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笹塚 心琴
2017年8月15日 17:30
その昔勇者と呼ばれていたらしく父は片手で卵を割れる 味噌汁に豆腐を入れるのが珍しいなんて異文化交流だ 一定のリズムでネギを刻んでる 外は曇天 泣き出しそうな 不機嫌な果実を買って帰ったら三割引のシールが取れてた タコ焼きをひっくり返す手さばきに惚れてしまった あたし、アホだね 「愛してる」あーうん、私も。それよりも、早くしないと肉が焦げるよ 完璧な母のレシピに一
2017年8月14日 16:50
メルヘンがメンヘルに似てお盆には専門家らが論文を書く おとぎ話には犠牲が要ると説く人には何が足りないんだろう 唯一をいくつも足して生きている 図々しいとお思いでしょう 太陽は悪ですか悪ですよ 何かのせいにしなけりゃ呼吸できない ひかりなどもういらないとさけんでもおなじかおしてえむちちとはは 忘れ物集積場に集まった傘が織りなす秋雨前線 御先祖もこんな思いをしたのか
2017年8月13日 13:20
オレゴンをポケモンの名と思ってた20年目の秋を迎える スーパーの棚に並んだ鶏、豚、牛 どうか私を睨まないで 世界的スターに濁点を与える ミッギーマウズ なんか悪そう 人形と同じ名前の医者がいてそれでもリカは前を向くのよ ドット絵と8ビットの音楽で賞嘆できる世界もあった 傘を閉じ初めて見えるものもある 三割引のクーポン券とか ウルトラの母がテールをほどいたらみんな
2017年8月12日 16:55
ハロワの求人に載る「坊主募集」に胸を痛めて盆が過ぎてく まっしろな素肌に触れてみたかった 裂くつもりなどなかったのです 若さだけで走った日々を後悔しすっぴんで乗る京王線 何億年以上前から僕たちは同じ動きをしているだろう 怖いほどみなポジティブで僕はもう疲れてしまったんだ。笑って 下道を走る私を追い抜かしてく平成のハマナンバーに bye ふわふわとアキアカネ舞う国
2017年8月11日 17:02
たい焼きは尾っぽから派の僕だから君を見た目で選ぶわけない 花束の引き立て役になれたなら悔いはないから早く燃やして 退屈に巣食う哲学を抱いて孤独うべなうメールのチェック 蝉どもの鳴き声が泣き声に聞こえる7sus4のコードで Googleの検索候補に出てきた「あきらめないで」にあきれてしまう 忘れ物ですか それなら雲の上まで取りに来て片道切符で 爪弾くはあの日逃した
2017年8月10日 20:37
「私たち友達だよね?」違わないけど「まだ」をつけなければだめよ 花柄のワンピにマグにサンダルに黒のインキで×をつけてく 繰り返す日々が嫌だと言うけれど一体何を繰り返したの 大切なことだから二度言いました 君が好きです これで三度目 君の胸が膨らんだなら秋になる 実りがあれば狩る者がいる 雨の夜にデートしようよ僕らには傘が必要不可欠だから 「飛べます」と「飛びます
2017年8月9日 16:53
簡単にアイを騙るなドーランに赤を足してからが勝負だ もう二度と会うことはないと決めたからこれから語尾に「ニャー」ってつける 部活動はなんでしたかと問われてはにかめないのが我が青い春 悩むなよ、卒アルには「私たちは友達」と書かれるんだから 失くしても気づけぬことがあるのならそれはそれでいいことでしょう 「毒があっても食べないでくださいね」? メガネしてよくよく見たら苺
2017年8月8日 17:52
思い出を「完全に削除しますか?」できるものならやってみなさい 蝉しぐれに消された悲鳴が居残って数ⅡBの追試に挑む 手がハサミでもないのに「抱けない」なんてティム・バートンに失礼だ 手を繋ぎ仰ぎ見たあの林立の影法師たち今どうしてる 「子どもでしょ 生意気言うな」「大人でしょ しっかりなさい」自由はいつだ ご自由にお持ちください好きなだけお持ちくださいお願いだから
2017年8月7日 17:33
風を受け風邪を引くのがせいぜいでpoetryには程遠い鴨 「だから何?」「いいえなんでもないです」と繰り返すだけの風見鶏 春爛漫夏真っ盛り秋深し冬になったらどうすりゃいいの 献血室に貼ってある「恐怖の血みどろピエロの館」のポスター 精神科のまんなかにいるかみさまが誰も救っちゃない地平線 看板の「あなたに癒し」に傷つく卑しい私に冷たい水を 水瓶座で何が悪い 凡才で