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考察#4[ステラーブレイド]ストーリー解説と問題点 荒野~アルテス・レボワ~レイヴン登場【ネタバレ注意】

この記事はサブ記事です。

メイン記事「ストーリーのネタバレ考察 総評と問題点まとめ」を読んでもいいし、読まなくてもいいかも知れない。

[メイン記事概要]
ステラーブレイドを200時間以上遊び倒して執筆。圧倒的高評価のゲーム性やシステムには敢えて触れず、唯一、遺憾なストーリーに焦点。未プレイ者も楽しめる読み物を目指すが、ネタバレ注意。ストーリー総評は「世界観◎プロット◯人物描写✕筋書き✕」大きな問題点を2つ指摘。考察のためメインストリームのプロットを書き起こし。

この記事には、ステラーブレイドのストーリー部分を中心に編集した動画と、その中で描かれているストーリーの考察、アナザーストーリー的な二次創作アイデアがあります。

[動画]ステラーブレイド
私的まとめ第4話「レガシー」

全12話完結。ストーリーを追いやすいようガッツリ編集の動画です。

アルテス・レボワでハイパーセルを回収したイヴは、第2空挺部隊兵レイヴンの記録装置、レガシーを見つけます。その後、アルファネイティブを追ってマトリックス11に向かいます。

次の動画 ▶ 第5話「マトリックス11」

ここから先は、この動画に含まれていない全てのネタバレ要素を踏まえた文章となりますのでご注意ください。


ストーリー解説

レガシー

オルカルは「遺跡」と呼んでいた近未来的な研究施設、アルテス・レボワ。

Levoire

そこに残されていた空挺部隊の記録装置「レガシー」によって、再びイヴの知らない世界の謎が少し明かされます。

レガシーを残したのは、第2空挺部隊の兵士レイヴン。前回の考察(#3)で、1年に1度、降下作戦が実行されていることがわかっていますので、およそ5年前の記録ということになります。レイヴンの話をざっくり要約してみました。

  • 最終戦争より前に、人類と、人類がつくりだしたアンドロイド「アンドロエイドス」との戦争があった。

  • アンドロエイドスが勝利したが突如として、正体不明の凶悪なクリーチャー「ネイティブ」が現れた。

  • ネイティブとアンドロエイドスとの戦争により人類は宇宙コロニーに逃げ延びた。

この時点でのポイントとしては、プレイヤーは「アンドロエイドス=イヴたち かな?」と察することができるものの、イヴやリリー、レイヴンたちの側からすると、自分たちが唯一の人類と認知しているため、アンドロエイドスは未知の勢力、と捉えていることでしょうか。

以前の考察でも書いた通り、ステラーブレイドのストーリーでは、度々このような世界の成り立ちが説明され、より強固な世界観が構築されていきます。

しかしながら、このレイヴンのレガシーは主人公イヴの「今」プレイヤーがイヴと共に経験する冒険活劇という意味のストーリーには一切、寄与していません。詳しくは問題点にて語ります。

ストーリーの問題点

ストーリーを語らない重要人物レイヴン

Legacy

第2空挺部隊が、レイヴンを含めて3人になってしまった(まもなく2人になりそう)、という状況での記録ですが、あまりに冷静かつ理論的に世界の歴史を語っています。このあと終盤にかけて計4つ見つかる記録装置レガシーは、すべて同じような調子です(考察#6 / 考察#10)。何事にも動じない冷静沈着な人物、なのかと思いきや、最終盤でイヴと対峙する場面(考察#10)では、高笑いし意味不明なことを言い出します。

この手の記録の王道としては、混乱し焦燥しつつもなんとか冷静を装い記録を残していくが、次第に恐怖と妄想に呑み込まれ、ついには正気を失ってしまう、というパターンでしょう。最後の記録だけが今回の調子で語られていたら、「ああ、ついにいっちまったな」となるところです。

王道が正解とは限らないのですが、もし狂気に走るという筋書きならば、レガシーのレイヴンがこの理性的な描写に終始するのはちぐはぐですし、レイヴンのストーリーすら表現されていません。

最大の問題は、レイヴンのレガシーは世界の背景(世界観)を伝えているのみで、イヴの冒険活劇たるメインストーリーが1mmも動いていない点です。さらにいうと、このアルテス・レボワで入手するハイパーセルを持ち帰るとストーリーが進む段取りなので、ザイオン到着からストーリーは止まってしまっています。

このレイヴンの描写と停止したストーリーは、筆者が「物語が放棄されている」と考える要因の一つです。

アナザーストーリー[二次創作版]

オリジナル版の良質なプロットはそのままに、このあとの展開も考慮したアイデア版です。

素晴らしいゲームをリスペクトしつつ、素人たる筆者がおこがましい限りではあるけれど、ストーリーに問題が多くもったいない過ぎるので空想するに至った次第。どうか許してほしい。
改ざんや創作したカットやシーンと、その前後だけ抜き出して書いています。略してあるシーンはオリジナル版ままを想定しています。

動画を見ながら脳内で展開すると、より楽しめます。

[凡例]
xx:yy 動画内タイムコードと劇中の場所
オリジナル版まま
オリジナル版の記憶よ永久にあれ
アナザーストーリー版(追加または置き換わり)
※タイムコードは動画の概要欄に同じものを記載しています

02:12 ザイオン/セーフハウス

(前略)
*イヴ「ドローンが… 変形した」
-リリー「その通り! これまでのドローンとは別物です!
+リリー「その通り! あたし ひらめいたんです!」
*リリー「生まれ変わったその名もドローン2.0! 遠距離攻撃まで可能な改良型!」
*リリー「いいえ… 改良なんてもんじゃありません これぞ進化です!」

06:48 アルテス・レボワ/内部/物資キャンプ

*イヴ「ここにいるネイティブは… 人間と似てる 地上にいる奴らとは 見るからに違う」
*イヴ「それに未確認のネイティブばかり…」
-イヴ「エルダーネイティブ… 私たちに一体… 何を隠しているの?
+イヴ「この施設は一体… ここで何が起きたというの?」

07:45 アルテス・レボワ/最奥

(前略)
*イヴ「再生してみる」
*レイヴン「第2次降下作戦より8日 記録3」
*レイヴン「レガシーアカウント レイヴン」
ーレイヴン「残る生存者はリプリー およびアニス
+レイヴン「残る生存者はタキ およびアニス」
+(目を見開くイヴ)
+イヴ「タキ…!? まさか」
+(イヴは目を閉じ、短く首を振るとレガシーに再び集中する)
*レイヴン「アニスの容態は芳しくない おそらくこのままでは長くは持たないはずだ」
*レイヴン「降下場所より4.47km地点で この研究施設を発見した」
(中略)
*レイヴン「これを見ている者にも…」
*レイヴン「マザースフィアの加護があらんことを…」
-イヴ「まさか こんな記録が残ってるなんて
+イヴ「考えられないことじゃない… でも こんな記録が見つかるなんて…」
リリー「それに…」
*リリー「最終戦争の前にも別の戦争があったってどういうこと?」
*リリー「コロニーじゃそんな話聞いたこともないよ」
イヴ「どう思う アダム?」
+(無言で逡巡する様子のイヴ)
*アダム「人類の歴史はいつだって争いに満ちてる」
*アダム「最終戦争の前に別の戦争があっても不思議じゃない」
イヴ「だとしても… これが私たちに伝わってないのはおかしい」
+リリー「なに偉そうに だとしても あたしたちが知らないなんてあり得ない」
*イヴ「レガシーを回収して そっちに戻る」
*アダム「イヴ 待て テトラポッドで迎えに行こう」
*イヴ「わかった 外で待ってる」

11:38 ザイオン/地下/謁見の間

-オルカル「おお… 無事戻ったか わしの目に狂いはなかった
+オルカル「おお… 無事戻ったな おぬしにとっては造作もないことだったか」
-オルカル「よくぞやったアダム あとは おぬしに任せるとしよう
+オルカル「アダムもご苦労だった あとを任せてもよいかな」
*アダム「ハイパードライブへ行くぞ」
(後略)

空想ポイント

筆者のアナザーストーリーにおける目玉の一つ、タキはレイヴンの元同僚で第2空挺部隊として地球に降下した経歴がある、という設定を創作しました。それに合わせた会話シーンとしています。これにより、過去のレイヴンと現在のイヴにつながりが生まれ、同時にストーリーとも無関係ではなくなります。さらに、このあとの展開をよりドラマティックにする伏線となってくれることでしょう!

オルカルについては、筆者の創作したオルカルとアダムの関係性に合わせた台詞としました。

リリーについては、筆者のアナザーストーリーにおける今後の「ひらめき」に備えて、プレイヤーの納得感を高めるため、そういうキャラクターなのである、という刷り込みを多く散りばめようと思いました。さらに、サブミッションやゲーム内のちょっとした会話シーンにおいて「失敗におわるひらめき」も散りばめられていると、ほどよい愛されキャラクターになりそうです。

物資キャンプでのイヴの台詞「エルダーネイティブ… 私たちに一体… 何を隠しているの?」これは、よくよく考えると筋が通りません。というのも、「隠している」という表現は、アダムのような話が通じる人間、何かを意図して隠すような生物をエルダーとして想定していることになるからです。これまで遭遇したネイティブからして、よりおぞましく凶暴な化け物を思い描くのが自然なのでは、と思いましたので、筆者のアナザーストーリーではそれを踏まえた台詞としました。

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