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ことのはいけばな

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花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。地軸の傾いた地球に乗って、太陽の周りを一巡り。花を立て言葉を立てて、遊行します。
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#ローカル七十二候マラソン

ことのはいけはな;晴明第14候「鴻雁北」

ことのはいけはな;晴明第14候「鴻雁北」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。

*懐かしき桜の中へ鳥たちは花を見捨てて帰るというに

*真っ青な空から聞ゆ桜声中央高速妻子道づれ

*春空と花影の下眩暈して花天月地へ反転するも

*猫となりうたた寝したきこの枝で落ちる夢見て目覚むすり傷

花万朶空へ飛び散る波しぶきこの身に受ける攫われたきが

水ぎわにひた

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ことのはいけはな;晴明 第13候「玄鳥至」

ことのはいけはな;晴明 第13候「玄鳥至」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。

とうめいの胚珠のようなすがたしたうつわ満たされ花水をのむ

光待ち閃く羽の花さきの涙ふくらみこぼれるままに

苧環の透ける白さよ青い葉の薄いガラスに揺れる玉の緒

インドラの網の宝珠を象って遥けきみづを張る玻璃ガラス

息を吹き型より溢れとどまりて花咲くときを夢みるうつわ

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ことのはいけはな; 春分 第12候「雷乃発声」

ことのはいけはな; 春分 第12候「雷乃発声」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。

竣工後約1年のお庭。お引き渡しの時も、喜んでくださっていたけど、花曇りの日曜日に訪ねて、なお一層その可愛がりっぷりが深まっているのがわかった。思うに、植物だって人を見ている。桜を愛でるお花見も相思相愛だからこそ、ここまでみんなが心待ちにするから、彼らも美しく、誇らしげに咲いて

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ことのはいけはな;春分 第11候「桜始開」

ことのはいけはな;春分 第11候「桜始開」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。

花を挿すただその振る舞いを繰り返す花の手つきに絆されていく

花活ける身体が花となっていくお指の先にはな咲き残る

めぐり花見える見えない境い目の不思議な森をはじめの宇宙

さくら咲くわたしの中にまっすぐにわたしのうちで頬笑むさくら

紫のその手に

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ことのはいけはな; 春分 第10候「雀始巣」

ことのはいけはな; 春分 第10候「雀始巣」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。

*春分に 花挿し目覚む 石の下

あちらとこちら 話し花咲く

*春彼岸 お墓の石に水ひかり

春がきたよと 花を挿す君

*春分や 墓苑色づ

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