鞘師里保と松岡茉優と~涙の裏には何がある?
女優の松岡茉優さんは、つんく♂さんからモーニング娘。の「最高到達点」と評された鞘師里保さんのガチオタです。
以前、バラエティ番組で鞘師さんがサプライズ登場したときは、激しい動揺の末に号泣してしまいます。
鞘師さんは2015年に、モーニング娘。15を卒業しますが、松岡さんのとてつもない熱量は衰えることはありません。人生で最も捨てられないものとして、「鞘師からもらった書道」を披露したこともあります。
鞘師さんがモーニング娘。で現役のときも、卒業しても、一貫してTO(トップオタ)であり続けています。
一方、鞘師さんの方は2015年に卒業してから、アメリカへダンス留学。以来一切、ファンの前に姿を現さなかったのですが、2019年のハロプロのイベント「ひなフェス」の場で3年3ヶ月ぶりに復帰します。
その後、BABYMETALのサポートダンサーを経てから、2020年から本格的に活動を再開させます。
そして、2021年。
MBSで放送中の鞘師さんのラジオ「鞘師里保と〇〇と」のゲストで、松岡さんが登場されたのです。
プライベートで、二人は会うことは一切ありません。
松岡さんは、自分はファンであるということを強烈に自覚されているので、一線を画しているのです。
ラジオの中では、緊張のあまり変によそよそしかったり、不思議な感じにもなりましたが、全体的には穏やかな雰囲気で進行していきます。
ところが「松岡さんから見る鞘師さんの進む道とは?」のパートでは、鞘師さんが泣き出してしまいました……!
先日開催された、鞘師さんの復活ライブに松岡さんは行かれたそうです。
その際に思ったことを、松岡さんはラジオで吐露します。
「この方は、もっと遠くに行ける人なんだって思ったんですよね」
「ここじゃないんだと思って、ただそれは本人の意思次第で。もし私がエージェントやマネジャーなら、違う場所に行くことも可能なのかも、と思ったんです」
「それを想像していたら、私や私たちのことを置いていって欲しいと思ったんです」
「こちらをずっと見てくれるのはすごい嬉しいし……ただ半同業のファンとしては、こっちを見ていると行けない場所があると思った」
「ファンを大事にしてる鞘師さんがいて、もちろん嬉しいんですけど、こっちを見なくていいんです」
「鞘師が幸せなのが1番なのだから……」
映画で、優れたセリフは「嘘つき」と言われます。
愛を告白するシーンでも、「好き」と告白するよりも、「嫌い」と言った方が逆に心情が伝わるのです。
「嫌い」なわけがないのに、「嫌い」と言ってしまう登場人物に、視聴者はドラマを感じます。
松岡さんのエールについても、同じことが感じられました。
「ずっと私たちファンの方を見ていて欲しい」というのは本音だとは思いますが、それだと鞘師が本当に成長できないかもしれない。温かみのある何でも受け止めてくれるファンがいる「場」は、居心地が良いでしょう。しかし、いつまでもそこにいては成長しない。空を飛んだことのないひな鳥は、ずっと巣の中にいてはいつまで経っても飛ぶことができません。
だから松岡さんは、こちらを置いていって欲しいと語りました。
非常にエモーショナルなエールです。
鞘師さんも真摯にそのエールを受け止め、思いが涙へと変わりました。
アイドルとファンの関係性は、時を経て変化します。もちろん、それぞれの境遇が異なるからです。
とはいえ、変わらないものもあります。
それが「信頼」です。
「鞘師里保と〇〇と」を聴いて、アイドルとファンの理想的な「信頼」関係が、ここにあったと感じました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?