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【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

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心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
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2020年12月の記事一覧

短歌 忘れ物 十首

短歌 忘れ物 十首

1
伸びすぎた爪を切るとき残酷になりきれなくて過去が居残る

2
パーフェクト百点満点ですあとは欠けてゆくのを待つだけの刑

3
月見そば最初に黄身を潰すきみ なにが大事かわかっているの

4
光こそすべてであれと祈るひとまぶたの裏に土砂降りの雨

5
宇宙人だといわれても年賀状出しちゃったからなんかごめんね

6
このごろはあらゆるものに名がついて薬ももらう だからしんどい

7
耳かきをしてい

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短歌 破 十首

短歌 破 十首

1
はりつめたミルクの膜を破るときスプーンだけが知った背徳

2
飽きられたおもちゃを捨てるゴミの日に印をつけてあるカレンダー

3
クリスマス過ぎ去ったあと残されたサンタの脱衣を門松に刺す

4
平等は大切なこと死ぬことも生きることもみな平等なこと

5
明滅をする黄信号の下では生きることが少し窮屈になる

6
生活に答え合わせはないという当たり前こそ今は必要

7
外すためだけに嵌めているリン

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短歌 三つ編み 十首

短歌 三つ編み 十首

1
いつの間に秋はどこまでいったやら知っている人は黙っている

2
三つ編みをほどいて笑う練習をするための部屋は虚無の在り処

3
鍵かけた日記の鍵を失くしたらあの日のことは永遠になる

4
冬だから飛び降りる場所も寒いしみかんもあるし早く帰ろう

5
焼きたてのパンの香りを自転車で運ぶ人こそ幸せになれ

6
流行ってるものを知らずに笑えるよ見えないものがこのごろ好きだ

7
大丈夫 その一言が悲

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短歌 片想い 十首

短歌 片想い 十首

1
クリスマスまでにかわいくなりたくてワンピに託す時限爆弾

2
何してもきみが思考の邪魔をする好きにならせた罪を償え

3
既読からはや1時間返信の来ないスマホと沈没したい

4
告白の練習をしてクッションを壁に打つのが上手になった

5
いつもより濃いめのシャドウばかみたいどうせならきみ笑っておくれ

6
手鏡で何度も笑顔になってみる玉座におわす私の孤独

7
流れゆく雲もひそかなあやまちも許

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短歌 輝き 十首

1
手に入れたとたん輝き失くすから大事なものは遠くから見る

2
苗字から下の名前になった日の胸の痛みを日記に残す

3
口ぐせを笑ってくれた人がいて冬の空にも虹が架かって

4
今度いつ会えるかなってLINEして既読を待てずクッションを抱く

5
涙とは小さな海とされておりいつも私は救助の日和

6
流星が降る夜となりにきみがいて手を繋いだらあの子に会える

7
静脈の青さいずれは地に還るときも

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短歌 イルミネーション 十首

短歌 イルミネーション 十首

1
まんなかにふたりの指が交差して寂しさ埋めるイルミネーション

2
街角のイルミネーションまた少し息が苦しい綺麗なだけで

3
明滅のイルミネーションに隠れて笑ったきみの出すSOS

4
広告によく知らない有名人 イルミネーションの端は暗い

5
電球のひとつひとつが眼球に見えるふたりの小さな正義

6
祈りには電飾よりも焼きたてのパンの香りが似合うと思う

7
横顔が好きだと気づく横にいること

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