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考察#6[ステラーブレイド]ストーリー解説と問題点 大砂漠~アビス・レボワ~ザイオン【ネタバレ注意】

この記事はサブ記事です。

メイン記事「ストーリーのネタバレ考察 総評と問題点まとめ」を読んでもいいし、読まなくてもいいかも知れない。

[メイン記事概要]
ステラーブレイドを200時間以上遊び倒して執筆。圧倒的高評価のゲーム性やシステムには敢えて触れず、唯一、遺憾なストーリーに焦点。未プレイ者も楽しめる読み物を目指すが、ネタバレ注意。ストーリー総評は「世界観◎プロット◯人物描写✕筋書き✕」大きな問題点を2つ指摘。考察のためメインストリームのプロットを書き起こし。

この記事には、ステラーブレイドのストーリー部分を中心に編集した動画と、その中で描かれているストーリーの考察、アナザーストーリー的な二次創作アイデアがあります。

[動画]ステラーブレイド
私的まとめ第6話「レガシー再び」

全12話完結。ストーリーを追いやすいようガッツリ編集の動画です。

次のアルファネイティブを探すため、ハイパーセルが必要です。イヴたちはアビス・レボワに向かいます。

次の動画 ▶ 第7話「秘密の園」

ここから先は、この動画に含まれていない全てのネタバレ要素を踏まえた文章となりますのでご注意ください。


ストーリー解説

タキモードがアンロック

タキの死後、イヴの新しい戦闘能力として、一時的にタキの武器とスキルで戦えるタキモードがアンロックされます。ストーリーとシステムがリンクする、ゲームでしか体験できないこの感じ、大好物です。さらに、ゲーム最終盤の選択肢(考察#12-3)によっては、このタキモードが再びストーリーに関わってきます。さすがに胸熱を禁じ得ない。

Tachy Mode
発動時のエフェクト

大砂漠

アビス・レボワは大砂漠に位置しており、動画では通り過ぎるだけですが、実はサブミッションが充実したエリアです。また、オアシスの周囲はリゾートさながらで、ひとときのバカンスを楽しむプレイヤーも多いはず。

Oasis

マトリックス11のレガシー

マトリックス11(考察#5)で手に入れたレイヴンのレガシーによって、この世界の謎がまた少し明かされます。

Legacy
  • マザースフィアは人類の母、救世主、神などではなく人類がつくりだした人工知能。

  • マザースフィアは人類の限界とアンドロエイドスの可能性を知り人類を見限ることにした。

イヴたちはまだ、自分たちが唯一の人類である、と認知しています。レガシー再生後のリリー「あたしたちが生みの親だなんて…」はその意味です。次のイヴ「なら… なんで私たちを滅ぼそうとするの?」は、レガシーの中で、「マザースフィアは人類を見限ることにした」と語られているため、なぜ私たちを見限るの?という意味になります。

このあたりは文字に起こしてしまうと若干、混乱しそうになりますが、ゲーム内では、よく整理された脚本により理路整然と世界観が語られていると思います。

アビス・レボワのレガシー

アビス・レボワのレガシーでも同様に、世界の謎がまた少し明かされます。

  • 人類との戦争に勝利したマザースフィア率いるアンドロエイドスは、新人類と称し地球を支配していた。

  • 生き残った人類はアンドロエイドスに対抗するため、ネイティブになった。

ここにきて、イヴたちの元に集まった歴史のピースが組み合わさり、イヴたちは、ネイティブと戦っている自分たちこそがアンドロエイドスである、と悟ることになります。そして同時に、ネイティブはかつて、マザースフィアを生み出した人間たちだったことを知ります。

プレイヤーにとってはすでに察しがついている事実ですが、イヴたちにとっては衝撃の真実です。この真実は、このあとオルカルの説明でも補強され、真の歴史として確定します。

ストーリーの問題点

急に仇討ちに全力を傾けるイヴ

イヴは敵として現れたタキについて、黒い翼のアルファネイティブの関与を知ります。

Eve
「でも何があろうと 奴を見つけ出して 仇を取ってみせる」

すると、それまで任務遂行のためにアルファコアを探していたイヴが、初動で記録保管庫に向かっていたあのイヴ(考察#1)が、途端に仇討ちへの全力投球を宣言。これまでのイヴは、このような直情的な人物として描かれてきませんでした。前回の考察(#5)でも書いた通り、そもそも、イヴとタキとの関係性に追従できていないプレイヤーからすると、本筋からの脱線を感じざるを得ません。

また、これは筆者の個人的な感覚もありますが、タキが死に至った原因は黒い翼のアルファネイティブだけれども、直接的に手を下したのはイヴであり、その事実を平然と脇に置いて全力仇討ちを宣言するのは、イヴをどういう人物として描きたいのか理解に苦しみます。

さらに問題なのは、このあとのプロットでは、イヴが黒い翼のアルファネイティブを見つけ出すのではなく、むこうから勝手にやって来る点です。どのように見つけ出すのだろう、という興味に応えてくれないプロットを前にした、主人公の浮いた決意表明は、筆者が「物語が放棄されている」と考える要因の一つです。

※気になって調べてみたところ、英語版の台詞は「I'm aware of that... but I promise, I will find it... and I will make it pay」でした。直訳風の「報いを受けさせてみせる」ならば、少しは印象が違ったかも知れません。ただ、オリジナル言語は韓国語かも知れず、仇討ちに近い言葉かも。

アダムの雰囲気発言が疑われる台詞

Adam
「同じ過ちを繰り返すのか…」

イヴの仇討ち表明を受けたアダムの返しです。
これは、エルダーネイティブたるアダムの立場で発せられていると思われますが、すべてのエンディングを見た筆者でも、なぜ仇討ちの台詞に対して発したのかわかりません。

これまで繰り返されてきたことといえば、マザースフィアの降下作戦が思い当たりますが、仇討ちは降下作戦と直接の関係がありません。大きな観点で、人類の争いの歴史に想いを馳せているのでしょうか。それはそれで、今まさに当事者として争いを繰り返しているエルダーが、イヴを責める文脈でそれ言うの?という違和感が拭えません。
また雰囲気でそれっぽいことを言っているだけではないのか、筆者の疑惑です。

※こちらも英語版を調べたところ「That's the kind of mistake you can't make twice」でした。やはり、お前が言うかパターン。you じゃなくて we ならわかる。

すぐに仇討ちを忘れるイヴ

アビス・レボワからザイオンに戻り、オルカルから真実の歴史を聞いたイヴは、これからどうするのか、というオルカルの問いにこう答えます。

Eve
「ここまで来たら マスターコアを手に入れて ネストを目指す他ない」

この仇討ちを忘れたかのような台詞は、やはり人物像に一貫性がないというか、場面に応じてそれっぽい仕草をしているだけのように見えます。黒い翼のアルファネイティブの関与を知ったから「仇討ちする」と言ったり、ネイティブが元は人間だという逆境だから「それでも私はネストを目指す」と言ったり。

しかも仇討ちをいったん棚上げするあたり、次に戦うアルファネイティブが、黒い翼のアルファネイティブでないことを予め知っているかのようです。

再び停止するストーリー

以前の考察(#4)と同様、アビス・レボワを探索してハイパーセルを入手し、それをオルカルに届けるまでの間、ストーリーは完全に停止しています。

この動画では2つのレガシーが再生され、失われた歴史としてイヴたちにとって衝撃の真実が明かされますが、イヴの冒険活劇たるメインストーリーに何ら影響を与えることはありません。

たびたび停止するストーリーは、筆者が「物語が放棄されている」と考える要因の一つです。

見通し過ぎ?のオルカル

以前の考察(#3)でも書きましたが、オルカルはマスターコアの鍵を握る重要人物であり、時系列に矛盾なく、筋の通る行動をしていて欲しいですが、悪い意味でそれを微塵も感じさせません。

イヴがアビス・レボワで見つけたレガシーについて、それがアビス・レボワに置いてあることも、その内容も予め知っていた口ぶりです。

しかしながら、レガシーを置いたのはエルダーたるアダムであり、なぜそれを知り得たのか、筋の通る説明が思い当たりません。アダムから聞いた?とすると、なぜアダムはオルカルにそれを話したのか。謎が謎を呼びます。

謎というより、考慮されていない、が正解に感じます。つまり、オルカルのまとう「何でも知っていそうな雰囲気」から、知っていたことにされているだけではないのでしょうか。
細かい点ですが、気になってしまいました。

アナザーストーリー[二次創作版]

オリジナル版の良質なプロットはそのままに、このあとの展開も考慮したアイデア版です。

素晴らしいゲームをリスペクトしつつ、素人たる筆者がおこがましい限りではあるけれど、ストーリーに問題が多くもったいない過ぎるので空想するに至った次第。どうか許してほしい。
改ざんや創作したカットやシーンと、その前後だけ抜き出して書いています。略してあるシーンはオリジナル版ままを想定しています。

動画を見ながら脳内で展開すると、より楽しめます。

[凡例]
xx:yy 動画内タイムコードと劇中の場所
オリジナル版まま
オリジナル版の記憶よ永久にあれ
アナザーストーリー版(追加または置き換わり)
※タイムコードは動画の概要欄に同じものを記載しています

00:34 ザイオン/地下/謁見の間

Presence Chamber

(前略)
*オルカル「黒き翼をもったネイティブの姿が おぼろげにだが見える」
*イヴ「黒き翼… タキと私を襲ったネイティブだ! 間違いない!」
*イヴ「どうして 奴が!?」
*オルカル「理由はわからんが 其奴の強い憎しみを感じる」
*イヴ「憎んでる? なぜ私たちを?」
*アダム「ネイティブが人を襲うこと自体はよくあることだが」
-アダム「憎むだなんて… 初耳だ」
+アダム「憎むとは… 初耳だ」
*リリー「そいつの居場所はわかる?」
-オルカル「残念だがわしのパーソナルリンクの範囲外だ
+オルカル「残念だが隈なく探すほどのエネルギーはない」
-オルカル「残りのアルファネイティブの居場所もわからん」
+オルカル「他のアルファネイティブの居場所もわからん」
*イヴ「それなら ハイパーセルを集めてくる」
*リリー「次はどこを探せばいいの?」
*オルカル「次のハイパーセルが眠る地は…」
*オルカル「砂漠の東の果てにある遺跡… アビス・レボワ」
*オルカル「そこにも多くの危険が潜んでおる」
*イヴ「急ぎましょう」
-リリー「あっ はい!
+リリー「うん」

02:48 ザイオン/リフト乗り場出入口

*アダム「これからも苦しい戦いが続くぞ 言うまでもないがな」
*イヴ「それはわかってる… でも何があろうと」
-イヴ「奴を見つけ出して 仇を取ってみせる
+イヴ「やり遂げてみせる」
-アダム「同じ過ちを繰り返すのか…」
+アダム「同じ過ちを繰り返しはしない…」
*イヴ「えっ…? どういう意味?」
*アダム「何でもない 出発の準備を進めるとしよう」
*アダム「先にセーフハウスに戻ってるぞ」

04:14 ザイオン/セーフハウス/レガシーの再生

*レイヴン「第2次降下作戦より52日 記録5」
-レイヴン「レガシーアカウント レイヴン 生存者は私ひとり
+レイヴン「レガシーアカウント レイヴン」
*レイヴン「真実は… いつだって残酷なものだ」
(後略)

11:47 アビス・レボワ/最奥/レガシーの再生

Legacy

*レイヴン「降下作戦より78日目 記録8」
-レイヴン「レガシーアカウント レイヴン
+レイヴン「生存者は私ひとり… だが そんなことはどうでもいい」
*レイヴン「人類史における重要記録を発見した」
*レイヴン「既に記録した通りかつての人類は マザースフィアとの戦争に 敗れ去ってしまったのだ」
*レイヴン「その後地球はアンドロエイドスによって支配されたらしい」
*レイヴン「そしてアンドロエイドスは 自らのことを新人類と称した」
*レイヴン「マザースフィアが率いる この新たな人類は 進化を重ね人間性を確立したらしい」
*レイヴン「一方 生き残っていた 本来の意味での人類は… 地下に建設された施設へと逃げ込んだ」
*レイヴン「そしてラファエル・マークス率いる一部の者たちは ここで反撃の機会を待つことに決めた」
*レイヴン「生存者たちは 自らを進化させることで アンドロエイドスに立ち向かう力を手に入れる」
*レイヴン「全ては遺伝子工学と急速な進化の賜物だ」
*レイヴン「彼らは全てを失う代わりに 強大な力と生存本能を手に入れた」
-レイヴン「そうして生まれたのが… あのバケモノ…」
+レイヴン「そうして生まれたのが… あの美しき獣…」
*レイヴン「私たちが戦ってきた…」
*レイヴン「あの… ネイティブだ」
+(次第に興奮した様子で)
+レイヴン「そう ラファエルこそが人類の救世主…」
+(後ろを向き記録装置の有効範囲から遠ざかりながら)
+レイヴン「進化こそが人間の未来なのだ…」
*(レガシーの再生が終わる)
*イヴ「ネイティブは… 人間だったの?」
(中略)
*リリー「まずはこの情報をオルカルに報告してみませんか?」
-アダム「ああ それがいい
+アダム「ああ それもいいだろう」

15:25 ザイオン/地下/謁見の間

(前略)
*オルカル「どうやらわしに聞きたいことがあるようだのお」
(暗転)
-オルカル「さてはレボワに残された記録を見たか
+オルカル「レボワにそのような記録が残されておったとは…」
-イヴ「教えて… 本当は何があったの?
+イヴ「驚かないのね 教えて 何を知っているの?」
*オルカル「よかろう 話ははるか昔に遡る」
(中略)
*オルカル「なんせ旧人類は短命であったからのお」
*オルカル「そしてそこで誕生したのが わしらが敵と呼ぶ ネイティブなのだ」
-オルカル「レガシーに記録されておったことに嘘はない
+オルカル「レガシーとやらに記録されておったことに嘘はない」
*オルカル「わしらはこれまでずっと 自らの祖先と戦ってきたのだ」
*(ため息をつくイヴ)
-オルカル「さて パーソナルリンクでさらに広い範囲を調べてみたぞ
+オルカル「さて パーソナルリンクでアルファネイティブを探ってみたぞ」
-オルカル「次のアルファネイティブは 地上にはおらんようだのお
+オルカル「見つけはしたが 地上にはおらんようだのお あやつかどうかもわからん」
*オルカル「おぬしらは これからどうするつもりだ?」
*リリー「たとえ 真実がどうであれ ネイティブが敵なのは変わりないよ!」
*イヴ「ええ…」
-イヴ「ここまで来たら マスターコアを手に入れて ネストを目指す他ない
+イヴ「ここで任務を放棄するわけにはいかない マスターコアを手に入れて ネストを目指す」
*イヴ「アルファネイティブの居場所を教えて」
*オルカル「よかろう」
*オルカル「おぬしが戻ってきたら 話の続きを聞かせよう」
*オルカル「あるいは エルダーの口から直接聞くのがよいのかもしれんな」
(後略)

空想ポイント

イヴの仇討ち宣言については、筆者のアナザーストーリーでは任務の達成にフォーカスしてきましたので、それに合わせた台詞としました。

レイヴンについて、筆者のアナザーストーリーではマトリックス11の2つ目のレガシーから3つ目のレガシーの間にタキと別れた筋書きのため、それに合わせた台詞としました。また、アビス・レボワの3つ目のレガシーでは、アナザーストーリーに合わせて、次第にネイティブ側に傾倒するレイヴンとなるような脚本としました。ネイティブを「美しき獣」と言うあたり、ちょっぴりやべーな感があると思います。

アダムとオルカルについては、筆者の創作したアダム像、オルカル像に沿った脚本としました。

最後にこれはおまけですが、リリーの「あっ はい!」は何度聞いても「え 行くの?」という後ろ向きのニュアンスを感じてしまうため、前向きな台詞としました。

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