見出し画像

「映える」からではなかった!◇◇◇の秘密

2月が終わると桃の節句がやってきます。
ひな祭りは中国から伝わった3月最初の巳の日に、人形を自分の身代わりとして川や海に流すことで厄を払うという「上巳の祓(じょうしのはらい)」という行事が日本に伝わり、貴族の女子の人形遊びと一つになったものが原型と言われています。

最近では、スーパーに菱餅がたくさん並べられているのを見かけるようになりました。
雛人形を飾るときにお殿様とお姫様の前に置かれている菱型のあのお餅のことです。
ひな祭りの行事以外では目にすることはほとんどありませんよね。
今日は、それについて調べてみました。

《菱餅の由来と謎》

一つは「菱の実の形を模したもの」という説です。
菱は、池や沼に生えるアカバナ科の一年草です。
泥の中から長い茎を出して、光沢のある菱形の葉を水面に浮かべ、夏には白い花が咲きます。
実には棘(とげ)があり、中の種子は食用となります。
風味が栗に似ているところから、水栗とも言われます。
古くから食用に用いられていたことは、『万葉集』にも詠まれていることからもわかります。
菱は繁殖力が強いため、その形を模すことで子孫繁栄や長寿の願いが込められていました。
菱の実はとがっているため、ヒイラギ同様、魔除けの意味もあります。
昔は、菱餅の白色の餅に菱の実を入れて食べるという慣習もありました。

☆菱の実の旬・産地
菱はかつて全国の湖で見られ、菱の実はおやつとして食べられていました。しかし徐々に生息地が減ってきてしまいました。
現在は福岡県や佐賀県で栽培されており、旬は9〜11月です。

☆菱の実の味・食感
栗のようなほくほくとした食感で、ほんのり甘みがあります。
茹でてそのままおやつとして食べるのはもちろん、クセのない味なので炒め物や揚げ物などさまざまな料理に合います。

現在、菱餅は上から赤・白・緑の三段重ねが一般的です。
実は、江戸時代までは菱餅の色は三色ではなく、白と緑の2色だけ。
菱の実を入れた白い餅と蓬(よもぎ)を入れた緑の餅を三段から五段に組み合わせていたようです。
明治時代になって、クチナシの実を混ぜた赤色の餅が加えられ、現在のような色鮮やかな三色になりました。

❍赤(クチナシ)
赤色は太陽の色に通じ、魔除けを意味します。赤はおめでたい色であること、また、雛祭りに関わりの深い、桃の花を表現しているとも言われています。
クチナシが持つ「解毒作用」の効果も期待されていたようです。

❍白(菱の実)
白色は清浄・純白の雪を表現しています。菱の実にあやかり、子孫繁栄も表現しているのだとか。
菱の実には、血圧を低下させる効果もあるそうです。

❍緑(蓬)
緑色には、健康・強い生命力への願いが込められています。
緑は蓬餅です。蓬は邪気を払う薬草と言われ、昔から漢方薬のほか、強壮、消毒、止血にも使われてきました。


上巳の節句で草餅を食べたり、親しい人たちに配ったりする風習は、平安時代にはすでにあったと言われています。
全ての色にちゃんと意味が込められていたなんて!カラフルで「映えるから♡」じゃなかったのですね。

《三色の組み合わせにも意味があった!》

一般的に、上から赤・白・緑の餅が重ねられる菱餅。菱餅の三色の色の組み合わせや順番にもちゃんとした意味があるのです!
赤い餅は「桃の花」、白い餅は「雪や残雪」、緑の餅は「新緑」を表現し、「雪の中から新緑が芽吹き、桃の花が咲く」という春の訪れをイメージして重ねられたものなのだとか。
三色の菱餅には、冬の寒い季節から雪(=白)が溶け、新芽(=緑)が出て、美しく香り高い桃の花(=赤)が咲くように「立派な女性になるように」との願いが込められていたのです。

《菱餅を飾る意味》

菱餅は、雛人形へのお供え物になります。
本来、雛人形は女の子の厄災を身代わりとして引き受けてもらうために飾るもの。
つまり、雛人形に対する畏敬の思いを込めた感謝の気持ちの表れが、菱餅を飾ることにつながったとされています。

《雛霰(ひなあられ)も忘れずに!》

雛祭りでは、菱餅と一緒に飾られていることが多い雛霰(ひなあられ)。
雛霰は、米粒を熱してふくらませ、紅白の糖蜜をまぶしたもの。

《雛の国見せ!?》

江戸時代、家の中に飾ってある雛人形を屋外に持ち出して、外の景色を見せてあげる「雛の国見せ」と呼ばれる風習がありました。
その際に持っていくお菓子として、菱餅を砕いて持ち運びしやすくしたのが雛霰と言われています。
その名残から、雛霰と菱餅がセットで飾られるようになったようです。

《雛霰(ひなあられ)の色の意味》

雛霰には、三つの色がつけられたものと、四つの色がつけられたものがあります。
三色の雛霰は赤・緑・白で、それぞれ、菱餅の色と同じ意味を持ちます。
四色の場合は、赤・緑・白の三色に黄色が加わります。
この四色は四季を意味し、赤が春、緑が夏、黄が秋、白が冬を表すと言われています。
このことから、雛霰を食べることで、季節が放つ自然のエネルギーを体内に取り込むことになり「一年(四季)を通し、娘の健康や幸福を祈る」という意味に繋がるそうです。

女の子も、男の子も、みんな元気でのびのびと育ちますように🎎。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?