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『ハリウッド式映画制作の流儀』はハリウッドの「考え方」が学べる

本著を読めば、すぐにハリウッド式の映画制作方法が身に付く……といったことを期待していましたが、予想と違っていました。
各制作のフェーズにおいて、著名なクリエイターたちがそれぞれコメントを述べるといった本でした。

制作のフェーズ(目次)は以下の通り。

第1章 脚本家 ドゥ・ザ・「ライト」・シング
第2章 プロデューサー 長い年月を駆け続ける
第3章 監督 ビジョンを行動に移す
第4章 俳優 「見知らぬ人々の好意が頼り」
第5章 裏方 セットを支える人々
第6章 エディター 映像を見る目
第7章 作曲家 感情を解釈する
第8章 観客 最後のコラボレーター

例えば第1章では、アーロン・ソーキン、アルヴィン・サージェント、トム・シュルマン、ラリー・ゲルバート、ギレルモ・デル・トロ(監督兼脚本家)……他、多くのアカデミー賞級の脚本家がコメントを寄せています。

ギレルモ・デル・トロ
「自分の声」を探すには、自分の本心を見つめ、正直になりきること。でも、作家スティーヴン・キングの言葉を借りれば「すべての歌はすでに歌い尽くされている」。だから、もうやり尽くされているんだ、と認めればいい。そうすれば、その歴史を受け継ぎながら、自分たちで新しいものを生み出そうとしていける。それしかできないんだよ。すごく古い昔話を新しい声で語ることしか。僕たちの仕事は無からリアリティを生み出すこと。真実を求めて世界で一番大きな嘘をつくんだ。
ラリー・ゲルバート
アイデアは自分の中からも、外からもやってくる。観察からも得られるし、自分が言いたいことでもいい。メッセージ性はなくていいが、ストーリー性は必要だ。人と体験を分かち合い、共感や感動を得てもらうには、ストーリーとして伝える必要がある。
ローレンス・カスダン
僕はいろいろ思いつくタイプじゃないんだ。そうだったらいいなと思うよ。たいていは2つか3つの候補の中から一つが特に気になり始め、その1つに絞っていろいろ考えるようになる。脚本を書き始めると、ありとあらゆることに目移りしてしまうけど、途中で執筆を放り出しはしない。

ハリウッドの制作現場からの「声」をそのまま伝えているイメージです。

また、アカデミー作品賞を始め、合計4部門を獲得した映画『ビューティフル・マインド』については別途項目が設けられています。
ここだけを別途、最初に読んでしまっても良いかもしれません。
制作のフェーズを一気に読むことにより、理解も深まりますので。

全体を通しては、映画制作の技術というよりも、考え方が学べる一冊でした!

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