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映画館なんてセレブの娯楽だと思ってた

映画は高い!という印象があって、ちょっと前までそんな風にしか思っていなかったんですけど、最近、映画館で観る楽しみを覚えて嵌ってしまいました。好みの映画をやってくれてる映画館に出会ったのも、楽しくなった理由の一つではありますが。

時折聞こえてくる誰かの身じろぐ音とか、家ではありえない音響とか、なんといってもあの雰囲気が行かないと味わえないのがいい。

2020年に観た映画の感想を、ちょっとずつ羅列していくスタイルです。なので、観たら増えていくし、感想も増えるかもしれない。

ネタばれには配慮しないので、覚悟の上でご覧ください。健忘録的なところもあるので。

映画何見てるの、と聞かれても、それ自分も観た!って言ってくれる人のリアルでの居なささよ。その点、ネットにはたくさん感想や口コミが溢れてて幸せね。本とかでもそうなんだけれども。

「TENET」

https://wwws.warnerbros.co.jp/tenetmovie/index.html 今更何かいうまでもない話題作。ちょっとだけ予習していったけど、何も知らなかったらまったく理解できずに楽しくなかったかもしれないので、正解だったと思う。どしょっぱなから、楽器が壊れるのが非常にショッキングでしばらく引きずってた。アルトサックス蹴らないで……!!考察でも言ってる人いたけど、チューニングはあえての不協和音だったとして、あの楽器編成でなんの曲をやるつもりだったのか非常に気になります。雨上がりの水たまりを見つけると、逆行遊びを一人でこっそり慣行していたりする。

「ジョーンの秘密」

https://www.red-joan.jp/ トム・ヒューズがやってるレオが半端なくひどくてかっこいいので、それを理由にでもいいから観ていただきたい。理想の遂行のためならなんでもやるという、彼にとっての正義感なのかもしれないけど、ジョーンにしてみたら弄ばれた利用されたという印象しかないのはあたりまえ。ジョーンは駄メンズ引き寄せすぎでは、と思ったりもしたけど、その中には確かな愛もあったのだろうなと思えるような最後でした。ソニアとレオができてるのではっていうのは、ジョーンとの出会いの時点でなんとなく思ってたけど、最終的にレオが殺されちゃったのは、ジョーンからの協力を得られなかったというだけじゃなくて、レオの心がジョーンに向きつつあったことをソニアが感じ取ったからなのではと思わなくもなかった。毛皮のコートを盗んだのも、あれが欲しかったというだけじゃなくて、レオとジョーンに対する嫉妬のようなものがあったからだと思うし。部屋の中とか、服装とかも観てて興味深かった。

「真夏の夜のジャズ」

http://cinemakadokawa.jp/jazz4k/ 映画館で観るより、外とかライブハウスでお酒呑みながら観たかった。参加者みたいに、ラフに自由に楽しむ方が、このドキュメンタリー映画を味わえたのではないのかなって。身体を揺らして、手拍子をして、歓声をあげて、楽しみたい世界観だったので、それが残念と言えば残念。座って大人しく観るのが、ちょっと窮屈に感じました。ファッションとかは見てて楽しかったし、あんなたばこふかしまくって観れるフェスなんて、今はもう存在しないだろうな。 

「ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー」

https://longride.jp/booksmart/ めちゃくちゃ面白かった。最高。出てくるキャストがみんな個性的で、みんな素敵。卒業式でモリ―がみんなのことを知った、的な事を言ってたけどそれは本当にそうで、私も学生時代のこと思いだすと心当たりがある……。お互い様なのだろうけどね。友情と恋と高校生活は戦争であることと、大人の絶妙な絡み具合のバランスがすごくいい。ジジさまが最高。彼女がいることで、面白さに拍車がかかるし、物語の深みがぐぐぐっと増す。初登場時からジャレッドもいい味出してるな、って思ってたけど、モリ―のことを本当によく見ててくれたのは彼だったんだよね。「努力してるところが好き」って。それを聞いた時のモリ―のお顔も好きだし、ジジ様は知っててニックのことけしかけたような気もする。つまらないだけの性格ブスって二人とも思われてたのかもしれないけど、パーティに来た二人を喜んで受け入れる学校のメンバーたちがいいんだよね。これ、日本だったら「なんで来たの」「来なきゃよかったのに」とか、なりかねないからちょっと見てるとき怖かった。みんなが受け入れてくれたからこそ、現実を二人とも受け止めて一歩踏み出すことができたんじゃないかな。ブルーレイの日本語字幕版を早くください。ドイツ語しかアマゾンで無いよ…。残念なのは、予告動画があんまり魅力を伝えきれてないことかな……。

「WILD ROSE」

https://cinerack.jp/wildrose/ こうでなきゃいけない、こうあるべきだ、っていうのが無意識のうちに私にもあって、そういうのから抜け出すのってやっぱり切っ掛けみたいなものがいる。すんなりとできるときもあれば、絡まったネックレスみたいにどうやってもほどけないときもあって、でも開けてしまえば本当になんでもないようなことだったりする。ローズはカントリーミュージックが本気で好きで、家族も地元も同じぐらい好きで、どっちかでなくて、その両方を選んでもいいのだと気付けたことが幸せなのだと思う。気づけたからこそ、ローズの音楽ができたのだと思うし。なによりも、本当に歌が素晴らしくて、アマゾンでCDお取り寄せしました。イギリスから送ってくるっていうから1か月は覚悟してたけど、それでも届かなくて、問い合わせたら1枚届き、2枚目はその1週間後に来たっていう。なんでそんなに時間かかってたのか謎。2枚目は受け取り拒否しました。子どもたちにもお父さんがいるんだけど、全然父親らしいことはなくて、ただヤって呑んでるだけ。結婚もしてないし。ローズがそんな彼氏に父親らしいことを強制もしないし、望んでいるようにも見えないし、頼ることもないし、なんか、ああこういうのもありなんだろうなと思う私もいて。男に依存しない生活。お互い必要な時にだけ会ってるみたいな。まぁ、ローズの場合は、母親にはすごく甘えてるところがあるんですけども。

「オン・ザ・ロック」

http://ontherocks-movie.com/ 父娘の話。雰囲気がすごく良いのは、ソフィア・コッポラですから納得。空気感っていうのかな、とても素敵。特別何かが大きく変化するわけでもないし、すっごい事件が起きるわけでもないし、でも、こういうことって必要だよねと思える。張り込み中に食べてたキャビアクラッカーがすごく美味しそうだったので、ランプフィッシュで真似してもそもそ食べたりしてました。キャビア高いんだもの。

「甘いお酒でうがい」

https://amasake-ugai.official-movie.com/ 個人的には、ちょっと現実離れしていて共感しにくいところが。そもそものところなんだけど、あんな暮らしが正社員でもないのにできるのだろうか。ちょっと無理なのでは。ところどころだったら、あぁそういうこともあるよね、って思えるんだけど。ピアスがとことん可愛いことに目がいっちゃう。嫌われ松子の一生を思い出したし、あっちの方が現実離れしてるストーリーなのに、なんだか身近に思えた不思議。

「十二単衣を着た悪魔」

https://www.juni-hitoe.jp/ え、村井君これだけ……!!!???って思ったんですけど、最初だけでもいいインパクト残してて素敵でした。公開前からいろんな意味で話題になってたけど、黒木瞳が原作好きなんだなぁというのが伝わってきて愛を感じる作り。小物とか、着物とか、も見てて楽しかった。御簾もちゃんと上げ下げしてるし、部屋の作りも面白い。季節や感情に合わせてかさねが変わるのもだし、雷が最後のシーンでは今まで着た事のなかった色合いの洋服を着ていて、これもかさね色目に合わせてるのかなーとか。あと、え、これ東儀さんじゃないの?って思ったらやっぱり篳篥吹いてたの東儀さんだし。ただ、弘徽殿が吹いてた竜笛だけど、あれって平安時代女性が吹いてたんだっけ……。男性だけだった気がしたのだけど。源氏物語は好きで読んだことがあるからあー、って思うシーンもあるけど、葵の上とか六条の御息所とか、ちょっとしか出てないのにいきなり重要シーンでお顔でてもちょっとわかりにくくないかなって。御息所は髪型がストレートじゃないから、わかりやすい方なのかな。お兄ちゃんの朱雀帝は、この後、弟の源氏の君に奥さん寝とられるんだよねって思ってみてるとまたちょっと切なさがある……。原作読んでみたい。

「マイルス・デイヴィス クールの誕生」

https://www.universal-music.co.jp/miles-davis-movie/ マイルスの音楽を、映画館で聴けるというのがまずおススメポイントです。彼の事をあまり知らなくても、楽しめるのではないかと。実際、私もジャズそんなに詳しくはないし。彼の事を語る人たちの、表情がとても好きです。愛に満ち溢れていて、彼とどんな時間を過ごしてきたかが表情を見ているだけでよくわかる。もちろん、彼は薬や暴力のこともあるので、誰もが何かしら思うところがあると思うけど、それでも、他人にあんな表情をさせてしまうだけの人物だったということ。マイルスの瞳も、吸い込まれてしまいそうなぐらいすごく美しかった。どの時代の演奏が好きかは人それぞれあると思うけど、彼が進化をし続けたことは確かなのだと思う。でも、やっぱりKind of Blueのあたりが甘くてとろけちゃいそうな音をしてて好きだなぁ。映画の中で 男は弱さを隠したがる、女は男の弱さが好きなのに。でも、そんな二人を彼の音楽は素直にさせてしまう みたいな(うろおぼえ)感じのことをおっしゃってて、ねえ。もう、ねえ。「マイルスの音は、センチメンタルでないロマンチックに溢れてる」とも。たまりません。

「ソニア ナチスの女スパイ」

http://sonja-movie.com/ お衣装がきれいでゴージャス。舞台終わりに羽織ってる、菊の刺繍が入ったのも素敵。なんか、情報的にはあちこち抜けてるというか、よくわかんないまま進む点が多かったような……見逃してるだけかもしれないけど。とにかく、ソニアが関わる男性の顔とか存在が、ぼやーっとしているような薄い印象。ハンガリー人の恋人のアンドルでさえ、そんな感じ。ソニアの表情だけが、意識下に残ってます。「ジョーンの秘密」と違うのは、ソニアが自分で決めて動いているという点でしょうか。意思も自我も強く、頭も回る。今自分がどうするのが一番いいのか、打算的に動くこともできる。流されてスパイにはなりますが、しっかり自分を持ってるという点に関しては、ソニアの方が個人的には好きかな。ジョーンはなんか、自分に言い訳してるというか、言い聞かせ思いこませながらやってるような印象があるものだから。あと、LiLiCoさんに似てるなぁって。ソニアのお顔。

「リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ」

https://asitwas.jp/ oasisもリアムもノエルも知っているけれど、曲はそんなに知らないです。でも、oasisが解散した時は衝撃だったし、その歌声は好きだったので観にいきました。先だってマイルスのドキュメンタリーを見たり、ノエルのコメント見たりしていたせいもあるんだろうけど、きれいな所を見せられてる感はやっぱりあったかな…。マイルスのは、良いところも悪いところも、いろんな人に話を聞いて作った感じがあったので。彼の事を否定するわけでも、なんでもなく、一面からのみ見えているドキュメンタリーってどうなのかなと思って。あと、せっかく映画館でなので、もっとライブシーンとか歌っているところを見たかった。oasisの曲使わせてもらえなかったから少なかったのかもしれないけど。でも、いい意味で、リアムの印象が変わったかな。ソロになってからの曲も聴いてみたいという気持ちになった。

「マーティン・エデン」

http://martineden-movie.com/ 労働者階級とか社会主義、民主主義が絡んでくる映画。イタリアのそういう事情に明るくないので、難しかった……。特に説明が入るわけでもないし。ただ、エレンと上手く行くわけはないよね。理想、夢、失望、恋に溺れていると見えないものはたくさんある。でも、溺れてるからこそ満たされるものだってある。ただこれ、アメリカの作家さんの自伝的小説なのね。ところどころぷちっと切れているような違和感を感じたのは、このせいなのかな……よくわからん。ブリッセンデンとの交流から彼が亡くなるまでが、マーティンに大きな影響を及ぼしたのであろうことはわかるし、実際そのあたりの描写が一番好きかな。最後の方はもう、痛々しくて見ていられなかった。俺は何も変わっていない、って、そう思うのはきっと自分だけなんだよね……。彼だけじゃなくて、私たちにも言えることなのだろうけど。

2020年に見損ねた映画or観る予定のもの。

公開中に観れたら、上に移動します。でも、正直たくさんありすぎて、観れるのだろうかこれ。「ようこそ映画音響の世界へ」「ミッドサマー」「スパイの妻」「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」「オフィシャル・シークレット」「スペシャルズ!」「グッバイ、リチャード!」「海の上のピアニスト(イタリア完全版)」「ばるぼら」「ヒトラーに盗られたうさぎ」「魔女がいっぱい」「ナショナル・シアター・ライヴ 2020  シラノ・ド・ベルジュラック」「ノッティングヒルの洋菓子店」「燃ゆる女の肖像」「ニューヨーク 親切なロシア料理店」「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2019/20 ロイヤル・オペラ「ドン・ジョバンニ」」「スゥイング・キッズ」「ダンサー そして私たちは踊った」「スキャンダル」「ジュディ 虹の彼方に」「シェイクスピアの庭」「コリー二事件」「ラ・ヨローナ」「パブリック」「17歳のウィーン」「ハニーボーイ」「ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち」「ディック・ロングはなぜ死んだのか?」「シチリアーノ」

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