マガジンのカバー画像

マンション標準管理規約解説

12
マンション標準管理規約の諸解説になります。こちらは逐条解説ではありません
運営しているクリエイター

記事一覧

標準管理規約2024年(令和6年)6月改正部分の解説その3

社会情勢やライフスタイルの変化に応じた対応EV用充電設備

 環境問題に対する意識の向上が世間では見られます。環境に優しいと考えられている電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHEV)も普及してますが、マンション住まいだと、駐車場にEV用充電設備が未設置などの理由で、EV・PHEVを購入するのに躊躇するケースも見受けられます。
 既設のマンションにEV用充電設備を設置する流れとしては、一般

もっとみる

標準管理規約2024年(令和6年)6月改正部分の解説その2

マンションの管理情報の見える化の推進 高経年マンションが増えるにつれて、管理の行き届いたマンションも多くありますが、管理が不十分なマンションも発生するようになりました。また、低経年であっても、管理という長期的視野にかける分譲業者による販売方法があったり、長期修繕計画の更新もままならないマンションがあったりとそれぞれのマンションの管理に差が見受けられています。

 「中古マンションは管理を買え」とい

もっとみる

標準管理規約2024年(令和6年)6月改正部分の解説その1

高経年マンションの非居住化や所在等不明区分所有者の発生への対応等 近年、土地の相続などの際に所有者についての登記が行われないなどの理由で、誰が所有者なのか分からない土地などが増えています。もちろん区分所有建物も例外ではありません。専有部分の所有者(管理すべき人)がはっきりせず、お部屋の管理が行き届かないことは、周辺のお部屋や建物にも悪い影響を与える恐れもある上、管理費等の滞納につながり管理不全をま

もっとみる

マンション標準管理規約 平成28年改正点①外部役員関係の新設部分

標準管理規約平成28年改正点②→

 マンションの役員のなり手不足、また高経年のマンションの増加による専門的知識を踏まえた管理運営など、年が経つとともにマンションの運営に外部専門家を加える事が求められるようになりつつある。その要求を踏まえて、平成28年改定標準管理規約には、選択肢の一つとして外部役員を選任できる場合の条文を作っている。

 外部役員を選任するにあたってはその能力などに着目して選任す

もっとみる

マンション標準管理規約 平成28年改正点②利益相反取引の防止

←標準管理規約 平成28年改正点①
標準管理規約 平成28年改正点③→

 標準管理規約の平成28年改正点には外部役員の選任が出来ることが含まれているが、外部役員の選任に伴い、その役員が利益相反取引を行わないように規制する条文も追加された。利益相反取引とは、理事と管理組合の利益が相反する取引のことで、例えば理事が取締役の法人に修繕工事を発注することは、例え適正価格であったとしても理事の利益と管理組

もっとみる

マンション標準管理規約 平成28年改正点③監事

←標準管理規約 平成28年改正点②
標準管理規約 平成28年改正点④→

 監事は、管理組合の業務監査や会計監査を行う。標準管理規約の平成28年の改定で監事の権限が大幅に追加された。その権限を用いて、監事は中立に積極的に管理組合に関わっていくことが望まれている。

標準管理規約 第38条(理事長)6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、

もっとみる

マンション標準管理規約 平成28年改正点④専有部分の修繕、共用部分の保存行為、開口部の改良工事

←標準管理規約 平成28年改正点③
標準管理規約 平成28年改正点⑤→

 専有部分の修繕(第17条)は、修繕希望の申請を理事長に出し、理事会の決議を受けて承認不承認を理事長が行う流れだが、その理事会の決議を行う際の参考とすべき資料として、標準管理規約別添2など、参照とすべき考え方が標準管理規約改正で多く追加されている。また、承認は不要だが騒音や出入りする業者など他の住戸の生活に影響が出そうな工事

もっとみる

マンション標準管理規約 平成28年改正点⑤暴力団の排除

←標準管理規約 平成28年改正点④
標準管理規約 平成28年改正点⑥→

 マンションは多くの人が共同生活を行う建物であるが、ある日暴力団が出入りしマンション内に暴力団事務所を作る恐れもある。また、暴力団が役員に就任すると円滑な組合運営も行えなくなる。実際にマンションに暴力団が入り込み、その追い出しに一苦労している例もみられる。

 平成28年の標準管理規約改定で暴力団排除に関する条項や考え方追加

もっとみる

マンション標準管理規約 平成28年改正点⑥管理費等の滞納に対する措置

←標準管理規約 平成28年改正点⑤
標準管理規約 平成28年改正点⑦→

 管理費等の滞納は、そのまま回収しないでいると、その滞納分を他の区分所有者に負担を添加するなど管理組合の会計上でも運営上でも問題が多い。そのためにも、滞納された管理費等は確実に回収していかないといけない。

 平成28年の標準管理規約改正では、この回収に関する条項が追加されるとともに別添3で、回収のためのフローチャート、段階

もっとみる

標準管理規約 平成28年改正点⑦災害時の管理組合の意思決定

←標準管理規約 平成28年改正点⑥  
  標準管理規約 平成28年改正点⑧→

 マンションが大規模災害にあった場合は、早急な復旧工事が求められることがある。その復旧工事が急を要する場合、総会決議を経る時間的余裕も、また人が集まることもできない場合がある。そのような時に誰がどの資金で行うかを事前に決めておけば、大規模災害時にスムースに復旧工事が行える。

 以下に管理規約に追加された部分を抜粋す

もっとみる

マンション標準管理規約 平成28年改正点⑧コミュニティ条項の整理

←標準管理規約 平成28年改正点⑦ 
 標準管理規約 平成28年改正点⑨→

 コミュニティ形成は、日常的なトラブルの未然防止や大規模修繕工事等の円滑な実施などに資するものであり、マンションの適正管理を主体的に実施する管理組合にとって、必要な業務である。(改定前標準管理規約コメント第27条関係より)

 平成28年改定前は、管理費の使途に『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要

もっとみる

マンション標準管理規約 平成28年改正点⑨管理状況などの情報開示

←標準管理規約 平成28年改正点⑧

 管理組合は、その業務にあたり多くの書類を作成し保管・管理しなければならない。それらの書類を適切に管理して組合員からの閲覧請求に応えることも円滑な組合運営のためには重要である。また、外部からの請求に応えて閲覧書類を整え、マンションの管理情報を提供し、適切に管理していることを説明できればマンションの資産価値維持につながるであろう。

 管理組合が管理すべき書類は

もっとみる