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赦し給え

我は病弱ゆえ芸術を好む。これ、儚きセンチメンタルの慰安。自己への埋没。
今日の自分はいつにも増して無様だった。うつ伏せに寝転び煙草を吸いながらアニメを見て馬鹿笑いしているのである。白痴に似ている。ところが眼前に厭悪の湖畔忽ち広がるとハッと我に返る。なんだか申し訳ないやら恥ずかしいやらで居たたまれない。松陰先生は日に三度反省なさるそうだが、僕は日に三度我が身を辱しめ、それでいて一向に改める気配がない。 それどころか居直って今日の己の体たらくを教育や政治の責任にしてしまう始末である。よもや高邁な思想忘れたか? いや、実は笑いを化学していたのだ。取り分け健全な笑いがもたらす効能は、良質の脳内ホルモンが大量に分泌され、精神衛生上良い影響をもたらすらしい。すなわち笑いとは謂わば優れたエクササイズであり、最高の処世術なのだ。昔から笑う門には福来るというではないか。ようするに、いよいよ我が身の危機を本能的に察知し、このままではいかんとあれこれと思案にくれたあげく、自己防衛に努めるべしとの結論に達し、この度の奇行にいたるに相成ったという次第だ。
なんだかしどろもどろになってきた。何が脳内ホルモンだ。いい加減正統化やめたら?
不都合の影差すとたちどころに苦し紛れの詭弁を弄し始める悪癖は精神の弛緩、惰弱さゆえであろう。因循姑息な振る舞い鼻持ちならんと松陰先生もお怒りのはず。同郷の村山棋士の姿勢を少しは見倣ったらどうなのかね?
どうもいかん。何をやらしても厭世の影がちらついていけない。いや、これは失礼。気を取り直して厳粛について語ろう。と言いつつ手にはしっかりとテレビのリモコンを握りしめてるのだからとても厳粛どころのムードではない。
閑話休題。爪でも切りながら近況報告でもしようか。最近の僕ですか?いえ、特に変わったことはないのですが、寒い日が続きますね。春はまだかしら?幸い花粉症でないので春が待ち遠しいのです。暖かくなればきっと気分も穏やかになるはず。そう言えば寒冷地に住む民族は生態学的に気性が粗く好戦的らしい。「なるほど、どうりで北半球は紛争が絶えないワケだ」としきりに首肯しているが出鱈目なので信じてはいけない。
しかしながら、寒さというものは人類の敵であるとつくづく思う。馬鹿にならない。
通常人類以外の哺乳類なら冬眠しておる頃だ。などとさも意味ありげに言ってはいるが分かってますよ、どうせ昼寝の口実なんでしょ?
などと看破されてはどうにも立つ瀬がない。
けどランニングだけはちゃんと続けておるのだ。嘘でも虚飾でもない。何故かってこれは唯一の労働ですから。毎日お昼前に太田川の河川敷を苦悶に歪んだ顔で走っているの。あれは僕です。
こないだなど暖かったので、走り終えた後やにわに裸でそこらにしばらく寝そべっておりました。ええ、笑われたって構いやしません。卑屈は精神の向上を志向する求道者にとって天敵ですので。
「ていうか、お前求道者だったのかよ!」
などと突っ込まないでください。ニヒリストというか弱い生き物はこんなふうに自己暗示でもかけないと生きてゆけぬのです。
あと、ガラになくギターを始めて練習しておるのですがなかなか上達しません。なんだか無意味に根気を費やしてるようで酸鼻です。
それから近日パソコンを購入しようかと考えているのですが、いまいち踏み出せません。二次元の世界は蟻地獄だと聞いてますし。
「鴎」は本当に唖の鳥なのかしら。「雉も鳴かねば撃たれまいに。」じゃないけど、昨日あれを読みながらメソメソと泣いておりました。なんだかそのうち自分もモノが言えなくなるのではないかと不安でやりきれない思いです。今後如何にして贖罪をしていこうかと思案をしてはおるのですが、一向に見当もつかぬままこうしてダラダラと日がな一日を恥の上塗りに費やしている次第なのであります。

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