。 認証申請の手引では、このように説明しています。 そう、森林吸収系のグリーンカーボンのように、生体そのものに固定される炭素量ではなく、生体を通じて吸収され、土壌や海水中に

Jブルークレジットのスゝメ(5)

Jブルークレジットの申請説明シリーズ5回目。 4回目は、Jブルークレジットの対象となるプロジェクト要件の内、「1.プロジェクトの属性」について説明を行ったところでした。 今回は「2.プロジェクトの内容」について説明を行っていきます。 認証申請の手引には、対象プロジェクトの種類として、自然基盤のものと人口基盤のものがあると整理されています。 世界的に見ると、圧倒的に多いのは「マングローブ」です。 それも、10,000ha以上の大規模なプロジェクトばかりです。 なので、熱

Jブルークレジットのスゝメ(1)

何度もご案内してきたブルーカーボンですが、お陰様でご関心を持って頂ける方もボチボチと現れ始め、技術的な内容を尋ねられる機会も出始めました。 ですので、ざっくりとその流れをご紹介したいと思います。 「興味がある」→「やってみる」のインセンティブになれば幸いです。 今回は、令和2年度から試行事業として実施されている、「Jブルークレジット」を創生することを前提に、説明していきます。 「Jブルークレジット®」制度は、パリ協定の発効に伴い、いわゆるブルーカーボン生態系のCO2吸収

クレジット価格の二極化

皆さん、RE100というイニシアチブはご存知ですか? 2014年に結成された、事業で使用する電力を100%再エネ電力にすることを目標とする企業連合で、日本企業は、2022年4月現在 66社です。 ですので、参加している企業は、太陽光発電や風力発電などの再エネの発電所を自社で所有したり、電力会社から調達したり、オンサイト/オフサイトPPAという仕組みで調達したりと、様々な手段を講じています。 しかしながら、国内では直接的に再エネ電力を調達する選択肢が海外ほど多くないため、間