きびしい寒さのなかを、二千里のはてから、

僕は悪くない。だから絶対にごめんなさいは言わない。
発熱から7日が経った。熱はないが、咳は止まらない。何が「風邪ですね」だ。そんなわけない。この症状、この後遺症、身に覚えがある。コロナだわな、たぶん。1年ぶり2度目。甲子園出場校かって。自分の部屋が監獄になることがあるってこの歳になって知った。明るい綺麗な悪魔的な監獄。脱獄したい。そう思った。いつまで続くのだろうか。それこそ二千里の道のりに負けないくらい長い長い軟禁。きびしくはない寒さのなか今日もゴロゴロして1日が終わった。頭いてぇーな。
弟がコロナになった。
故郷はこんなはずじゃなかったはずだ。

第三者の視点から見てる分には興奮することってたくさんあるなって思った。スポーツ観戦とかライブとか喧嘩とか誰かが怒られているところとかTwitterの炎上とか。あ、Xっていうんだっけ。
一歩引かないと見えないってのが興奮する要素なのかもしれないなと思った。当事者は違う感情を持っているのだろう。ずるい生き物だよなホント。最低だろって思った。だったら自分でやってみろっていうもんだ。できないから誰かに乗っかってるんだ。タスクを分けられない。自分にフォーカスできない。そんな感染症が流行っているらしい。この感染症は感染力が強くて治療薬もしばらくはできそうにないな。ルントー病とでも名付けておくか。自分を失う大疾患。
ブラックジャックでも救いようがないようだ。

友達の作り方がわからないらしい。「友達の作り方を教えてください」ってなんだよそれ。そんなん知るかって思った。そもそも友達って何？？わからないよね、定義ないもん。あー、ヤマイだよヤマイ。第三者としてしか生きてないからね。いいねとリツイートの世界だからね。主体の世界じゃないからね。むりむり。「り」で済む世界だから。自分が死んだ世界。全員が傍観者で全員が物語の読者。しかも、読解力は著しく乏しい。絶望だよ。どうするんだろうね。

恋愛すればいいと思うよ。ちゃんとフラれたほうがいい。ちゃんとビンタされた方がいい。

虫の音を聞いて、風の歌を聞いて、森の囁きを聞いて、川の詩を聞け。それは与えられた特別な才能。ちゃんと日本語を話せ。そのためにオノマトペはある。天からの授かり物を無駄にするのか。
あぁ。今日は誰とも日本語を話さなかった。

思うに希望とはもともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。

とりあえず眠いから寝ようと思った。