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セルヴス!ナーゲルスマン新監督、初の公式インタビュー

—— 以外、翻訳 (インタビュー内容全文)

きっと人々は、これまで私がライン際で常に大声を出していたのを見かけたことがあるだろう。おそらく、それを完全にやめることはないと思うよ。バイエルンでは、間違いなくいくつかの物事を合わせていかなければならないだろうが、それでも、私が情熱的なのは変わらない。

そして、攻撃的で、バリエーション豊かで、エキサイティングなサッカーを追求したいと思う。私が自身のサッカーに求める、タッチライン際で見せているような情熱は、観客や、もちろん選手たちにもしっかりと伝えていきたい。

セルヴス!

私の名前はユリアン・ナーゲルスマン、33歳だ。結婚し、二人の子どもがいる。私はオーバーバイエルン地方にある、ランツベルク・アム・レヒで生まれた。つまり、今回はほぼ生まれ故郷に帰ってきたようなものだね。

監督に至るまでの道のりは、サッカーに明け暮れた、幼少時代さながらのものだった。私は地元クラブでプレーした。FCイッシンクだ。そして、FCアウクスブルクへの移籍を経て、ここから道ひとつ挟んだライバルチーム(1860ミュンヘン )に加入したんだ。もしくは、かつてのライバルチームと言ったほうがいいかもしれない。というのも、昔ほどの強力なライバル関係は、もはやないからね。

その後、私はFCアウクスブルクに戻ってきた。だが、残念なことに、怪我により、プロサッカー選手になるという夢を断念せざるを得ない事態となった。はじめは、監督になる気なんてさらさらなかったよ。サッカーと関わる仕事をしたり、監督になるつもりはなかったんだ。

だが、その後、アシスタントコーチになれるチャンスがやってきた。1860ミュンヘンのユース部門だ。

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それから、私はホッフェンハイムへと移った。そこでは、比較的早くトップチームの監督に昇格することができたんだ。それは、私を信頼してくれた人たちのおかげであると同時に、当時のユースチームで、私が成功を収めていたからでもあった。

そこでは、トップチームでとても素敵な3年半を過ごさせてもらった。それから、ライプツィヒに加入し、2年間指揮を取った。

そして、ミュンヘンから電話をもらったんだ。もちろん非常に魅力的な仕事であると感じ、ありがたいことに、ライプツィヒからは早く退団するチャンスを、また、バイエルン・ミュンヘンからはここで指揮するチャンスを与えてもらった。

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そして、今ここで、私は鉄の箱の上に腰を掛けて、初めてのインタビューを受けているというわけさ。嬉しいね。大まかだが、これがバイエルンの監督になるまでの道のりだ。

もちろん、このキャリア自体がまったく普通じゃないと思うよ。だって、さっきも言ったように、まだ33歳で、7月に34歳を迎えるわけだからね。そして、その年齢でバイエルンの監督になるチャンスを手にした。もちろん、これは過去のおかげだね。つまり、ホッフェンハイムやライプツィヒの監督時代に、多くの物事が正しい方向に進んでいたんだ。

もちろん、時に自分をつねる必要がある。まったくおかしなキャリアだし、当たり前のキャリアでもないと思っているからね。だから、非常に感謝しているんだ。私のことを支えてくれたすべての人たちや、信頼してくれたすべての人たちにね。

常にクオリティの高い優れた仕事ができても、信頼や期待を寄せ、そのポジションを与えてくれる人が必要だ。それは、ユースチームでも、当然、トップチームでも言えることさ。こうした人たちの存在がなければ、今のようなステップはなかったね。

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これまで、故郷で休暇を過ごす時や、その後、再び仕事に戻る時には、いつも300kmや700kmの距離を運転していた。これからは、それがたった60kmだ。今や、もう故郷に帰ってきたようなものだね。

それに加えて、こうした欧州屈指のビッグクラブで働けるというのは、もちろん、とんでもない組み合わせだよ。それはとっても幸せに感じるし、本当に現実なのかと、時々、自分をつねることになるだろうね。とはいえ、今は、これは現実だと実感できているよ。


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ありがとう。前のはもうなかったんだ。だから、本当にありがとう。また手に入ったよ。以前のものは真っ赤で、そこにバイエルンのロゴが付いていた。母が洗濯のために取りに来るまで、よくこの中で寝ていたよ。なるべく長く、このバイエルンのベッドカバーの中で過ごそうとしていたんだ。あとは、バイエルンの小さなクッションも持っていた。

そうだね、バイエルンファンであり、もちろんバイエルンのベッドカバーで寝ていた、子供の頃を思い出すよ。きっと、これからもそうだろうね。ありがとう。

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ああ、私は山で育った子供だ。うちの家族は山小屋を持っていて、とてもよく登山やサイクリングをしていたんだ。だから、このバイエルン州というのは、非常に居心地がいいよ。でも、こんなに多くの美しい山の湖が近くにあるのに、それを満喫できる休暇はあまり多く取れないね。

さまざまな余暇の過ごし方があり、美しいミュンヘンの街があり、しかも、あちこちに美しい自然の景色がある。キーム湖へ向かう方向でも、ガルミッシュへ向かう方向でもね。とてもすぐに山に行けるし、冬にはスキーやスノーボードも楽しめる。夏には登山やマウンテンバイクなど、余暇の過ごし方はたくさんあるね。玄関の前で、非常にすぐの場所で、ストレスの多い日常を忘れることができるんだ。

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我々がやや感情的になれば、結果もそれに多少影響を受けてしまうだろう。だが、選手たちと何か違ったものを見るというのは、きっと良いオプションだと思う。というのも、これまで述べてきたように、それほど遠くない場所に、山々や美しい湖があるのだからね。選手たちの考え方も変わると思う。山に行けば、自分自身がいかに小さいのか、山々がいかに荘厳なのかに気付くだろう。だが、同時に、非常に心を落ち着かせる効果もあるのだ。間違いなく、チームビルディングにとって悪いものではないだろう。

基本的に、私は決して繁華街に入り浸り、いつもカフェに行くようなタイプではない。大抵は、ゼーベナー通りで、オフィスや練習場にいる。だが、オフの時には、自然豊かな場所へ向かうよ。ミュンヘンは?と聞かれれば、当然、素敵なビアガーデンが数多くあるね。ここは地元なので、友人も多い。これまで以上に、友人たちと会う機会が増えるのを楽しみにしているよ。どこで会うのがいいかは、ここに長く暮らしている友人たちに決めてもらうつもりさ。

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ああ、これはもちろん、若い青年にとっては望まない経験さ。一般的に言っても、悲運によって、大切な人を失うのは誰も望まないだろう。当たり前のことだね。だが、数年経って振り返ると、こうした経験も受け入れられるようになる。たとえそれが、急に直面した、想定外の悲運であってもね。

家族の面倒を見たり、多くの事務的なことや公的な届出もやらなければならない。好きなことをやるより、精神的にやや早く成熟できたと思う。仕事の面でも、これは間違いなく役に立った。人として成熟していく段階で、日常の仕事でも多くをもたらしてくれたんだ。というのも、私は非常に若くから、極めて多くの真剣な話し合いを行ってきた。

自宅を売却する際も、20歳で交渉を行ったんだ。普通なら、その年齢では慣れないものだし、間違いなく私にとって重要な経験となった。とはいえ、父がまだこの世にいて、スタジアムに来てくれたら、どんなに素晴らしいだろうと思うよ。これも当然の思いさ。だが、こうした大変なことの中から、前向きな要素を見出そうと努力すれば、間違いなく人としての成長に繋がる。それでも、そうじゃない人生だったら良かったのに、という思いはあるよ。


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"セルヴス、ユリアン。FCバイエルン・バスケットボールのキャプテン、ニハド・デドヴィッチだ。僕らバスケットボールチームからも、バイエルン・ファミリーの仲間入りを歓迎するよ。時間があれば、一度アウディ・ドームに来て、僕らの試合を観てもらいたいね。それでは、サッカーチームの活躍を願っているよ。多くの幸運と成功を。あと、プレゼントも用意させてもらったんだ。"

とても素敵だね。最高だ!おお、これは凄くいいね。みんなも見えるよう、カメラに向けるね。

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いつだって、他の競技を見るのは好きだよ。しかも、それが同じクラブ内にあるのなら、尚更さ。ぜひ観に行くよ。

ドイツでは、必ずしも全国の都市にバスケの強いクラブチームがあるわけではないから、応援するのが簡単ではないこともある。でも、今はとても身近だ。だから、もちろん何試合か観戦するつもりだ。楽しみにしているよ。面白いスポーツでもあるからね。

また、他の競技の監督と意見を交わし合うのも、いつだって興味深い。当然、サッカーとはまったく異なるからね。そのため、それも楽しみにしているよ。きっと一度で終わることはないはずだ。

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若く、情熱あふれる監督。

きっと人々は、これまで私がライン際で常に大声を出していたのを見かけたことがあるだろう。おそらく、それを完全にやめることはないと思うよ。バイエルンでは、間違いなくいくつかの物事を合わせにいかなければならないだろうが、それでも、私が情熱的なのは変わらない。

そして、攻撃的で、バリエーション豊かで、エキサイティングなサッカーを追求したいと思う。ファンのためにもね。早くスタジアムにファンが戻ってきてくれるのを期待しているよ。

我々は皆、再び満員のスタジアムが戻るのを楽しみにしているんだ。もちろん、アリアンツ・アレーナが満員になるのもね。私が自身のサッカーに求める、タッチライン際で見せているような情熱は、観客や、もちろん選手たちにもしっかりと伝えていきたい。

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もちろん、かつて私の元から去っていった選手たちもいる。だが、当然、彼らは基本的に、私が監督として、人として、どう振る舞うかは分かっているだろう。また、私が監督として期待している、基本的なことも覚えてくれていると願っているよ。チームにメッセージを伝えてくれる人がいるのは、決して悪いことではない。

ここで大きな評価を受けていたり、チーム内で評価されている選手たちは皆、チームに監督の思いを伝える力を伝えることができる選手たちだ。これは間違いなくメリットさ。

ああ、これはある程度、あらかじめ与えられた課題だと捉えている。結果を残さなければならないのは明白だ。さっきも述べたように、情熱的で、感動を与えられる、攻撃的で、柔軟な、そして多くの得点を決めるサッカーを目指したい。もちろん、守備の安定も、間違いなく課題にあるのは認識しているよ。

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とはいえ、このチームは飛び抜けている。個々の実力だけでなく、それぞれの個性もね。それに加え、毎年、チームは信じられないほどの成功を収めてきた。しかも、昨年は特に凄かったね。

そして、もちろん、一番のタスクは、こうした成功の道筋を続けていくことだ。その際、重要となるのは、すべて刷新してチームを一変させることではなく、つまるところ、毎試合、理想的な形でチームに秘められたクオリティを発揮させることだ。チャンピオンズリーグやポカール、スーパーカップ、ブンデスリーガでね。

そして、ファンが戻ってきてくれれば、スタンドの全員が一体感を感じられるような、情熱的かつ攻撃的なスタンスで臨むことが一層大切になる。きっと誰もがこう言うだろう。良かった。試合は楽しかったし、チケット代を払った価値があった、とね。

サッカーというのは、結局はゲームだ。楽しくなければならない。選手や監督だけでなく、観客、テレビの前の皆さんにとってもね。そして、これは、私自身が望むことであり、日々の練習で我々が目指していることでもある。


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ああ、もちろん個人的な目標はあるよ。やや自分自身にとってのものではあるけれどね。タイトルとはまったく関係ないものなんだ。純粋に受け入れられること。自分のやり方が、選手たちやクラブに受け入れてもらえる、ということだ。これまで指揮してきたクラブでは、常にある程度の影響力を持つことができた。それがここでも通用するのか、試してみたいんだ。

監督として、これまでクラブ内で、多岐にわたりチームのさまざまの点に影響力を行使するオプションが常に与えられてきた。そして、それをここでも試したいね。

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監督としての目標は、義務付けられていることだと思うが、もちろん、ブンデスリーガ10連覇の達成だ。そして、チャンピオンズリーグやポカール、スーパーカップで優勝を果たしたい。それから、他のタイトルもあれば、すべて勝ち取りたいね。当然、これは、このクラブが求めるものであり、これまでバイエルン・ミュンヘンの歴史が求めてきたことなんだ。タイトルを狙うという点に関しては、私やこのコーチ陣も例外ではない。

これまで言ってきたように、個人的には、タイトルの他にもいくつかの目標がある。1年や2年経ったら、それがどの程度達成できたのか、もしくはできなかったのかを振り返り、自分に問うつもりだ。


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やあ、ファンの皆さん。今こうして、バイエルン・ミュンヘンの監督に就任することができ、私は非常に幸せだ。先ほども述べたように、この1年半、残念ながらファンの皆さんの声援はお預けで、テレビに向かって声を上げる日々だったと思う。願わくば、皆さんのそのエネルギーを、スタジアムへの入場が許可され次第、すべて発散してもらえることを期待しているよ。そして、次なるタイトルや勝利に向けて、我々を奮い立たせてほしい。

我々、コーチ陣やチームは、皆さんが試合やプレーを見て喜んでもらえるよう、最大限の努力をするつもりだ。そして、あの素敵なマリエン広場で、皆さんと一緒に、連覇としては10度目のマイスター獲得をお祝いしたいね。

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スタジアムで皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。それでは、また会いましょう。皆さんのご健勝をお祈りします。我々も頑張ります。


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あなたのサッカー思想を3文字で表すと?

情熱的。エキサイティング。攻撃的。

山か、海か?

両方さ。その組み合わせだね。

現役時代、最も苦労した相手選手は?

ザンドロ・ヴァーグナーは、とても手強い選手だった。フィジカル、メンタルともにね。

現役時代、最高のチームメイトは?

ファビアン・ジョンソンだね。信じられないほどの才能を持つ、両利きの選手だ。当時のユース部門では、間違いなくベストプレーヤーの一人だった。

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子供の頃、憧れの選手は?

メーメット・ショルさ。

当時、子供部屋に張っていたポスターは?

実は、長い間、アラン・ズッターだったんだ。

これまで、感銘を受けた監督は?

監督業を始めた当時は、ペップ・グアルディオラには衝撃を受けたね。彼の率いるチームのスタイルや、手にした成功、魅力的なサッカー。驚きに値するものだった。

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アイスホッケーか、アメフトか?

試合そのもので言えば、アイスホッケーだね。観客を含めると、アメフトさ。

バーで注文するものは?

アルコールなら、ジントニックだ。でも、たいていは、パッションフルーツのショルレ(ソーダ割りのジュース)を頼むよ。

好きな食べ物は?

うーん、たくさんあるね。クランベリー入りのミートローフや、ザクロの種はとっても美味しいと思うよ。でも、好きな食べ物は本当にたくさんあるんだ。

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好きなドラマや映画は?

好きなドラマは、『ホームランド』だね。とても魅力的だと感じたよ。

バイク、スケートボード、自動車。好きなのはどれ?

スケートボードに乗るのも好きだよ。きっと町中で、私がスケートボードに乗ってトレーニングに向かうのを見かけることがあるかもね。そうなったら、パパラッチは喜ぶだろう。また、バイクに乗るのも好きさ。とはいえ、やはり日常的には自動車に乗ることが多いね。

バイエルン方言で、好きな言葉は?

"Gspusi"(グシュプージ、「愛」の意)さ。

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▼元記事
https://fcbayern.com/de/news/2021/07/der-neue-bayern-trainer-julian-nagelsmann-im-servus-portraet



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