見出し画像

天麩羅天国

「夫くん、天麩羅てんぷら食べる?」

はい。喜んでいただきます!

季節はすっかり春。
例年に比べて花の開花が軒並み早いけど
気候は穏やか。過ごし易くて食べ物も美味しい。

春と言えば山菜。
私は山菜が大好きだッ!

…いやいや、ちょっと待ちなよ私。
そんなに山菜、好きじゃなかったよね。
むしろ(うーん、山菜かぁ)だったよね。
いつ、見事な手のひら返しをしたんだい?

そりゃ、嫁ちゃんの料理を食べたからだよ!

はい、見事な開き直り。ありがとう。
そうだったね、私は嫁ちゃんの料理に弱い。

(うーん)と少しがっかりしていた山菜も
あれよあれよと美味しい料理に早変わり。

「なにこれ苦味が旨味で超美味しい」

何度嫁ちゃんをあがたてまつったことか。
理屈じゃなくて料理で黙らせる女。
控えめに言ってカッコ良すぎるよ。

・・・

さて、天麩羅だよ今日の話は。

今日のお昼は天麩羅でっせ!と
最高すぎる宣言をした嫁ちゃん。
だって私たちは天麩羅が大好き。

揚げ物は油の処理が非常に手間なので
極力揚げ物をしない私たちでも天麩羅は別。
私のテンションはうなぎのぼりであったのだ。

あまりにテンションが上がりすぎて
「晩ごはんはぼくに任せてくれッ!」と
つい口走ってしまった。料理スキル低いのに。
調子に乗りがちな自分のクセ、嫌いではない。

まあそれは置いといて
天麩羅の材料だよね、気になる所は。

・タケノコ
・こしあぶら
・タラの芽

春が待ち遠しい神よりの授かりもの

どれも採れたての瑞々しい山菜。
時期的に最高級の食材と言っても過言ではない。
こんなのテンション下げる方が難しいよね。

ジュワワワワワ・・・

タイトル画像はこしあぶらを揚げている所。
一番下準備が大変だという生のタケノコは
今朝から早々と処理をしてすでに天麩羅で
カラっと揚がりきっていた。いつの間に…。

天麩羅と同時進行でタケノコ&ピーマンの
チンジャオロース的なものまで出来ていた。
なんだなんだこの料理の鉄人ぶりは。神よ。

天国。圧倒的天国。天麩羅天国が今始まる。

・・・

何度「うまい」「美味しい」を言っただろう?
君はいままで食べたパンの数を覚えているか。
そんなの誰だって覚えちゃいないってもんだ。

わかっていたけど、全てが美味しい。

オーソドックスに醤油でも美味しいけど
天麩羅用の塩をチョイと付けて食べたら
白目を剥くほど美味しかった。ヤバいよ。

「よかったねぇ、私が料理上手で。ふへへ」

猫のような顔で魔女のような笑いの嫁ちゃん。
手が、止まらない!箸が止まらないんだよッ!
君の料理を食べるために私の腕は動き続ける!

アッというまに全てたいらげてしまった。
まあ、いつものことだけど・・・。

ここだけの話。
私は料理で満足するとモードが変わる。

通称アライグマモードになった私は
ふらりとシンクに向かって立ち上がり
美味しさの余韻に浸りながら食器を洗う。
ほとんど無意識に。恍惚の表情を浮かべて。

ここまで書いていて思ったんだけど
嫁ちゃんの料理にはけっこう本気で
魔力が宿っているんじゃなかろうか。

そんなことを考えながら洗い物を片付ける私。
美味しかったよねぇと
嫁ちゃんに紅茶をリクエスト。

最近、我が家では紅茶が熱い。
ラプサンスーチョンというスモーキーで
クセの強い紅茶が密かなブームになっている。

このラプサンスーチョン、妙な名前だが
油料理を食べたあとに飲むと格別に美味しい。
クセが強すぎるのでお勧めはできないけど…。

「うっひっひ。楽しみだなぁ」

唐突に嫁ちゃんがつぶやいた。
食事が終わったばかりなのに、まだ楽しみが?
もしかしてデザートもあったりするのだろうか。

「晩ごはんは夫くんが作ってくれるんだよね」

オー、ソンナコト言ッタカシラネ。エヘヘ。

【夕食編につづく】
かもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?