地域との関わりが人生を変える?長野県のスーパー公務員に聞いてみた!
こんにちは。ふるさとLIFE CAMPUSメンバーのみゆうです。
長野県のスーパー公務員3名に、関係人口を通じた地域と関わる第一歩について聞いてみました!観光で行くだけじゃなくて地域の人に触れる旅がしたいと思っているあなた、そこから踏み出す一歩が実は関係人口と呼ばれている関わりなんです。肩の力を抜いて、地域に足を運ぶ人たちがどんな入口から始まって、地域に関わる中でどんな変化が起きているのか、少し覗いてみませんか?
お話を聞いた方の紹介
野澤隆生さん
野澤さんは長野県辰野町の役場職員です。辰野町の関係人口の取り組みは、「ゆるい繋がりをつくる」ことを意識されていて、一例ではAirbnbのゲストハウスを関係人口の窓口にしています。宿のホストが地域の人や場所を紹介してくれて、そこから地域を知ることにつながっていくという形です。
湯澤英俊さん
湯澤さんは長野県飯田市役所にお勤めですが、飯田市に限らず伊那谷全域(長野県南部)で様々な人を繋いでいらっしゃいます。「人に会いに行く」という旅の神髄は関係人口でも同じで、飯田に関わる人が「ただ会いに来ました」と言ってくれるのが嬉しいそうです。
松本弘樹さん
松本さんは長野県庁の信州暮らし推進課で、私たち「ふるさとLIFE CAMPUS」の取り組みを支援してくださっている方です。関係人口というのは観光(交流人口)と移住(定住人口)の間の関わり方で、都市における関係人口の窓口を私たちに委託していただいています。
地域との関わりが人生を変える?
まず、地域に関わることで、関わる本人にどんな変化が生まれているのか聞いてみました。
辰野町では、もともとそんなことやるつもりのなかった都市の人が「自分にも何かできるかもしれない」と思って、いつの間にか起業したりお店を開いたりしています、と野澤さん。地域おこし協力隊で来て1年も経たないうちに、大学のころダンスをやっていたという縁から巨大なダンススタジオを作って、年間数百人が集まるような場になっていたり。有機野菜のカフェのDIYにお手伝いに来たら「実はゲストハウスをやりたい」と言い出して、隣の物件がちょうど空いているのを紹介されて、翌年にはゲストハウスが始まったり。自分と関係ないと思うことでも小さなことをやってみたり、出かけたり、人と出会ったりしているうちに人生が変わってしまうという変化を多く見てきたそうです。
辰野町は人口が減って廃れているからこそ、しがらみなく始めることができる場所になっています。ゆるくて余白がたくさんあって、家賃も安い。地域のそんな環境が新しいことを始めるハードルを下げてくれているのかもしれません。
廃れた町の状況を逆にポジティブな求心力に変えてきた野澤さんは、「心も家も、開かれた状態になると入ってきやすくなる。まずは開くことが大事」と教えてくれました。
飯田市でも何かやりたい人が空き家を探していることがありますが、湯澤さんは「最初から空き家を探しに行くよりも、関係性をまず築いてもらう方が早いかもしれない」とおっしゃります。地域のDIYなどでお困りごとを手伝うことを入口に、地域との関係性が生まれて、それから地元の人に空き物件を紹介してもらうという流れが生まれているそうです。地域との関係性を育むうちにやりたいことが変わっていくという事例も。猟師になりたいと言ってやってきた人が、地域と関わる中で農業にも興味を持つようになって、日々の暮らしの様子をyoutubeで発信し始めたら登録者が3万人まで増えたそうです。
人は生い立ちや出会いから影響を受けていくので、地域に関わる中で地域に向ける目が変わったり、人間関係が変わったり、内面的な変化も生み出されていくとお話されていた湯澤さん。地域に関わるなかでやりがいや生きがいを感じて、地域が一つの居場所となっていくようです。
松本さんは逆の視点で、外の人が関わることで地域も変わることについて話してくださいました。地域と都市では人の数が違うので、都市では1人/100万人なのに対して、地域に行けば1人/100人になります。1人が地域に与える影響はとても大きく、外から関わることは間違いなく地域に影響を与えると言います。
また関係人口の取り組みを通じて行政も、民間も、自分さえも思いもよらないものが生まれてくることがあって、地域にとっては予想外であることがとても面白い展開につながるそうです。例えるなら、自動販売機に100円入れたらゾウが出てくるようなもの。そんな可能性を秘めているのが関係人口というお話でした。
好奇心をもって、自分に合う地域を見つけよう
関係人口として地域に関わるのは、どんな人が向いているのでしょうか?
地域や自治体ごとに特色が違うので、それぞれの人が合う場所を見つけていくのが一番です。好き嫌いや関わるフェーズ、通える頻度など、それぞれの感覚に応じて合う地域も変わってくるでしょう。
たとえば辰野町は「何もない」ので、能動的に行動を起こして0→1を生み出したい人にはパラダイス。逆に何かサービスを受けようと思う人にとっては地獄だそうです。
逆に飯田市では、こういう人と一つに絞ってしまうとおもしろくない町になってしまうという思いから、多様な人に来てほしいと考えています。先ほどの松本さんの話のように、関係人口によって地域も大きくかき回されます。色んな人にまず会いに来てもらって、いい意味で地域がかき回されていくのを期待している、と湯澤さんはお話されていました。
松本さんは「目的があって関わってもいいし、目的はなくてもいい。好奇心をもって、好きになって関わってほしい」。地域づくりというとスキルがあったり、”こんなことができる人”というイメージを抱きがちですが、はじめはスキルもいらないそうです。関わりたいという気持ちから、ゆるく関わり始めることができます。
関わりとは想うこと
さてここまで「地域に関わる」と当たり前のように表現してきましたが、「関わる」とは実際はどういうことなのでしょうか?
松本さんは「お互いに思い合った瞬間が『関わった』瞬間なのではないか」と教えてくれました。地域と個人という関係ではなく、地域も人の集まりです。個人が地域を思い出すのと同じように、地域でも「最近あの人来てないね」とか「野菜が採れたからあの人に送ってあげようか」など、その人がいないときに相手のことを想うことができるような関係性があれば、それは「関わった」と言えるのではないでしょうか。
野澤さんは「友達をつくるのと一緒。その人と連絡先を交換して連絡をとりあえば、それで『関わり』は生まれている」と話してくださいました。連絡をとった先の展開は色々な形があります。仕事だったり、遊びだったり、何かのお手伝いにつながったり。そんな様々な発展形の最初の一歩として、誰かと友達になる。その一歩から始まるそうです。
湯澤さんは「思いやりを持ち始めたらそれが関わりというより繋がり」とお話されたうえで、「居場所ややりがいを感じるきっかけは『誰かのために』を思うところから初めて生まれます。自分のことだけでなく人のことを考えた方が人生豊かだと思います」。そして飯田市で開催した空き家DIYプロジェクトの参加者へのインタビュー動画を見せてくれました。空き家の片づけをしながらなぜこのDIYイベントに参加したのかを話す中で、いつの間にか自分と対話する時間になり、自分の心の片づけにもつながっている。そんなお話ができるような関係性をお互いに築くことが関係人口に取り組む意義、とお話くださいました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
私も地域へたびたび足を運ぶ中で、都市では気づいていなかった新たな自分の一面や、自分の興味に出会うことがあります。地域の自然に囲まれた環境、あたたかく迎えいれてくださる地域の方、地域の余白や関わりしろ。このような地域の側面が、都市では気づかなかった自分自身を引き出したり、やりたいことにふと気づいたりするのではないかなと思っています。
これを読んでくださっている皆さんにとっても、何度も会いに行きたくなる地域がたくさん見つかることを祈っています!
私たち「ふるさとLIFE CAMPUS」は
地域で何か始めたい人(STARTER)と、それを応援する地域(ふるさと)が繋がり共創するきっかけを作っています。
ふるさとLIFE CAMPUSを通じて地域に出会ってみたいという方は、ぜひ以下のフォームからご連絡ください!詳細の案内はこちらをご覧ください。
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