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大学の研究室とは① 誰が何をする場所か〜生物系大学の経験から〜

生物(生命科学)系の大学では入学すると教養や専門基礎科目などの座学(講義)のほか、実習実験のトレーニングを行います。
それが一段落すると研究室ラボともいう。laboratoryの略)に入り、卒業研究を行い、卒業論文(卒論)を書くことになるのが普通です。

講義や実習・実験は高校生も経験があると思いますが、研究室や卒業研究はなかなかイメージしにくいかもしれません。
生物系の大学入学を目指す高校生向けに研究室について、私の経験をふまえてご紹介します。

※なるべく一般的に書きましたが、あくまで一個人の経験に基づくものです。オープンキャンパスや志望校・志望学部の先輩に聞くなどして情報収集をしましょう。

研究室とは何をする場所か

大学の研究室では研究教育の2つが行われます。下記で詳しく説明します。

1)研究を行う。
大学の研究室では、ある分野についての基礎研究が行われます。生物系では生物にまつわる新発見や社会に役立つ技術革新への貢献を目指します。
農学部や工学部などでは応用研究という言葉が使われますが、多くの場合は民間企業(食品・化粧品メーカーなど)における研究よりも基礎的な研究(新技術を開発するための基礎研究)を行います。医療系学部(医学部・看護学部・薬学部など)では治療法やケア、薬に関する基礎的な研究が行われます。
理学部ではさらに基礎的な研究(教科書に載るような内容の研究)を行っている場合が多いです。
最近は学部名にとらわれず研究室ごとに多彩な研究が行われていますし、企業との共同研究も盛んです。志望学部にどんな研究室があるかは大学のwebサイトなどで調べてみるとよいでしょう。
なお研究は、大学から支給されるお金(国立大学の場合は税金)のほか、文部科学省からの科学技術研究費(科研費・これも税金)、民間企業・団体などのスポンサーからの研究費などを元手に行われます。

2)教育を行う(教育を受ける)。
研究室のもう一つの重要な役割は学生の教育です。所属する学生が将来、学術的な研究者(大学の職員など)、民間企業の研究職、あるいは一般の社会人として活躍できるようになるために、知識・経験・思考力などを磨く指導が行われます。
研究の場であると同時に「学生教育の場である」ということが、大学における研究室と、研究所や企業とで大きく異なる点と言えるでしょう。

研究室にはどのような人がどのくらいいるか?

1)教員
大学から給料をもらって働いているのが教員です。職階(ランク)に応じて教授・准教授・講師・助教などの肩書きがあります。研究室において研究と教育(学生への研究指導)を担うほかに、大学での講義や実習、実験などの指導も行います。研究室には数人の教員がいることが多いです。

2)学生
学費を払って研究室に所属し研究を行っているのが学生です。皆さんの多くは今後この立場で研究室に所属することになるでしょう。学生には、学部生(学士課程・4年制大学における4年生まで)のほかに大学院生がいます。
大学院生には修士課程(マスター)と博士課程(ドクター)の2種類があります。4年制大学の場合は4年間の学部生生活のあと修士課程が2年間、博士課程が3年間が基本です。私は修士課程を修了後、社会人になりました。
学生の人数は研究室により様々ですが、5人ほどしかいないところもあれば30人くらいいるところもあります。

3)その他のスタッフ
教員・学生以外に、研究室には様々な人(以下、スタッフ)がいることがあります。スタッフは研究費の一部を給料としてもらって各研究室で雇われている場合と、自分でも研究費を獲得して研究室に所属している場合があります。
スタッフには様々な種類がありますが、一般的には下記の通りです。

⚫︎博士研究員
ポスドクとも呼ばれる。博士号を取得した人。いわゆる研究者のタマゴ。
⚫︎専門技術者
テクニシャンとも呼ばれる。研究における雑務を行う人。
⚫︎秘書
教員の事務作業などを支援したり研究室の運営に関わる人。

ということでスタッフも含めると総勢数十人の大規模なところもありますが、ほんの数人の研究室もあります。大きいところがいいかというわけでもなく、それぞれに特色がありますので、自分の関心のある分野について研究室調べをしてみるといいでしょう。

次回は研究室生活についてさらに詳しく紹介します。


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