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考察#10[ステラーブレイド]ストーリー解説と問題点 ネスト周辺~レイヴン戦【ネタバレ注意】

この記事はサブ記事です。

メイン記事「ストーリーのネタバレ考察 総評と問題点まとめ」を読んでもいいし、読まなくてもいいかも知れない。

[メイン記事概要]
ステラーブレイドを200時間以上遊び倒して執筆。圧倒的高評価のゲーム性やシステムには敢えて触れず、唯一、遺憾なストーリーに焦点。未プレイ者も楽しめる読み物を目指すが、ネタバレ注意。ストーリー総評は「世界観◎プロット◯人物描写✕筋書き✕」大きな問題点を2つ指摘。考察のためメインストリームのプロットを書き起こし。

この記事には、ステラーブレイドのストーリー部分を中心に編集した動画と、その中で描かれているストーリーの考察、アナザーストーリー的な二次創作アイデアがあります。

[動画]ステラーブレイド
私的まとめ第10話「レイヴン」

全12話完結。ストーリーを追いやすいようガッツリ編集の動画です。

マスターコアを入手したイヴはネストに向かいます。その行く手にレイヴンが現れます。

次の動画 ▶ 第11話「エルダー」

ここから先は、この動画に含まれていない全てのネタバレ要素を踏まえた文章となりますのでご注意ください。


ストーリー解説

最後のレガシー

いよいよネストに到達せんとするイヴの前に、最後となる4つ目のレガシーが置かれています。

Legacy
  • ネイティブはマザースフィアのいる宇宙コロニーに迫ろうとした。

  • マザースフィアはコロニーの汚染を防ぐため軌道リングや多くの設備を破壊した。

  • その残骸が地球に降り注ぎ、地表は荒れ果て、文明が潰えた。

これまで、「コロニー墜落」についてはストーリー上で語られることはなく、プレイヤーにはゲーム内のメッセージで「かつてそれが起きた」と知らされているだけでした。

イヴたちの反応を見るに、コロニー墜落はネイティブとの戦争による副次的な惨事と認知されていたようですが、ここでは、それがマザースフィアの仕業だったと明かされます。

終盤で明らかになるマザースフィアの凶行。ですが… これまでと、この先に待っている展開との噛み合いがないことは、メイン記事の問題点(2つ目)に書いた通りです。

レイヴン

ネストへの最後の門番をつとめるのは、麗しき闇烏、レイヴン。

Raven

思えば彼女は、オープニングでイヴとタキの前に黒い翼のアルファネイティブとして現れて以降、レガシーにおいてこの世界の歴史を紐解き、最後にまた敵として対峙する、全編を通してイヴとプレイヤーに関わりの深い最重要人物。

レイヴンは、ステラーブレイドの裏の主人公といっても過言ではありません。そしておそらく抜群の人気キャラクター。しかしながら… 詳しくは問題点にて語ります。

レイヴンの話の中で押さえておくべき点は、レガシーをイヴの行く先々に置いたのは、どうやら"あの方"(アダム)だろうということです。

ストーリーの問題点

狂気に走った?レイヴン

物語における狂人は、狂人なりの論理がなければならないと思います。恣意的に狂人を動かすならば、せめて、それに見合うストーリーを用意してあげて欲しい。

Raven

レイヴンは、レガシーで見せた冷静沈着な人物像とは違い、高笑いし怒りをまとった姿でイヴとプレイヤーの前に現れます。この様変わりの経緯を、レイヴンの自分語りだけで伝えるのは相当に難易度が高いと思いますが、以前の考察(#4)でも書いた通り、レガシーをああしてしまった以上、仕方ない。ストーリー警察としてそこを大目にみることはできない。

しかし残念なことに、狂人なりの論理というよりは意味不明、収拾がつかなくなって放り出した感が否めません。雰囲気でそれっぽいことをしゃべっているだけと言い換えてもいい。

例えばイヴが「もう黙れ」とレイヴンに斬りかかるシーン。
イヴ「タキを弄んだお前に 真実を語る資格などない!」
レイヴン「わからないのか? 裏切ったのはマザースフィアのほうだ!」

Raven

いや、何もわからない。
前後では"あの方"の話をしているのに、急にマザースフィア?タキつながりか…?それにしても、かなりの飛躍がありそう。むしろ、タキもイヴも裏切られた側なのだけど… これを「狂人だから飛躍しているのである」として片付けるのは説得力に欠けます。

"あの方"についても「はじめから駒だとわかっていた」のに、「仕え続けてきたのに裏切られた」と言い、それなのに「あの方の痛みも怒りも苦しみもわかるものか!」と怒ったり、支離滅裂。これを「狂人だから支離滅裂なのである」とするのは、説得力うんぬんよりレイヴンが可哀想になります。

レイヴンの描写は、筆者が「物語が放棄されている」と考える本当に残念な要因の一つです。

急に厳しいイヴの仕打ち

Raven

レイヴンを倒したイヴは、すでに両腕を失っているレイヴンに対して、人間でいうところの脊髄を切断して二度と戦えない身体にした上で、死ぬのは許さない無様に生きろ、と捨て台詞を吐きます。率直に言ってやり過ぎでしょう。レイヴンのしたことと、その仕打ちが釣り合ってないのよ、全然。

こういった演出は、「こいつはこうなって当然」という主人公とプレイヤーの感情が一致してこそ物語として成立するのであって、これでは気まずいただのリンチです。

イヴ「あなたは… 私から多くのものを奪った」

タキくらいしか思い当たらない… オルカルやマン?イヴにとって大事な人物としては描かれていませんでした。

Xion
ザイオンのNPC達もみんな生きてるし…

この見せ場までに積み上げてくるべきストーリーが無かったのですから、当然といえば当然なのですが… 本当に残念なストーリーの放棄と言わざるを得ません。

もしかして続編を睨んで殺さなかった???
それはそれで、倫理にもとるというか、こちら側の身勝手が過ぎるように思います。それはない。

アナザーストーリー[二次創作版]

オリジナル版の良質なプロットはそのままに、このあとの展開も考慮したアイデア版です。

素晴らしいゲームをリスペクトしつつ、素人たる筆者がおこがましい限りではあるけれど、ストーリーに問題が多くもったいない過ぎるので空想するに至った次第。どうか許してほしい。
改ざんや創作したカットやシーンと、その前後だけ抜き出して書いています。略してあるシーンはオリジナル版ままを想定しています。

動画を見ながら脳内で展開すると、より楽しめます。

[凡例]
xx:yy 動画内タイムコードと劇中の場所
オリジナル版まま
オリジナル版の記憶よ永久にあれ
アナザーストーリー版(追加または置き換わり)
※タイムコードは動画の概要欄に同じものを記載しています

04:33 荒野/ネスト付近

*イヴ「一体 アダムは何に巻き込まれてるの?」
*イヴ「リリー… 本当にこのままついてくる気?」
*リリー「少しでもイヴの力になりたいんです」
-リリー「いつも助けてもらってばっかだし…
+リリー「あたしも一緒に戦いたい もう見ているだけは嫌なんです…」
*イヴ「でもこの先に エルダーがいるかもしれない」
*リリー「望むところです!」
+リリー「あたしの秘密兵器」
*リリー「このエグゾスーツさえあればなんとかなりますよ!」
*イヴ「わかった ありがとう」
*イヴ「じゃあ先へ進みましょう」

05:48 荒野/ネスト付近/レガシーの再生

-レイヴン「第2次降下作戦より109日
-レイヴン「レガシーアカウント レイヴン
-レイヴン「おそらく… これが最後の記録となるだろう
+レイヴン「こんなものを残して 私は何をしている?」
+レイヴン「(自笑して)まあいい」
-レイヴン「我らはマザースフィアを人類の母として崇め続けてきた」
+レイヴン「お前たちはマザースフィアを人類の母として崇め続けてきた」
*レイヴン「マザースフィアは不変の存在として人類を滅亡から救い 人に命と住処を与えたと信じて」
-レイヴン「だが我らのコロニーでの暮らしは マザースフィアがその手を血に染めて得たものにすぎないのだ
+レイヴン「だがお前たちの安穏としたコロニーでの暮らしは マザースフィアがその手を血に染めて得たものにすぎない」
*レイヴン「マザースフィアが引き起こした反乱は戦争を招き 人類は取り返しのつかない代償を払った…」
*レイヴン「わずかに生き残った旧人類はネイティブへと進化し マザースフィアがいるコロニーへ 迫ろうとしたのだ」
*レイヴン「そしてコロニーの汚染を防ぐため マザースフィアは軌道リングに加え 30ものモジュールを破壊した」
*レイヴン「その残骸は地球へと降り注ぎ 地表は瞬く間に地獄と化したのだ」
-レイヴン「そして皆が知っての通りその後 文明は潰えた」
+レイヴン「そしてお前たちも知っての通りその後 文明は潰えた」
*レイヴン「見渡してみろ 地球にはもうネイティブしかいない」
レイヴン「覚えておけ」
+(レイヴンの表情が険しくなり憎悪が浮かぶ)
*レイヴン「あの戦争を始め 終わらせたのは… マザースフィアだ」
-レイヴン「決して忘れるな 我らは捻れた盤面の駒に過ぎない…
+レイヴン「そして今は 空挺部隊を撒き散らしている 自らの手を汚すことなく」
+レイヴン「血の臭いで吐きそうになる この荒れ果てた戦場にな…」
+レイヴン「(憎しみに震えながら)私は人間をやめるぞ マザースフィア… お前に恐怖を教えてやる」
+(レガシーを払いのけるレイヴン)
+(映像が乱れてプツリと切れる)
*リリー「こんなのデタラメだよ!」
*リリー「レイヴンの妄想に決まってる!」
(後略)

08:16 荒野/ネスト/周辺

Raven

*イヴ「レイヴン…」
*レイヴン「イヴ」
*レイヴン「はじめからすべてわかっていた…」
-レイヴン「私は貴様を あの方のもとへ導く駒に過ぎないとな…
+レイヴン「復讐に駆られた空挺部隊の兵士が… いずれ 私を見つけるだろうとな…」
+レイヴン「あの方がいなければ貴様は無知のまま!」
*レイヴン「私が残したレガシーさえも利用される始末だ」
-レイヴン「貴様も真相を知った上でここまで来るとは おめでたいな」
+レイヴン「貴様もマザースフィアの捨て駒と知った上でここまで来るとは おめでたいな」
-レイヴン「だが無論 貴様をあの方に会わせはしない
+レイヴン「あの方が貴様に興味を持つとは どういうわけだろうな」
*イヴ「もう黙れ!」
*イヴ「タキを弄んだお前に 真実を語る資格などない!」
-レイヴン「わからないのか? 裏切ったのはマザースフィアのほうだ!
+レイヴン「タキ…? 元気そうな姿を見たときは驚いた」
+レイヴン「地獄を共に生き抜いたものを おめおめと宇宙に逃げ帰った臆病者が!」
レイヴン「あの方がいなければ貴様は無知のまま!」
*レイヴン「私は あの方に仕え続けてきた」
-レイヴン「誰よりもあの方を知っている…
+レイヴン「あの方の力で進化したのだ…」
-レイヴン「何も知らぬ貴様に あの方の痛みも怒りも苦しみもわかるものか!
+レイヴン「マザースフィアに祈りを捧げるタキを ネイティブにしてやったのは面白かった」
-レイヴン「だが貴様の"特別扱い"も… ここまでだ
+レイヴン「貴様もそうしてやろう 地上に堕ちてくる天使どもを 死ぬまで狩り続けるがいい」
*イヴ「リリー あなたは手を出さないで」
*イヴ「こいつは… 私がやる」
*レイヴン「この姿で戦うしかないとはな…」
*レイヴン「マザースフィアが作りし究極の戦闘形態」
-レイヴン「全ては あの方のため…
+レイヴン「全ては 我らの進化のため…」

Raven

(戦闘中)
*レイヴン「貴様は認めんだろうが一ついいことを教えてやろう」
*レイヴン「任務を終えて英雄としてコロニーに帰還するなど 夢物語だ」
*レイヴン「操り人形のままでいればいいものを 貴様は知りすぎた」
-レイヴン「マザースフィアもコロニーも貴様の話など聞かぬだろう
+レイヴン「マザースフィアにとって空挺部隊など精鋭であるものか」
-レイヴン「コロニー墜落の時と同じように切り捨てられるだけだ!」
+レイヴン「これまでの天使どもと同じように切り捨てられるだけだ!」
*レイヴン「ゴミのようにな!」

12:30 荒野/ネスト/周辺(戦闘後)

*レイヴン「やるな イヴ! 大したものだ」
*レイヴン「何を躊躇ってる? 同じ兵士 あるいは同じ人だからか?」
*レイヴン「我らは人ならざる者だというのに…」

*イヴ「メインフレームの神経とエグゾスパインを完全に断ち切った」
-イヴ「これでもう… あなたは戦えない
+イヴ「これでもう… あなたは狩りなんてできない」
-イヴ「あなたは… 私から多くのものを奪った
+イヴ「あなたは… 私や仲間たちから大切なものを奪った」
*イヴ「報いとして… そこで結末を見届けるといい 無様にね」
*レイヴン「なに!?待て! とどめを刺さない気か!?」
*レイヴン「一体何様のつもりだ! 何も知らぬくせに!」
*レイヴン「やれ!」
*レイヴン「ひと思いに 殺すといい! どうせ初めてじゃないだろう」
+レイヴン「タキのことを忘れたか?」
*イヴ「リリー 行きましょう」
*レイヴン「イヴ! 何をしている! とどめを刺せ!」
*レイヴン「イヴ! イヴ!」

空想ポイント

前回のアナザーストーリー(#9)から引き続き、筆者の創作では、レイヴンは、黒い翼のアルファネイティブとなってマザースフィアへの反逆と復讐のため"天使狩り"に明け暮れていた、という設定です。今回のアナザーストーリーでは、そうなった経緯を明かしています。うまく脚本にできていると良いのですが。このあたり、自前で客観的な評価はなかなか難しい。

まず最後のレガシーでは、1つ前のレガシー(以前のアナザーストーリー#6)からの流れで、ネイティブへの進化と、マザースフィアへの反逆を決意させています。ここではディオ(ジョジョの奇妙な冒険©荒木飛呂彦先生/集英社刊)の名セリフを拝借しました。
続いてイヴと対峙するシーンでは、以前のアナザーストーリー(#4)によるタキとの伏線を回収しつつ、タキをアルファネイティブに仕立てた理由を明かします。
そしてイヴとの戦闘中と敗れたあとの会話では、かつて空挺部隊としてマザースフィアに捨てられた口惜しさを滲ませつつ、天使狩りの報いを受ける、という筋書きです。

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