いつか誰かの憐憫を誘うとしたら ②
「人間というものは結局自分の能力内でできる範囲のことをやるしかない。
君は『真善美』といったえらく高邁な理想を掲げておきながら、一寸たりとも動こうとしないのはどうしたことだろう。
行動には自愛を孕んだ正義がある。
これこそ人類共同体で生ける者としての秩序だ。
それに引き換え君はなんだい。
やれ隣人愛だ、自己犠牲的精神だとさもしく唱えておきながら、その陰で自分のポーズを前にニタニタと気色の悪い笑みを浮かべ
『なんて俺はいじらしいのだろう』
と憐憫を振りまいておるではないか。
そ