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つま先のしあわせ

久しぶりにこだわって靴を買った。ビジュー(キラキラした装飾)つきのフラットパンプス。

しばらく箱を開けては眺め、開けては眺め……を繰り返し、そのたび頬をゆるませていたのを、先日からやっと履きはじめた。気分が上がるだけでなく、なんとも快適。

デザインと履き心地、どちらも妥協せず選んだからだ。

妊娠するまでは「ハイヒールパンプス命!」だった私だけれど、出産してからは踵のぺたんこな靴を履いている。やっぱり走り回れるほうがいい。

かと言って、スニーカーはなかなか足に合うものがない。なにせ私の足のサイズは21.5cm。

というわけで、ヒールの低いパンプスをよく履くようになった。飾りのないごくシンプルなものだったり、バレエパンプスと呼ばれる、ちょこんとリボンがついたものだったり、いくつかのタイプをローテーションしている。

そのうちのひとつとして愛用していた、ビジューつきのフラットパンプスがくたびれてしまった。濃い紺色がおしゃれで、輝くモチーフがデニムもよそゆき顔に見せてくれるので気に入っていた。

似たタイプのパンプスを探したけれど「これ!」というものが見つからない。だいたい、しゃれたデザインの靴は22.5cmからのサイズ展開だったり、小さいサイズがあっても21.5cmは早々に売り切れていたりする。

都会に出かけたついでにいろいろな靴屋さんを開拓する日々の果てに、やっとぴったりな一足を見つけた。トゥにオーバル型モチーフが輝く、ブラックスエードのパンプス。ただし、予算を大幅にオーバーしていた。

今までは「すぐ汚れてしまうから」と安価なパンプスをメインにしていた。2000円から7000円くらいのものが中心だ。高くても1万円台。

だって、しょっちゅう娘たちに踏まれていたのだ。いいものを買ってもすぐダメになる。「安い・かわいい・タフ」、この3つが購入の決め手だった。

それが、今回買ったパンプスは2万円超え。うーん、と悩んだものの、最近、娘たちに靴を踏まれなくなったことに気づいた。彼女たち、歩くのが上手になったのかしら、と思いながらお会計を済ませた。

ちょっといいものを、日常的に。そんな生活が可能になりつつあるのかもしれない。ならば、足にぴったり合い、それでいてかわいいパンプスを履きたい。

たまのお出かけ用アイテムより、日々の暮らしによりそってくれる品物にお金をかけたい。最近はそんな気持ちだ。

若い頃は、恋人と会うときだけ履くハイヒールや、女子会のときに持つバッグに資金を注いでいたけれど、今はなんてことのない毎日を大切にしたい。

足にフィットするのにつま先をしめつけない、しあわせな履き心地。ちょっといいフラットパンプスは、今の私に心地よかった。

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