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考察#5[ステラーブレイド]ストーリー解説と問題点 マトリックス11編【ネタバレ注意】

この記事はサブ記事です。

メイン記事「ストーリーのネタバレ考察 総評と問題点まとめ」を読んでもいいし、読まなくてもいいかも知れない。

[メイン記事概要]
ステラーブレイドを200時間以上遊び倒して執筆。圧倒的高評価のゲーム性やシステムには敢えて触れず、唯一、遺憾なストーリーに焦点。未プレイ者も楽しめる読み物を目指すが、ネタバレ注意。ストーリー総評は「世界観◎プロット◯人物描写✕筋書き✕」大きな問題点を2つ指摘。考察のためメインストリームのプロットを書き起こし。

この記事には、ステラーブレイドのストーリー部分を中心に編集した動画と、その中で描かれているストーリーの考察、アナザーストーリー的な二次創作アイデアがあります。

[動画]ステラーブレイド
私的まとめ第5話「マトリックス11」

全12話完結。ストーリーを追いやすいようガッツリ編集の動画です。

イヴは2つ目のアルファコアを入手するため、地下施設マトリックス11を探索します。

次の動画 ▶ 第6話「レガシー再び」

ここから先は、この動画に含まれていない全てのネタバレ要素を踏まえた文章となりますのでご注意ください。


ストーリー解説

マトリックス11

Matrix 11

「地下施設」という触れ込みですが、地上より高い場所があったり、空が見えたりする場所もあるため、複雑な地形に立地していると思われます。あまり深く考えてはいけない。

実際に探索してみるとかなり広いエリアです。地下鉄の列車解体場と下水処理施設という二層構造になっており、途中、2体のボス「ストーカー」「ジャガーノート」が、イヴの行く手に立ちはだかります。そして最奥にアルファネイティブが待ち受けています。

ボス戦と探索はステラーブレイドの2大メインコンテンツだと筆者は思っており、それらを余すこと無く楽しめるマトリックス11は、中盤の山場に相応しい場所です。開発チームの意気込みがコンテンツからも伝わり、丁寧な仕事がいかんなく発揮されています。

ジャガーノート

Juggernaut

一例を挙げると、ジャガーノート戦の前に「バーストスキル」というイヴの新しいスキルツリーがアンロックされ、ジャガーノートの攻略には、これまでのボス戦とは違う戦術が要求されます。ジャストパリィや、特殊回避のブリンク、リパルスに慣れてきたプレイヤーを見越して、ジャストパリィしにくいディレイ攻撃や、特殊回避できないガード不能技(しかもディレイ)を織り込んでくるあたり、バトルデザイナーさんの綿密な仕事をひしひしと感じました。

※ディレイ攻撃とは、攻撃モーションの開始から攻撃判定(当たり判定)が発生するまでの間に、溜め時間(ディレイ)がある攻撃のこと(結果的にプレイヤーはパリィや回避のタイミングをずらさなければならない)で、この手のアクションゲームでは定番であるものの、プレイヤーは「おい そのディレイやめろ」と嬉々として取り組む大好評ギミックです。ただし、やり過ぎると怒ったり泣き出したりするプレイヤーが出始める諸刃の剣。

ストーリーではなくジャガーノートの話をしてしまい申し訳ない。反省はしていない。

高いポテンシャル

ツイッターでよく目にするQTEコンテンツがあるのも、ここマトリックス11です。

ストーリーではなく紳士の話をしてしまい申し訳ない。もちろん反省はしていない。

放棄された隠れ家

Hideout

ストーリー的には、すでに放棄された人類の隠れ家があり、イヴはネイティブから逃げ惑う人々のメッセージを見つけます。世界観を補強する情報です。

そして最奥で待ち受けるアルファネイティブは… 詳しくは問題点で語ります。

ストーリーの問題点

脈絡のないアルファネイティブの正体

Alpha Naytiba

マトリックス11最奥のアルファネイティブ、その正体は、なんと死んだはずのタキ… 驚きと共に迎えられるはずのイベントですが、残念ながら、ここにつながるストーリーが皆無です。

これまでの考察(#1~#4)で問題点として挙げてきた通り、プレイヤーはモチベーションが低い状態で、アダムに言われて記録保管庫に向かい、知らないイヴの任務でアルファコアを入手、オルカルに言われてハイパーセルを入手、その見返りにここに来ただけです。

タキがアルファネイティブ、その事実を前にしても「なるほど、そうくるのはいいんだけど、どうしてこうなった?」という置いてきぼり感が強い。そして、肝心の「なぜ」「どうして」を明らかにするストーリーは、これまでも、これからも語られることはありません。

Eve
「どうして… なぜあなたがここに?」

また、プレイヤーはここまでのゲームプレイで目にしてきた、戦死したレギオン兵や亡くなった人々のメッセージなどにより、マザースフィアに疑問や反感を抱いています。しかし、タキの今際の際の台詞は、マザースフィアを信奉している者の台詞であり、プレイヤーの心情との噛み合いがありません。

Tachy
「マザースフィアに… 私の記憶を… 送り届けてくれる?」

疑惑のマザースフィアを信じ続ける健気なタキの姿に、ある種の侘しさ、切なさを感じる側面もありますが… 後述するレガシーの再生を意図的に遅らせている点からして、おそらく狙った効果ではないと思われます。

そもそも、プレイヤーにとってタキは、オープニングムービーで「負傷した部下をかばって死んだ"良い方の"上官」というだけの存在です。率直なところ、タキを倒したあとのイヴのテンションにはついていけません。

※ザイオンにいるNPCカヤとの会話でタキを姉のような存在と匂わせるイヴの台詞はありますが… 全然足りないと思います。

劇的っぽいイベントだけが用意され、プレイヤーをそこに導くことに失敗している点はとても残念であり、筆者が「物語が放棄されている」と考える要因の一つです。

アダムの説得力に欠ける発言

マトリックス11内の最後の物資キャンプにおいて、レガシーを発見した際のアダムの台詞「いや 待て 再生すれば敵を引き寄せるかもしれない」は、説得力もそれを言う根拠もゼロです。

Legacy

次の動画(考察#6)で明かされますが、見つけたレガシーの中で「マザースフィアは神ではなく人工知能」という彼女の威光に傷がつく事実が語られているため、プロットの都合上、マザースフィアを信奉するタキのイベント後に見て欲しいというのはわかります。

しかしながら、レガシーをそこに置いたのはエルダーたるアダムです(考察#10)。アダムにとって、再生するのは今だろうが後だろうが、見てくれるならいつでも構わない。それなのに、あからさまに後回しへ誘導するのは不自然極まります。
アダムのストーリーがまるで無視されているのは残念なことです。

アナザーストーリー[二次創作版]

オリジナル版の良質なプロットはそのままに、このあとの展開も考慮したアイデア版です。

素晴らしいゲームをリスペクトしつつ、素人たる筆者がおこがましい限りではあるけれど、ストーリーに問題が多くもったいない過ぎるので空想するに至った次第。どうか許してほしい。
改ざんや創作したカットやシーンと、その前後だけ抜き出して書いています。略してあるシーンはオリジナル版ままを想定しています。

動画を見ながら脳内で展開すると、より楽しめます。

[凡例]
xx:yy 動画内タイムコードと劇中の場所
オリジナル版まま
オリジナル版の記憶よ永久にあれ
アナザーストーリー版(追加または置き換わり)
※タイムコードは動画の概要欄に同じものを記載しています

01:34 ザイオン/セーフハウス

Alpha Signal Meter

*リリー「イヴ 待ってました!」
-リリー「お見せしたいものがあるんです!
+リリー「あたし ひらめいたんです!」
*イヴ「これは何?」
*リリー「これはですね 名づけて"アルファ信号受信機"!」
*リリー「アルファコアの微かな反応を拾って その位置をピンポイントで割り出せるデバイスです」
*リリー「そう遠くのコアまでは探知できませんけど…」
+イヴ「針が動いているように見える」
+リリー「えっ」
+(慌てて振り返り装置を調整するリリー)
+リリー「まだ調整中なんです…」
+(調整しながら)
*リリー「オルカルが話してた場所までたどり着けば きっと役に立ってくれるはずです」
*アダム「ほう やるじゃないか 俺の出番はもうなしか?」
*リリー「アダムの出番なんて最初からないよ」
*アダム「生意気言うな」
*イヴ「リリー いつも助けてくれてありがとう」

09:03 マトリックス11/放棄された隠れ家

Hideout

*アダム「思った通りだ… ここは生存者の隠れ家だよ」
*アダム「見たところ だいぶ昔に放棄されたようだ」
(中略)
*アダム「ここは…」
*イヴ「死者を祀る場所」
*イヴ「きっと今もマザースフィアの救いを待ってるはず」
アダム「そんな…」
+リリー「そんな…」
*イヴ「みんなの記憶をマザースフィアに届けて 弔ってあげないと」
アダム「手を貸すよ」
リリー「あたしも手伝う!」
+リリー「あたし 手伝うよ!」
+アダム「俺も手を貸そう」
*イヴ「2人とも ありがとう」

11:56 マトリックス11/最後の物資キャンプ

*リリー「アルファの信号がかなり近いです」
*リリー「おそらくこの階段の先に アルファネイティブがいます」
*アダム「イヴ! これを見ろ!」
*イヴ「これは… 第2空挺部隊のレガシー」
-リリー「さっそく 見てみます?
+リリー「アルファも気になるけど… 見てみます?」
*リリー「これでこの間のレガシーの謎も 解けるかもしれません」
-アダム「いや 待て 再生すれば敵を引き寄せるかもしれない
-アダム「ひとまず 再生するのは後にしてアルファコアの回収を急ごう
+アダム「そうだな… だが急いでるんじゃなかったのか」
+アダム「アルファコアは目の前だ」
*イヴ「ええ 確かに アルファネイティブを先に始末しないと」
*イヴ「確認はあとにして 行きましょう」

13:12 マトリックス11/浄化プラント

*アダム「見ろ! 何かぶら下がってるぞ」
*アダム「まさか人間か? まだ生きてるぞ!」
*アダム「どうする イヴ?」
*イヴ「早く助け出さないと!」
*(頭を両手で抱え苦しむイヴ)
*アダム「何の音だ?」
+(姿は見えないが黒い翼のアルファネイティブの高笑いが響く)
-アダム「まさか…
+アダム「あいつが…?」
*イヴ「タキ…?」
*イヴ「どうして… なぜあなたがここに?」
*リリー「えっ ウソ! アルファ信号が増大してる!」
*アダム「イヴ! あいつがアルファネイティブだ!」
*イヴ「タキが… ネイティブ?」
*イヴ「そんなのあり得ない」

15:53 マトリックス11/最奥(戦闘後)

Eve and Tachy

*アダム「イヴ…」
*アダム「自我を取り戻したようだ」
*(倒れかかるタキを抱き止めるイヴ)
*タキ「ずっと… この瞬間を 待ってたわ」
-イヴ「もう… 苦しまなくていい
+イヴ「タキごめんなさい 私…」
-タキ「ええ
+タキ「いいの」
*タキ「ああ… イヴ…」
*タキ「ありがとう… やっと戻れた…」
*タキ「一つ… 最後に頼んでもいい?」
*タキ「マザースフィアに… 私の記憶を… 送り届けてくれる?」
-タキ「汚染されたメモリースティックじゃ…
+タキ「二度も任務に失敗したんじゃ…」
*タキ「どのみち… 処分されるかしら…」
*イヴ「大丈夫 心配いらない」
*タキ「だったら… 星屑と一緒に見守ってるわ…」
*タキ「宇宙でね…」
*イヴ「タキ!」
*イヴ「必ず 届ける…」
+イヴ「やり遂げてみせる…」
*イヴ「汝の記憶よ… 永久にあれ」

空想ポイント

タキについて、筆者のアナザーストーリーでは、オープニングで遺言を残す(以前のアナザーストーリー#1)ことによりプレイヤーとのつながりがあり、ここに至るまでに、レイヴンと同じ第2空挺部隊だった(前回のアナザーストーリー#4)ことによるストーリーのつながりがあります。ここでタキが再登場するのも、それなりに説得力があるのではないかと思います。さらに、今際の際に、伏線を回収しつつ任務に言及することができたので、このあとのイヴとプレイヤーのモチベーションを後押ししてくれそうです。

リリーのアルファ信号受信機お披露目の場面では、オルカルがアルファネイティブであることの伏線を張っています。2周目のプレイヤーは、「これオルカルに反応してるだろ」と気付く人も多いのではと思います。こういった、周回プレイをするプレイヤーがニヤリとできる要素、本当に好き。

放棄された隠れ家のアダムについては、筆者の創作したアダム像に合わせた台詞としました。
物資キャンプにおけるレガシー関連のアダムは、筆者のアナザストーリーでは、アダムにとってレガシーよりもアルファコアの入手の方が大事なので、それに合わせた台詞としています。
タキが天井からぶら下がっている場面のアダムも同様に、アナザーストーリーでは、アダムは、黒い翼のアルファネイティブことレイヴンが、タキをアルファネイティブに仕立てたことをここで知る筋書きなので、それに合わせた台詞としています。

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